
冒頭の語 - クレイグ・ハミルトン:
私たちは長い間、「目覚め」は特別な人々のためにある、という物語の中に生きてきました。修行を重ね、苦しみを乗り越えた先にようやく辿り着ける場所——それが「悟り」だと。
しかし私は、それとは全く異なる道を歩んできました。
目覚めとは、遠い山頂ではなく、いまこの瞬間——この呼吸、この沈黙、この気づきの中に、すでに存在しているのです。この5章にわたる対話では、日本の深い精神文化に根ざした知恵と、私が提唱する「Direct Awakening(直接的な目覚め)」の道を結びつけ、共に問いを投げかけていきます。
・目覚めはどこにあるのか?
・努力は必要なのか?
・進化とは何か?
・日常はどう変わるのか?
・そして、それは本当に奇跡なのか?この対話を通じて、あなた自身の「答えにならない問い」に静かに触れることができたら、それがすでに目覚めへの一歩だと思うのです。
(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)
第1章:いまこの瞬間に目覚める(Awakening Now)
【登場人物】
クレイグ・ハミルトン(進行役)
小池龍之介(僧侶・著述家)
南直哉(禅僧)
アルボムッレ・スマナサーラ(上座仏教長老)
稲葉俊郎(医師・思想家)
藤田一照(曹洞宗僧侶)
🌟冒頭の語り(クレイグ・ハミルトン)
皆さん、ようこそ。この対話では「目覚め」が遠い未来のゴールではなく、“いまこの瞬間”にもたらされる可能性であるという核心について語り合います。
私たちはしばしば「もっと修行しなければ」「準備が整ってから」と思いがちですが、覚醒した意識は常にここにあり、それに気づくことができるのです。では、いまこの瞬間に目覚めるとはどういうことか――最初の問いです。
💬最初の問い:「“目覚めは今ここにある”という視点は、あなたにどんな気づきをもたらしましたか?」
南直哉:「目覚めが未来にあると思っていた自分に気づかされました。実は“今ここ”に全てがある。これは禅でも言われる真理ですが、Craigさんの言葉はそれを新鮮に再確認させてくれました。」
藤田一照:「“今ここ”に坐るという禅の実践の意味が、より深まりました。ただ坐ることの奥に、目覚めがあるのではなく、“それが目覚めそのもの”だと。」
アルボムッレ・スマナサーラ:「仏教の教えでも“現在”しか存在しないと言います。Craigさんの教えは、それを体感に落とし込む素晴らしい導きです。」
稲葉俊郎:「“気づき”は特別なものではなく、呼吸のように“いつでも戻れる場所”であることが腑に落ちました。医療にも通じる普遍的な安心感です。」
小池龍之介:「多くの人は“目覚め”に向かって頑張りすぎる。でもその努力が目覚めを遠ざける。Craigさんの言葉は“頑張らなくていい”という大きな癒しです。」
🌟クレイグの語り(第2問い前)
すばらしい洞察ですね。次にお聞きしたいのは、目覚めを今ここに見出すために、皆さんがどんな実践や心の習慣を持っているかということです。
💬次の問い:「“今ここ”に目覚めるために、日々どんな実践をしていますか?」
稲葉俊郎:「朝の静かな時間に、手を胸にあてて“私はここにいる”と感じるだけで、整います。医師としても、患者さんに“いまここ”の感覚を伝えたいと思っています。」
藤田一照:「私は“ただ坐る”しかしていません。それで十分です。Craigさんの言う“想定から始める目覚め”という感覚にも共鳴します。」
小池龍之介:「私は“食べる瞑想”を大切にしています。一口一口が世界と繋がる時間。そこに目覚めがある。」
南直哉:「私は“気にしない”という態度を実践しています。“こうでなければ”という思考を手放すと、自然と今に戻れる。」
アルボムッレ・スマナサーラ:「一日を通して“今、気づいているか?”と自分に問いかけます。目覚めは継続的な“気づきの訓練”なのです。」
🌟クレイグの語り(第3問い前)
深く共鳴します。では最後にお聞きしたいのは、“いまここ”に目覚めることが、人生や周囲の人々との関係にどんな影響を与えたか、ということです。
💬最後の問い:「“いまこの瞬間に目覚める”ことで、人生にどんな変化がありましたか?」
