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Imaginary Conversation

Imaginary Conversation

Exploring the World Through Dialogue.

慰安婦問題の核心を問う:日韓の専門家による対話シリーズ

May 14, 2025 by Nick Sasaki Leave a Comment

はじめに – イ・チョンヒ

皆さん、ようこそこの仮想対話の場へ。

私はかつて、国連の人権担当官として、戦争の爪痕が今も残る土地で人々の声に耳を傾けてきました。
そして私は確信しています——「過去」とは、私たちの背後にあるものではなく、「私たちの在り方に問いかける現在」なのだと。

慰安婦問題は、ただの歴史的論争ではありません。
それは、尊厳を奪われた人々の「人生そのもの」であり、国家や社会がその声をどう受け止めてきたのかを問う「鏡」なのです。

本シリーズでは、日本と韓国の知識人、芸術家、政治家、被害者本人、若者たちが、心からこの問題に向き合い、語り合います。
彼らの対話は、和解の答えを用意しているのではなく、問いを共有しようとする試みです。

どうか、彼らの声を「対岸の議論」ではなく、「わたしの話」として聞いてください。
この静かな対話の時間が、あなたの中に新しい視点と温度を残すことを願って——。

(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)

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Table of Contents
なぜ慰安婦問題は今なお両国関係の核心なのか?
慰安婦とは誰だったのか?— 記録・証言・沈黙の意味
謝罪とは何か?国家の謝罪と被害者の許しのズレ
若い世代はこの問題をどう受け継ぐべきか?
未来への道:正義、癒し、そして和解の条件とは?
終わりに – イ・チョンヒ

なぜ慰安婦問題は今なお両国関係の核心なのか?

登場人物(6名中5名登壇)

  • 保阪正康(日本・歴史家)
  • 林真理子(日本・作家)
  • 古賀誠(日本・元幹事長)
  • チュ・チャンファ(韓国・教授)
  • ハン・グァナ(韓国・元女性家族部長官)

【Moderator Introduction】

進行役(中立的な仮想ファシリテーター):イ・チョンヒ(元国連人権担当官・架空人物)

「皆さん、本日は“なぜ慰安婦問題は今なお両国関係の核心なのか”について率直に語っていただきます。まずお聞きしたいのは——」

■ 質問1

「この問題がここまで長く尾を引く“本質的な理由”は何だと思いますか?」

古賀誠
「“和解の前提”がそもそも一致していないのです。日本側は法的に解決済みだと主張する一方、韓国側は“心”が受け入れられていない。人間関係に置き換えれば、形だけ謝って“もう水に流そう”と言っても、傷ついた相手が納得しなければ、信頼は戻りません。」

チュ・チャンファ
「“時間軸の違い”が非常に大きいです。日本は過去の問題として語りたがるが、韓国ではそれは現在に繋がる“続いている痛み”です。とくに加害責任を個人の話ではなく、国家の構造と捉えている点が大きなズレです。」

保阪正康
「根は“歴史教育”の違いです。日本では加害の記述が極端に少ない。だから若者世代が“なぜいまさら謝るのか”と思ってしまう。一方、韓国では記憶が毎年更新され続けている。そこに温度差がある限り、共通の認識は生まれにくい。」

林真理子
「“声”の有無ですね。長らく女性たちの声が押し殺されていた。語られないまま、“なかったこと”にされる痛みがある。それが後から“叫び”となって噴き出す。私はその沈黙と、そこから発せられる声の重みを感じています。」

ハン・グァナ
「一番の根源は、“尊厳”が取り戻されていないことです。女性たちは被害者であると同時に、今なお“不名誉”と戦っている。名誉が回復されない限り、国家間の合意など虚しく響くのです。」

■ 質問2

「日韓の対話がここまで“かみ合わない”最大の原因は何でしょうか?」

林真理子
「“物語”の作り方が違うからだと思います。日本では“戦争の被害国”として自分たちを描く傾向がある。一方、韓国では“植民地支配の被害国”という明確な軸がある。その物語が交わらない限り、会話は平行線のままです。」

チュ・チャンファ
「“公式の言葉と本音のギャップ”が原因です。2015年の合意でさえ、韓国国民は“心からの謝罪”とは受け取らなかった。それは言葉の問題以上に、態度、つまり“真剣さ”が伝わらなかったからです。」

古賀誠
「“謝罪に対する社会の風当たり”です。日本国内で誠実に謝ろうとする政治家や文化人が“売国奴”扱いされる。この空気が、日韓の信頼構築の妨げになっていることを、私たちはもっと自覚すべきです。」

ハン・グァナ
「“心を持った謝罪”があったかどうかが問われているのです。韓国人にとって、金額や形式よりも、真心があるかどうかが核心なのです。それが見えないと、“また騙された”という感覚が広がってしまうのです。」

保阪正康
「“歴史問題を政争の具にしてきた”ことが最大の問題です。本来なら共に解決策を探るべき知識人や政治家が、それを自らの人気取りに利用してしまった。そのたびに信頼が削られたのです。」

