
斉藤一人さんからの挨拶.
やあ、みなさんこんにちは。斎藤一人です。
このたびはね、ぼくの大切な親友・健ちゃん――そう、大江健三郎さんの“人生の泣きどころ”を一緒に歩くことになりました。
健ちゃんはさ、とにかく真面目! もう、こっちが「もっとサボっていいよ〜」って言いたくなるくらい(笑)
だけど、だからこそ、世の中に残した言葉には“重み”があるのよ。しかもその重みは、心にズシンと来る“いい重さ”ね。
でもね、人って、ひとりじゃ乗り越えられないときもあるの。
そんなときに隣にいる誰かが、ちょっと笑わせてくれたり、「お前、それでいいんだよ」って言ってくれたりすると、また立ち上がれる。
この物語は、健ちゃんが“ほんとは泣きたかった夜”に、ぼくがそばにいたとしたら…っていう、ちょっと不思議で、ちょっとあったかい、そんな想像のお話です。
読む人の心が、ふわっと軽くなったら最高だなって思ってます。
では、はじまりはじまり〜!
(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)
第1項目:長男・光の誕生と障害の発覚(もし斎藤一人さんが親友だったら)

Scene 1: 病院の待合室での第一声「それでもこの子は“すごい魂”だよ」
午後の光が射し込む東京の産院の待合室。
大江はただ黙って、硬いソファに座っていた。
「脳に障害がある可能性が高いです」と医師に告げられたばかりで、心がどこにも行き場を見つけられずにいた。
そこへ、白いスーツに身を包んだ斎藤一人さんが、にこにことした笑顔で入ってきた。
「健ちゃん、よぉ。おめでとう!」
「……おめでとうって、何が……?」
一人さんは笑ったまま、大江の隣に腰を下ろした。
「だって、こんな時代に“生まれてくる”って、それだけで“すごい魂”なんだよ? 選ばれた家にしか来ないんだから。」
大江は言葉を失いながらも、どこかでその言葉にすがるような気持ちになった。
Scene 2: 公園のベンチで語る「その子は“光”なんだよ、名前の通りに」
数日後、近くの公園のベンチにふたりは並んで座っていた。
「どうして僕なんだろうって……思ってしまうんだ。自分には、この子を受け止める力があるのか分からない。」
一人さんは、花壇の咲きかけたチューリップを指さした。
「咲くかどうかじゃなくて、“根っこ”があるかどうかだよ。健ちゃんには“愛の根っこ”がある。だからこの子は来たんだよ。」
「光くん、って名付けたんでしょ? その名の通り、きっと君たちの人生に光をくれるよ。」
風がふっと吹き抜けた。大江の心にも、小さな風穴が空いた気がした。
Scene 3: 書斎の原稿用紙を見て「言葉の力は“癒し”なんだよ」
大江の書斎。白紙の原稿用紙の前で、彼はうなだれていた。
「書けない。言葉が追いつかない。父親としての覚悟が、まだ整っていないんだ。」
一人さんは、そっと背後から原稿用紙をのぞいた。
「健ちゃん、言葉ってさ、“癒す”ためにあるんだよ。まず、自分を癒すために書いてごらんよ。」
「売れるとか評価されるとかじゃなくて、“本音”で書いたら、きっと心が軽くなるからさ。」
その一言に、大江はふっと肩の力を抜いた。
書くという行為が、「世界に意味を与える」以前に、「自分を救う」手段だということを思い出した。
Scene 4: 病室で光の手を握る大江の背中に「健ちゃん、見えてるよ」
ある日、病室で大江は光の小さな手を握っていた。
その背中越しに、一人さんがそっと声をかける。
「健ちゃん、君の背中から“愛”が出てるよ。オーラがね、まるで金色の光みたいになってる。」
大江は苦笑した。
「そんな非科学的な話……でも、ありがとう。そう信じたい。」
「信じたものが現実になるんだよ。“運命”なんて、こっちが書き換えちゃえばいいんだから。」
まるで魔法のようなその言葉に、大江の肩が少しだけ上がった。
希望という名の“筋肉”が、わずかに動き始めていた。
Scene 5: カフェで語られた「この子が“健ちゃん”を名作家にするよ」
後日、ふたりはお気に入りの喫茶店で向かい合っていた。
「光のことを通して、僕は生きるとは何かを考えるようになった。書くことの意味も。」
一人さんは、クリームソーダをひと口すすってから、いたずらっぽく笑った。
「そうだろ? この子が来たから、健ちゃんは“世界的な作家”になるんだよ。」