藤田一照:「周囲の人と争うことが減りました。“いまここ”に留まることで、反応ではなく“応答”ができるようになります。」
南直哉:「言葉にするのは難しいですが、“間”が生まれるんです。その“間”に真実が宿ります。」
小池龍之介:「“頑張らないこと”を周囲にも許せるようになり、人間関係がぐっと楽になりました。」
稲葉俊郎:「仕事の場面でも、直感的な判断が増えて、時間の質が変わった感じがあります。」
アルボムッレ・スマナサーラ:「目覚めている人は、怒らない、焦らない、恐れない。それが周囲にも自然と伝わるのです。」
🎙クレイグ・ハミルトン:締めの言葉
皆さんの言葉から、目覚めとは日常と切り離された特別な状態ではなく、深く地に足のついた“あり方”であることが明確になりました。
“いまここ”に目覚めるとは、自分と世界とのつながりを取り戻すこと。それは人類全体が進むべき進化の一歩でもあるのです。
第2章:努力なき開かれ(Effortless Openness)
【登場人物】
クレイグ・ハミルトン(進行役)
玄侑宗久(臨済宗僧侶・作家)
大下大圓(天台宗僧侶・心理カウンセラー)
桜井識子(スピリチュアル作家)
池田晶子(哲学者・故人の声を再構成)
藤原美津子(マインドフルネス指導者)
🌟冒頭の語り(クレイグ・ハミルトン)
この章では、“努力して開こうとする心”ではなく、“本来すでに開かれている意識”に気づくという根本的なパラダイムシフトを扱います。
私たちは無意識のうちに、心を静かにしよう、悟ろう、もっと深くなろうと「努力」しすぎる傾向があります。しかし真の開かれとは、努力を手放すことで現れるものなのです。
では最初にお聞きします。“努力なき開かれ”という視点は、あなたにどんな影響をもたらしましたか?
💬最初の問い:「“努力しないこと”が鍵になると聞いて、どんな気づきや変化がありましたか?」
大下大圓:「心というものは、追えば逃げる。“努力”とは時に自己を狭める行為です。Craigさんの教えは、私に“委ねる”ということの本質を思い出させてくれました。」
池田晶子(再構成):「本来、“見る”という行為には力みが要らない。“ただ在ること”の哲学は、思考を超える地点でこそ成立すると改めて実感します。」
藤原美津子:「私たちは常に“何かを変えよう”としますが、Craigさんの教えを受けて、“何もしないことの力”を知りました。マインドフルネスの原点です。」
桜井識子:「スピリチュアルの世界でも、“波動を上げよう”と焦る人が多い。でも、実は“そのままでいい”と気づくことで、心はすっと開きました。」
玄侑宗久:「禅では“無為自然”という言葉があります。Craigさんの言葉に、それと通じる“無理のなさ”を感じました。“ただ在る”という響きが深く届きました。」
🌟クレイグの語り(第2問い前)
“努力を手放す”ということがいかに私たちの在り方を変えるか、実感のこもった声をいただきました。
では、そうした“努力なき状態”に自分を導くために、どのような実践や日常的な工夫をされていますか?
💬次の問い:「“努力なき開かれ”を体現するために、どんな実践をしていますか?」
桜井識子:「私は朝、神社でただ木々の中に身を置くだけの時間を取ります。“しなければならない”が静かに消えていきます。」
大下大圓:「一つひとつの呼吸を“ただ感じる”。その繰り返しで、力まない“空”の状態に自然と導かれます。」
藤原美津子:「日常の中で“ちょっと立ち止まる”瞬間を意識しています。例えば信号待ちのときに、ただ足の裏を感じるだけで心が解けていくのを感じます。」
玄侑宗久:「私は“脱力の書”と呼んでいる日記を書いています。自分の無力さや、空白の感覚を文字にすることで、“開かれ”を思い出せます。」
池田晶子(再構成):「“なにも求めない”という思考の訓練です。“問い”さえも捨てたところに、深い安らぎがやってくるのです。」
🌟クレイグの語り(第3問い前)
“しないこと”の実践こそが、最大の気づきと深さを招くことに気づかされます。
最後に、努力なき開かれを経験することで、あなたの人生や人間関係にどんな変化が起きましたか?