■ 質問3

「今後、この問題を希望に変えていくためには、何が必要だと思いますか?」

ハン・グァナ
「“対話の場を継続的に持つこと”が第一です。国と国ではなく、人と人の間で対話を重ね、信頼を築いていくしかありません。とくに女性の声をもっと聞くべきです。」

古賀誠
「“政治家の覚悟”が必要です。人気を落としても、真実に向き合う勇気があるか。私はかつて“未来の世代のために謝ろう”と訴えました。それは、責任を果たすことが、次の世代の誇りになると信じているからです。」

林真理子
「“物語の共有”です。小説でも映画でもいい。“相手の痛み”を、自分ごとのように感じられる物語を増やすこと。それが最初の一歩になると思います。」

チュ・チャンファ
「“教育”の力を信じます。歴史をねじ曲げず、感情に流されず、事実として学ぶ土壌が両国にあれば、いつか“謝罪しなくていい日”が来ると信じています。」

保阪正康
「“共同記憶”の構築です。日韓の歴史家、教育者、市民がともに一つの記憶を紡ぐ。それができた時、この問題は未来への希望に変わるでしょう。」

【Final Reflection by Moderator】

イ・チョンヒ(進行役)
「皆さん、ありがとうございました。この問題の“核心”とは、忘れられた真実ではなく、“忘れられた心”なのかもしれません。国家の論理を超えて、個人の尊厳に目を向けたときにだけ、本当の和解が始まるのだと感じました。」

慰安婦とは誰だったのか?— 記録・証言・沈黙の意味

登場人物(6名中5名登壇)

  • 日本側
     吉見義明(中央大学名誉教授・慰安婦研究の第一人者)
     桜井よしこ(ジャーナリスト)
     角田由紀子(弁護士・女性人権問題の専門家)
  • 韓国側
     キム・ボクトン(故人・元慰安婦、再現で登場)
     パク・ウォンスン(故人・元ソウル市長、人権派弁護士)

【Moderator Introduction】

進行役:イ・チョンヒ(元国連人権担当官・架空人物)

「第2の議題は、“慰安婦とは誰だったのか?”です。この問いは記録、証言、そして沈黙の意味を掘り下げるものです。まずお聞きしたいのは——」

■ 質問1

「慰安婦とは、歴史的にどんな存在だったと捉えていますか?」

吉見義明
「軍によって組織的に動員された“性奴隷”であったことは、軍の資料や証言から明確です。年齢も若く、15〜20歳前後の少女たちが多かった。個人の意思ではなく、制度としての強制性が支配していました。」

キム・ボクトン
「私は14歳で騙されて連れていかれました。“慰安婦”という言葉は聞いたこともなかった。ただ“兵隊のために働け”と言われ、逃げたら殺される場所でした。私たちは“少女”であり、“人間ではない扱い”を受けていました。」

角田由紀子
「法的に見ると、“人身売買”と“強制売春”の複合体です。女性であること、若いこと、貧しいこと——これらの条件が彼女たちを狙わせた。構造的な女性差別が制度に組み込まれていた事実を、今も社会は十分に受け止めていません。」

パク・ウォンスン
「彼女たちは“沈黙の象徴”でもあり、“正義の出発点”でもあります。証言するまでに何十年もかかった。恥とされること、嘘だと否定されることに怯えながら、それでも語った。その勇気が、韓国の人権運動の礎となったのです。」

桜井よしこ
「私は“慰安婦”という存在を語るときに、慎重であるべきだと思っています。すべてを“強制”と断言することには資料的な議論もあります。ただ、女性たちが置かれた“過酷さ”については、全く異論はありません。その痛みに向き合うべきです。」

■ 質問2

「証言というものは、歴史にどのような役割を果たすと考えますか?」

パク・ウォンスン
「証言は“沈黙の反転”です。声を出すことで初めて、事実が生きたものになる。たとえ正確でない部分があったとしても、その“恐怖と痛み”を記憶として継承することが重要です。」

桜井よしこ
「私は証言は“検証されるべき一次資料”だと考えます。感情や記憶の曖昧さを尊重しつつも、史実として取り扱うには、裏付けが必要。そこを曖昧にすると、問題が“感情戦争”になってしまう危険があります。」

キム・ボクトン
「私の証言を“嘘だ”と言われたとき、本当に悲しかった。でも、何百回でも言い直す。私が生きて語ったことが、誰かの“本当だった”を証明するのなら、私は黙らない。」

吉見義明
「証言は“国家の記録に抗う声”です。公文書では消されている事実を、被害者の口から直接聞くことで、史実の空白が埋まる。その証言と資料の整合性を、学術的に一つ一つ照らすことが、私たちの仕事です。」

角田由紀子
「証言は“法の扉を開く鍵”でもあります。戦後の日本では、民間訴訟しか方法がなかった。でも証言がなければ裁判も起きなかった。語るという行為が、女性たちを“沈黙の被害者”から“発言する主体”へと変えたのです。」

■ 質問3

「“沈黙”が意味するものとは何でしょうか? そして、それに私たちはどう向き合うべきですか?」

角田由紀子
「“沈黙”は屈辱と恥の記憶です。それを社会が“自己責任”と決めつけた結果でもあります。私たちは、その沈黙が語られるまでの“背景の暴力”を理解し、聞く耳を持たねばなりません。」