「人生ってね、見えない助走をいっぱいして、ある日“ポン”って跳べるもんなんだ。光くんは、その助走のエネルギーなんだよ。」
大江は、初めて少し涙ぐみながら笑った。
「そうか……なら僕は、ちゃんと跳ぶ準備を始めないとね。」
第2項目:作家としての孤独と自己否定(若き日の葛藤)

―もし斎藤一人さんが親友だったら―
Scene 1: 雨の夜、下宿先のちゃぶ台を挟んで
東京・練馬の木造アパート。大江は古びたちゃぶ台の前に座り、白紙の原稿用紙をじっと見つめていた。
外は雨。机の上には冷めたインスタントコーヒーと、書けなかった痕跡だけが残る。
そこへ、傘も差さずに斎藤一人さんがびしょ濡れでやって来た。
「よぉ健ちゃん、雨に打たれるとさ、邪気が流れるんだよ。だから俺、わざと傘ささなかったの」
大江はうつむいたまま苦笑いした。
「僕の“邪気”は、自己嫌悪ってやつかもね。自分なんて書く資格あるのか…って毎日思う。」
「お前ねぇ、自分のダメさばっかり見てると、ダメのプロになっちゃうよ? 今必要なのは“自分のいいとこ探し”だよ!」
Scene 2: 神保町の古本屋でのやりとり
一人さんが神保町の古本屋に大江を連れ出した日。
書棚に並ぶ有名作家たちの作品を見つめる大江の目は、どこか曇っていた。
「この中に自分の本が並ぶなんて、想像もつかない……」
一人さんは本を一冊取り出し、パタンと閉じた。
「健ちゃん、あのさ、“誰かの真似”じゃダメなんだよ。“健ちゃんにしか書けないもの”を探すんだよ。上手いか下手かじゃない。“自分の味”を信じな。」
その“味”という表現に、大江の胸の奥がほんの少し温まった。
Scene 3: 編集者からのダメ出しで落ち込んだ夜
若き日の大江が、ある文芸誌から酷評を受けて落ち込んでいた夜。
部屋にやってきた一人さんに、淡々と原稿を見せると、彼はうなずきながらこう言った。
「うん、めっちゃいい。でも、これさ、“相手が期待してる型”に入れなかっただけなんだよ。」
「評価ってのは“他人の目”だろ? でも一番大事なのは“自分の声”を信じること。売れなくてもね、魂が喜んでる文章ってあるんだよ。」
「健ちゃんの文章は、そういうタイプ。“魂に届ける言葉”なんだよ。」
大江は、沈黙の中で何度もうなずいた。
Scene 4: 河川敷で風に吹かれながら話す
散歩がてら、多摩川の河川敷を歩いていた二人。
大江は言った。
「僕の中に、何もないような気がして仕方ないんだ。」
すると一人さんは大声で叫んだ。
「あるよーーー! 健ちゃんの中には、世界中が探してる“真実”がある!」
びっくりして立ち止まる大江。
「いいかい? “何もない”って思ってる人ほど、心の奥に“本当”が眠ってるんだよ。その“本当”をすくい上げるのが、作家の役目。」
風が吹き抜けた。ふたりの影が、長く揺れていた。
Scene 5: 書き上げた初の作品を読み終えた一人さん
ついに大江が書き上げた初めての長編原稿。
一人さんは真剣に読んで、最後のページを閉じると、ぽつりと言った。
「うん、これは“命が通ってる”文章だね。健ちゃん、自分が感じた痛みは、読者にとっての“灯り”になるよ。」
「言葉ってのはね、“癒しの処方箋”なんだよ。これからもその処方箋、いっぱい書いてやりな。」
大江は、心からの感謝をこめて、深く一礼した。
第3項目:戦争責任と日本社会への葛藤

―もし斎藤一人さんが親友だったら―
Scene 1: 広島の平和記念公園、炎の前で
大江は、広島の原爆ドームを見つめていた。
あの日の記憶は彼にはない。けれど、その責任を“戦後世代として受け継がねば”という思いに押しつぶされそうになっていた。
「一人さん……僕には、あの悲劇に“無関係”でいることができないんだ。」
斎藤一人さんは、そっと言った。
「無関係な人なんていないよ。でもね、責めるより、“祈る”ほうが人を救うよ。」
「怒りは火薬になるけど、祈りは灯りになるんだ。健ちゃん、灯りの人になろう。」
Scene 2: 東京の地下鉄ホーム、人の波を見つめながら
戦争責任を描いた大江の文章に、一部の読者から批判が殺到していた。
「“反日作家”とか、“日本人じゃない”なんて言われるんだ…」と大江は呟いた。
地下鉄の雑踏の中で、一人さんは明るく言った。
「言われてるうちが花ってやつよ! ほんとに無視されたら、誰にも響いてないってことだもん。」
「嫌われるのが怖くて“本音”をやめたら、作家じゃなくなるよ。愛ある厳しさってのは、あとから効いてくるんだよ。」