💬最後の問い:「努力を手放すことで、人生にどんな影響がありましたか?」
玄侑宗久:「無駄な力を入れないことで、人との距離感も自然になりました。結果、衝突が減り、対話が増えました。」
藤原美津子:「子育てが大きく変わりました。“ちゃんとしなきゃ”が消えたら、子どもとの信頼が育ちました。」
大下大圓:「クライアントとのセッションでも、“導こう”という意識が減り、“ともに在る”が増えました。それが真の癒しになります。」
桜井識子:「直感が冴えました。“こうしなきゃ”の雑音が消えると、本当に大切なことだけが浮かび上がるんです。」
池田晶子(再構成):「何も残さず、何も加えず。それでいて満ちている。それが生きるということの“余白”ではないでしょうか。」
🎙クレイグ・ハミルトン:締めの言葉
努力しなければ得られないと思い込んできた“目覚め”が、実は“すでに開かれている”という逆説の中に、大きな癒しと真理があります。
この“何もしないこと”に向かう勇気こそ、21世紀の瞑想者に必要な心の筋肉なのかもしれません。
第3章:進化の目的(Evolutionary Purpose)
【登場人物】
クレイグ・ハミルトン(進行役)
山折哲雄(宗教学者)
稲盛和夫(経営哲学者・再構成)
柳田邦男(ノンフィクション作家)
田坂広志(社会起業家・思想家)
茂木健一郎(脳科学者)
🌟冒頭の語り(クレイグ・ハミルトン)
この章では、“目覚め”のその先にあるテーマ——「私たちはなぜ生まれ、なぜ進化するのか」という問いを探求します。
進化の目的とは、単なる個人の幸福追求にとどまらず、宇宙そのものが持つ創造的衝動とつながる生き方を意味します。私たちが目覚めた意識で生き始めるとき、世界は私たちを通して進化しようとするのです。
最初の質問は——あなたにとって“進化の目的”とは、どのように感じられるものでしょうか?
💬最初の問い:「あなたにとって“進化の目的”とは何でしょうか?」
茂木健一郎:「私にとって進化とは“意識の連鎖”です。個人が自己を超えて、集合知と結びついたとき、新しい創造性が生まれます。」
稲盛和夫(再構成):「人間の進化とは“魂を磨く”ことです。利他の精神を育てながら、企業も社会も個人も高まっていくべきです。」
山折哲雄:「仏教における“菩薩道”のように、自他の境界を越えて“ともに目覚めていく”在り方が、進化の真髄ではないでしょうか。」
柳田邦男:「生死のはざまを見つめ続けて思うのは、“進化”とは技術や知識の発展だけでなく、“共感の深まり”でもあるということです。」
田坂広志:「進化の目的とは、“私たち一人ひとりが、宇宙の意思を表現する通路になる”こと。個を超えたビジョンに身を委ねる覚悟が問われています。」
🌟クレイグの語り(第2問い前)
素晴らしい視点をありがとうございます。私たちが“進化の目的”に気づいたとして、それを日常でどう実践していくかが問われます。
ではお聞きします。あなたは“進化の目的”を日々どのように生きようとしていますか?
💬次の問い:「進化の目的を日々どのように実践されていますか?」
稲盛和夫(再構成):「私は“動機善なりや、私心なかりしか”を毎日問い直しました。この問いが私を常に進化の原点へと引き戻してくれます。」
山折哲雄:「読経や黙想の中に、“時代の声”を聴く瞬間があります。仏典の中の言葉が、現代の進化的課題と共鳴するのです。」
茂木健一郎:「“つながり”を作ることが私の実践です。ラジオや本、会話を通して、人の中に新たな可能性が芽生える瞬間を支えることが使命です。」
柳田邦男:「医療や災害の現場で取材を重ねる中、現場の人々の“いのちへの向き合い方”が、私の進化の鏡になっています。」
田坂広志:「“静かな情熱”で動く。強く押し出すのではなく、深い意図と一貫性で、未来の波を呼び込むようなあり方を心がけています。」
🌟クレイグの語り(第3問い前)
それぞれの歩みの中に、“進化”という大いなる流れが静かに息づいていることがわかります。
では最後に、“進化の目的”という意識が人生全体にどのような影響を与えましたか?