電車の音が遠くで響くなか、大江は少しだけ笑った。
Scene 3: 沖縄の海岸、砂に足を取られながら
沖縄戦の被害を取材したあと、大江は深い沈黙に沈んでいた。
「この島は、日本に捨てられたような歴史を背負ってる……」
一人さんは波打ち際に足をつけながら言った。
「健ちゃん、過去を“変える”ことはできないけど、“語る”ことはできる。それが光なんだよ。」
「それにさ、沖縄の人たちって“生きてる力”がすごいだろ? あの笑顔に敬意を持って、君の言葉を届けてあげなよ。」
大江は波の音を聞きながら、ノートを開いた。
Scene 4: 書斎での沈黙、一人さんの“運気の話”
原稿が進まなくなった大江。
「言葉で世界を変えられると思っていたけど……現実はあまりに鈍い。」
一人さんはお茶をすすりながら言った。
「うん、言葉はすぐに効かない。でも“発酵する”んだよ。」
「健ちゃんの文章は、“熟成型”だからね。あと10年、20年してから“あれに救われた”って人、山ほど出てくるよ。」
「だからね、今の手応えがなくても気にすんな。運気ってのは、“信じて続けたやつ”にだけ回ってくるからさ。」
Scene 5: 公演の帰り道、街灯の下で
戦争文学に関する講演会を終えた帰り道。
拍手はあったものの、どこか虚しさを感じていた大江。
「やっぱり……もう、届かないのかもしれない。」
街灯の下で、一人さんは立ち止まり、まっすぐ言った。
「“届かない”って、誰が決めた? 君が話した言葉は、もう“空気”になって人の中に入ってるよ。」
「人の心ってね、コップじゃなくて“畑”みたいなもん。種をまいたら、芽が出るまで時間がかかるの。」
「だからさ、健ちゃん。“今”じゃなくて、“いつか”を信じていこうよ。」
大江は、その言葉を胸に静かに頷いた。
第4項目:息子との関係における苦しみと希望

―もし斎藤一人さんが親友だったら―
Scene 1: 曇り空の朝、リビングにて
光がピアノをポロンポロンと弾いていた。メロディは拙いが、彼の世界が音になっていた。
大江はそれを聞きながら、複雑な気持ちを押し殺していた。
「この子は、普通の人生を歩めない。それを思うと、胸が締めつけられる。」
そこへ一人さんがやって来て、光の横にしゃがみこむ。
「ねえ、健ちゃん。普通って何? “普通”に縛られるより、“その子だけのリズム”で生きたほうが、かっこいいじゃん?」
大江は驚いたように振り向く。
「だってさ、この子が出す音、癒されるよ。“才能”ってのは、“周りと違う”ってとこから始まるんだよ。」
Scene 2: 真夜中の書斎、涙の静寂の中で
大江は原稿用紙の前に座ったまま、光の将来を思い涙をこぼしていた。
「この子の未来に、僕は何を残せるだろう……」
一人さんがそっと入ってきて言う。
「健ちゃん、愛された子ってね、それだけで“未来に光”を残してるんだよ。」
「“育てられた”って記憶は、“生きる力”になる。だから、何も残さなくてもいいんだよ。“そばにいる”だけで十分。」
その言葉に、大江の胸の奥の固まりがゆっくりほどけていった。
Scene 3: 公園のブランコ、親子と向き合う日
光と一緒にブランコを押していた大江。
隣に立つ一人さんが言った。
「この子はさ、言葉で話せなくても、“ちゃんと伝えてる”よ。ほら、見てみなよ、笑ってるじゃん。」
「“伝えようとする力”って、言葉以上に強いことがあるんだよ。」
大江はハッとして、光の表情にじっと目を向けた。
そこには、確かに小さな喜びが揺れていた。
Scene 4: デパートのエレベーターでの一幕
光と一緒にデパートに出かけたとき、他の子どもたちの視線が気になって、大江はうつむいていた。
その様子を見た一人さんが、声をひそめて言った。
「ねぇ健ちゃん、“目立ってる”ってのは、“何かある”ってことだよ。光くんは、場を浄化するエネルギーを持ってるから、目を引くの。」
「大丈夫、“変わってる”は、“選ばれてる”なんだよ。」
その言葉に、大江の背筋がふっと伸びた。
Scene 5: 光の音楽発表会の帰り道
発表会の帰り、電車の中。光の出した小さな音に拍手が起きた。
しかし大江は、自分の子が“普通”の演奏をできないことに、少しだけ申し訳なさを感じていた。
すると、一人さんが肩を叩いてこう言った。
「健ちゃん、今日の会場で一番“心を動かした音”は、光くんの音だったよ。」