💬最後の問い:「“進化の目的”が人生全体に与えた影響とは?」
柳田邦男:「死と向き合うことで、生が輝き出しました。“進化”は哲学ではなく、生そのものの問いになりました。」
田坂広志:「焦らずとも、すべての瞬間が“進化の種”だと信じられるようになりました。だからこそ、どんな仕事も聖なる行為になります。」
稲盛和夫(再構成):「経営とは、本来“人間学”であるべきです。魂の成長を助ける場こそが、企業の本質だと思えるようになりました。」
山折哲雄:「宗教的伝統を学ぶことで、“個人”を超えた何かに動かされて生きているという感覚が深まっています。」
茂木健一郎:「“進化”を意識すると、過去の失敗も含めて、すべてが学びの糧になります。“意味のないことなどない”という勇気が湧いてきました。」
🎙クレイグ・ハミルトン:締めの言葉
進化の目的は“未来から呼ばれる声”のように、私たちの奥深くから響いてきます。それは何者かになろうとする努力ではなく、“本当の自分が自然と前に出てくる”運動です。
この進化の波に一人ひとりが応えるとき、人類全体が静かに目覚めていくのです。
第4章:日常生活への統合(Integrating into Daily Life)
【登場人物】
クレイグ・ハミルトン(進行役)
佐々木常夫(元ビジネスエグゼクティブ、ワークライフバランス提唱)
岸見一郎(哲学者、『嫌われる勇気』著者)
高橋源一郎(作家・思想家)
大木ゆきの(スピリチュアル作家)
小林正観(作家・講演家)
🌟冒頭の語り(クレイグ・ハミルトン)
目覚めの経験が深まるほど、次に私たちが直面するのは、“どう日常に活かすか”という問いです。
通勤、仕事、人間関係、家族、買い物、メール……それらの一つひとつが、“目覚めた意識”と矛盾しない形で営まれるには、どんな姿勢が必要でしょうか?
まず最初の質問です——目覚めた意識を、日常生活に統合するとはどういうことだと思いますか?
💬最初の問い:「“目覚めた意識”を日常に統合するとは、どういうことですか?」
小林正観:「目覚めた意識というのは、“反応しない意識”のことだと思うんです。目の前のことにありがとうと言えるかどうか。そこにすべてが現れています。」
岸見一郎:「“いま、ここ”にあること。アドラー心理学でも、人は未来志向ですが、目覚めとは現在に深く根ざす行為だと感じます。」
佐々木常夫:「私は企業の管理職として多忙を極めながら、家庭でも困難を抱えていました。その中で、“静かな心”を持つことが唯一、日常を整える鍵でした。」
大木ゆきの:「“宇宙とつながっている自分”で皿を洗ったり、子供を抱きしめたりすること。それがスピリチュアルの本質だと思います。」
高橋源一郎:「目覚めとは、笑えること。バカバカしさに気づいて、くすっと笑える。日常って“目覚め”そのものだと思うと、すごく楽になりますよ。」
🌟クレイグの語り(第2問い前)
素晴らしいご意見ですね。では、その意識を保つために、皆さんは具体的にどんな実践や心の工夫をされていますか?
💬次の問い:「日常で“目覚めた意識”を保つためにどんな実践をされていますか?」
佐々木常夫:「私は“朝、家族にコーヒーを淹れる”ことを欠かさず続けています。その小さな行為に、祈りのような意味が宿っていると思います。」
小林正観:「“口に出す言葉”が世界を作ります。『ついてる』『ありがとう』『楽しい』この3つを言い続けているだけで、心は落ち着いていきます。」
高橋源一郎:「掃除、皿洗い、散歩。ルーチンの中に自由がある。日常の“あたりまえ”を、愛おしむことが私の修行です。」
岸見一郎:「私は“沈黙の時間”を大切にしています。誰とも話さない30分が、自分を現在に引き戻してくれます。」
大木ゆきの:「“自分に声をかける”ことです。『いま大丈夫?』『疲れてない?』と。内なるガイドと話すことで、ズレがすぐ修正されます。」
🌟クレイグの語り(第3問い前)
皆さんの実践から、“目覚め”とは日々の細部にこそあるという気づきを受け取りました。
では最後に、日常と目覚めが重なったことで、人生にどんな変化があったか教えてください。
💬最後の問い:「目覚めを日常に統合して、人生はどう変わりましたか?」
大木ゆきの:「“何も特別なことは起きていないのに、ずっと幸せ”という感覚が増えました。それがたぶん、“神の中に住む”ということなのかなと。」