「完璧じゃないからこそ、人の心に届く。誰にも真似できない音だよ。」
大江は目を閉じて頷いた。
息子が教えてくれた“希望”は、静かで、しかし確かに輝いていた。
第5項目:言葉の限界と向き合う晩年の葛藤

―もし斎藤一人さんが親友だったら―
Scene 1: ノーベル講演直前のホテルの控え室にて
ストックホルム、1994年。
ノーベル賞の講演直前。大江はホテルの部屋で原稿を読み返していたが、ふと立ち止まり、ため息をついた。
「こんな言葉で、本当に誰かに届くのだろうか……」
そこへスーツ姿の一人さんが入ってきた。
「健ちゃん、届くさ。なにせ“本気”で書いたもん。人の心は、見えないけど感じるんだよ。」
「それに、“あんたの言葉”は、すでに世界に流れてる。あとは読む人の“運気”に任せな。」
大江は微笑み、静かにうなずいた。
Scene 2: 核廃絶集会の後、公園のベンチにて
晩年、大江は再び核廃絶運動に力を入れていたが、思うような成果は見えなかった。
「結局、言葉じゃ世界は動かないのかな……」とつぶやく。
一人さんはジュースを2本買って戻りながら言った。
「動かないんじゃない。“ゆっくり動いてる”の。言葉って、“後から効いてくる薬”なんだよ。」
「“すぐに結果”が欲しいのは、商売人の考え。健ちゃんは“魂の仕事人”だからさ、10年後に効いてくる文章を書いてんの。」
大江は笑いながら、「さすが商売の神様」とつぶやいた。
Scene 3: 書斎、原稿用紙の前で迷う夜
大江は机に向かいながら、何度も鉛筆を持っては置き、白紙を見つめていた。
「言葉が足りない。いや、言葉が“届かない”ような気がする。」
一人さんが背後からそっと声をかける。
「健ちゃん、届いてるよ。“沈黙の奥”までね。」
「人はさ、言葉を“聞いてる”んじゃなくて、“受け取ってる”んだよ。届けたいって気持ちがあれば、それだけで充分。」
「書いてごらん。“心で書いた言葉”は、たとえ一行でも人の人生を変えるから。」
その夜、大江の鉛筆はゆっくりと走り始めた。
Scene 4: 若者との座談会の帰り道、雨の中で
ある大学で若者たちとの対話を終えた帰り道。
「昔ほど反応が来ない。若い人に“言葉”はもう届かないのかもしれないな…」とこぼす大江。
一人さんは傘を差しながら、笑顔でこう言った。
「健ちゃん、それね、“届いてる途中”だよ。言葉ってのは、時差があるの。」
「今日聞いた若者が、10年後、何かに悩んだときに、ふっと思い出す。“あの作家の言葉”って。」
「だからさ、即レスじゃなくて、“熟成型レスポンス”を信じようぜ。」
雨音の中、大江の顔に静かな納得がにじんだ。
Scene 5: 晩年の庭、落ち葉を踏みしめて
東京の自宅の庭。秋の落ち葉がカサカサと鳴るなか、大江と一人さんが並んで歩いていた。
「一人さん……僕の書いたものは、果たして何かを残せたんだろうか。」
すると一人さんは、落ち葉を指差して言った。
「落ち葉はね、土に還って、栄養になるの。健ちゃんの言葉も、きっと土の中に入ってるよ。」
「来年、誰かの中で芽を出す。それが“言葉の宿命”ってもんよ。」
大江は立ち止まり、ゆっくりと空を見上げた。
「ありがとう。言葉の旅は、まだ終わらないんだね。」
「そうだよ。終わらないから、いいんだよ。」
あとがき
ここまで読んでくれて、本当にありがとう。
健ちゃんね、たくさん悩んで、たくさん苦しんで、それでも“言葉を信じてきた”人なのよ。
ぼくはね、いつも思ってるの。
「人ってさ、“うまくいってるとき”より、“うまくいかないとき”のほうが、本当の自分に近づける」って。
だからこそ、苦しんだ健ちゃんの言葉には、あったかい真実があるんだよ。
それは“勉強になる”っていうより、“心が楽になる”って感じ。言葉で人を救うって、そういうことだと思うんだよね。
でもね、人を救うって言ったって、すごいことしなくていいの。
ただ「あなたのそばにいるよ」「一緒に笑おうよ」って、その気持ちがあれば、それだけでいい。
このお話を通して、少しでもあなたの心が晴れたなら、健ちゃんも、ぼくも、めちゃくちゃうれしいです。
じゃ、最後にひとこと。
「つらい人生でも、笑っていれば光が入ってくるよ!」
ほんと、ありがとね。
また、どこかで会おうね〜!
Short Bios:
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