高橋源一郎:「悩んでも、落ち込んでも、最終的には“まあ、いいか”と言えるようになりました。これはかなり革命的な変化です(笑)。」
小林正観:「まわりの人が変わったと言います。でも私は何もしていない。ただ“ありがとう”を言い続けていただけです。」
岸見一郎:「自分が“いま、ここ”にいると、人もそこにいてくれる気がします。人間関係が変わり、仕事も楽になりました。」
佐々木常夫:「娘の介護という困難があった日々でも、心を整えることで、家族にも社員にも“安心感”を届けられました。」
🎙クレイグ・ハミルトン:締めの言葉
目覚めとは、山の上にだけあるものではありません。電車の中、食卓、洗濯物をたたむときにこそ、本当の修行があるのです。
その意識で生きることが、世界に静かな革命をもたらすのだと、私は信じています。
第5章:奇跡としての目覚め(The Miracle of Awakening)
【登場人物】
クレイグ・ハミルトン(進行役)
小池龍之介(僧侶・著述家、『考えない練習』著者)
大谷由里子(元吉本マネージャー・感情経営講師)
五木寛之(作家・仏教思想研究者)
中野信子(脳科学者)
中島みゆき(シンガーソングライター、哲学的作詞家)
🌟冒頭の語り(クレイグ・ハミルトン)
「目覚めは奇跡である」と聞くと、多くの人は超常現象や特別な啓示を思い浮かべるかもしれません。でも、私たちがここで語る奇跡とは、“いまこの瞬間に目覚めているということ自体”です。
これからお聞きするのは、「なぜ目覚めが奇跡だと感じられるのか?」という問いです。
💬最初の問い:「なぜ“目覚め”は“奇跡”だと感じられるのでしょうか?」
五木寛之:「仏教では“縁起”と言いますが、すべてが関係しあって、いま、ここに自分がある。偶然のようでいて、必然のような、深い感謝が湧いてきます。」
中島みゆき:「世界の“悲しみ”の裏にある“祈り”に触れたとき、私は奇跡だと思うんです。見えないけれど、確かに響いている声がある。」
中野信子:「脳科学的に見ても、人間の“気づき”は、驚異的です。思考を止め、意識が“今”に定まるのは、生存本能すら超える選択なんです。」
小池龍之介:「“誰もいないのに、確かに“在る”。その体験こそ奇跡です。自己という幻が溶けたあとに残る“静けさ”は、言葉を超えて尊い。」
大谷由里子:「私が“自分を愛せた”瞬間、それが目覚めだったと思います。生きづらかった人生が、その瞬間、許された気がしました。」
🌟クレイグの語り(第2問い前)
素晴らしい洞察ですね。では、皆さんにとって“目覚め”の瞬間とはどんな体験でしたか?そのエピソードをぜひ教えてください。
💬次の問い:「あなたにとって“目覚め”の瞬間とはどんな体験でしたか?」
大谷由里子:「母の死の直後に、ひとりで海を見ていたんです。“ありがとう”しか出てこなかった。生きてること自体がプレゼントに思えた瞬間です。」
小池龍之介:「山奥の庵で、ただ座っていたとき、世界が“私”を見ているような、そんな不思議な気配を感じました。あれが目覚めだったと、今は思います。」
中島みゆき:「ステージの上で歌っているとき、誰かの“心の底”に届いたと感じる瞬間があります。歌ではなく、“存在”が共鳴したような感覚。」
五木寛之:「若いころ、戦後の焼け跡で見た一本の桜。それがすべての命に通じているようで、涙が止まらなかった。あれが私の原点です。」
中野信子:「あるとき、研究の最中に“自分の限界”に完全に降参した瞬間がありました。その時、ふと全身が軽くなって、“ただ在る”という感覚に包まれたんです。」
🌟クレイグの語り(第3問い前)
それぞれの物語から、“奇跡”は日常の裂け目から差し込む光のように感じられます。では最後に、この“奇跡の目覚め”をどう生き続けるか、みなさんの知恵を伺いたいと思います。
💬最後の問い:「“奇跡の目覚め”を日々に活かすにはどうすればいいですか?」
中野信子:「“感謝”という行為が鍵です。科学的にも、感謝は脳の報酬系を活性化し、“今ここ”の感受性を高めてくれます。」
五木寛之:「“祈る”ということです。信じる宗教がなくてもいい。“誰かのために祈る”ことが、人間性の核心を保ってくれます。」
小池龍之介:「“無理しない”こと。目覚めを求めすぎると、かえって遠ざかります。ごはんを一口食べるとき、その味に集中する。それだけでいい。」
大谷由里子:「“誰かに優しくする”ことですね。目覚めって、自己完結じゃなくて、“循環”だと思うんです。」
中島みゆき:「“歌うように生きる”こと。言葉じゃなくて、響きで伝える。そう思うと、毎日が目覚めの続きになります。」
🎙クレイグ・ハミルトン:締めの言葉
私たちは日常の中で、幾度も忘れ、そして幾度も思い出します。それこそが“奇跡のプロセス”です。
完璧に目覚めることよりも、優しく思い出し続けること——それが、私たちがこの人生でできる最高の実践なのかもしれません。
締めの言葉 - クレイグ・ハミルトン
5つの対話を終えて、私は改めて確信しました。
目覚めは、個人の“到達”ではなく、集団の“思い出し”のようなものだということ。
私たちは皆、どこかでそれを知っているのです。
自然の中でふと立ち止まったとき、誰かに優しさを差し出したとき、深く息を吸ったとき——「ああ、自分はここにいる」と感じるその瞬間。
目覚めとは、超常的な体験ではありません。
むしろ、最も当たり前で、最も見過ごされてきた在り方です。
この対話を通じて、もしあなたの中にほんの少しでも“静かなスペース”が生まれていたなら、それが始まりです。
私たちの本質は、すでに目覚めている。
それを思い出すことこそ、この時代の最も大切な“奇跡”なのです。
Short Bios:
大木ゆきの
スピリチュアル作家。ユーモアと軽やかさで“宇宙とつながる生き方”を伝える。日常に神聖さを取り戻す語りが人気。
大下大圓
天台宗僧侶、心理カウンセラー。仏教の知恵と現代心理学を融合させ、心の安らぎと内なる調和を伝える。
大谷由里子
元吉本興業マネージャー。感情経営・人材育成の専門家として、笑いと優しさによる“心の目覚め”を広める。
小池龍之介
仏教僧・著述家。『考えない練習』などの著作で知られ、思考を手放す静寂の実践を広める現代的禅の語り手。
小林正観
作家・講演家。ありがとう・ついてるなど“言葉と心の波動”を大切にしたユーモラスで温かな生き方を伝える。
佐々木常夫
元ビジネスエグゼクティブ。家庭と仕事の両立に悩んだ経験をもとに、誠実な生き方と心の整え方を提唱。
桜井識子
スピリチュアル作家。神社仏閣との対話や見えない存在との交流を日常的な優しさで描くベストセラー作家。
高橋源一郎
作家・思想家。ユーモアと深い哲学で、日常と精神のあいだを自由に行き来する語り手。生きることの意味を軽やかに探る。
田坂広志
社会起業家・思想家。“静かな情熱”をテーマに、魂と進化を軸としたリーダーシップと変容を説く。
中島みゆき
シンガーソングライター。歌詞を通じて“孤独と祈り”“見えない連帯”を表現し続ける、現代の語り部。
中野信子
脳科学者。意識や気づき、感謝や共感の神経的基盤を科学的視点で解き明かす。メディアでも活躍。
稲盛和夫(再構成)
経営者・哲学者。京セラ創業者。“動機善なりや、私心なかりしか”という問いを軸に、魂の成長と経済の調和を重視。
池田晶子(再構成)
哲学者。亡き後も根強い読者を持つ。「考えること」を日常に取り戻す深く静かな問いを生涯追求した。
岸見一郎
哲学者。『嫌われる勇気』の著者として、アドラー心理学をもとに“いまここに在る”ことの尊厳を語る。
玄侑宗久
臨済宗僧侶・芥川賞作家。禅と文学を結びつけ、現代に静けさと奥行きをもたらす知的対話者。
五木寛之
作家・仏教思想研究者。“下山の思想”など老いと孤独を含む“生ききること”の美学を描く文人。
茂木健一郎
脳科学者・作家。“クオリア”をキーワードに意識の深層を探求。人間の創造性と進化の可能性に光を当てる。
藤田一照
曹洞宗僧侶・マインドフルネス指導者。坐禅と現代瞑想を橋渡しする、深い沈黙の実践家。
藤原美津子
マインドフルネス講師。静かな気づきと“足もとの幸せ”を教える、やさしく実用的な実践者。
柳田邦男
ノンフィクション作家。医療や災害を通じて“いのちの重み”と“人間の再生”を描き続ける思索の人。
山折哲雄
宗教学者。死生観と祈り、共感と宗教文化の再発見を語る、日本的スピリチュアルの代表的知識人。
クレイグ・ハミルトン (Craig Hamilton)
米国の意識進化思想家。Practice of Direct Awakeningの創設者であり、“努力せずに目覚める”瞑想法を世界に伝える第一人者。
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