吉見義明
「“沈黙”とは、語れなかった時間のことです。語らないことをもって“なかった”とすることが、日本の歴史教育ではよく見られる。しかし、記録がないのではなく、“語らせなかった”のだという視点を持つべきです。」

桜井よしこ
「沈黙はときに“自尊心”でもあると思います。語らない選択も尊重すべきだし、語ることを強要するのもまた暴力になりえます。ですから、語った方にも、語らなかった方にも、等しく敬意を払うべきです。」

キム・ボクトン
「私は長いこと黙っていました。家族にも言えなかった。でも、年を取って、死ぬ前に本当のことを言いたかった。沈黙は“心の牢屋”です。でも、聞いてくれる人がいるとわかったとき、鍵が開きました。」

パク・ウォンスン
「“沈黙”とは国家に強いられた隠蔽です。そして、その隠蔽が続く限り、真実は地中に埋もれたままです。私たちは沈黙の意味を“責める”のではなく、“支える”責任があるのです。」

イ・チョンヒ(進行役)
「沈黙、証言、記録——それぞれが慰安婦の“本当の姿”の断片です。今日の対話を通じてわかったのは、事実の核心に近づくためには、“話されたこと”だけでなく、“話されなかったこと”にも耳を澄ませる姿勢が必要だということです。」

謝罪とは何か?国家の謝罪と被害者の許しのズレ

登場人物(6名中5名登壇)

  • 日本側
     村山富市(元首相・村山談話を発表)
     小熊英二(慶応義塾大学 教授・政治社会学)
     平田オリザ(劇作家・対話の専門家)
  • 韓国側
     文在寅(元大統領・2015年日韓合意の再評価)
     ソ・ギョンドク(誠信女子大学 教授・歴史広報活動家)

【Moderator Introduction】

進行役:イ・チョンヒ(元国連人権担当官・架空人物)

「謝罪という行為は、国家間では時に形式になり、被害者にとっては誠意の問題となります。本日は、“なぜそのギャップが埋まらないのか”を掘り下げてまいります。」

■ 質問1

「国家が謝罪したとき、それは誰に対して、どのような意味を持つべきだと思いますか?」

平田オリザ
「謝罪は“言葉”と“場面”が一体でなければなりません。たとえば舞台で、形式だけの謝罪がいかに空虚かを見せることができます。国家の謝罪も同じです。“誰が、どういう覚悟で、どこで語るか”が、謝罪の重みを決めるのです。」

ソ・ギョンドク
「国家の謝罪は、“被害者の名誉を回復する公式な行為”であるべきです。ただの儀礼や外交カードではありません。日本の過去の謝罪は“言葉だけ”で、行動や教育にはつながっていない。そこに韓国人は傷ついているのです。」

小熊英二
「謝罪は“加害者側の責任の明確化”でもあります。日本の問題は、国家が謝ったとしても、社会の中で“本当に悪かった”という感覚が浸透していない。これは謝罪の“対象”が国際社会向けに過ぎた結果だと感じています。」

文在寅
「国家の謝罪は、未来の世代のために行うものでもあります。2015年の合意も、“最終的かつ不可逆的”という言葉が逆に人々の感情を冷やしました。“終わらせる”ための謝罪は、謝罪になりません。」

村山富市
「私は首相として、日本の植民地支配と侵略を公式に謝罪しました。その時に強く意識したのは、“謝るのは国の品格だ”ということです。誰かの命を奪った国が、“すまなかった”と言うことに、時間の制限などあるはずがないのです。」

■ 質問2

「“誠意ある謝罪”とは、どんな行動を伴う必要があるとお考えですか?」

ソ・ギョンドク
「“教育の変化”が伴わない限り、誠意は伝わりません。加害の歴史を教えない国が、どんなに丁寧に謝罪しても、“また繰り返すのでは”という不安を残します。誠意とは、“次を起こさない意思”の証明です。」

村山富市
「私は“姿勢”に誠意が宿ると考えます。頭を下げること、記念碑を建てること、被害者に会うこと——すべて行動です。“心で詫びた”と言いながら何もしないのは、やはり本物ではないのです。」

平田オリザ
「“誠意”には“対話”が不可欠です。対話を重ねることでしか、誤解やズレは埋まらない。謝るだけで終わらせず、対話のテーブルを開き続けることが、もっとも深い誠意だと私は思います。」

文在寅
「“誠意”とは、“主語を変える”ことです。“もし自分の母や娘がその立場だったら”という視点を持てるか。外交文書ではなく、人間の痛みに立った行動が伴って初めて、真実の謝罪になります。」

小熊英二
「“繰り返さない構造を作ること”が誠意です。言葉より、社会の制度を見直すこと、差別や偏見の再生産を止めること。謝罪を“終わり”でなく、“出発点”にする意識が必要です。」

■ 質問3

「“許す”という行為は誰のものであり、国家はそれにどう向き合うべきでしょうか?」

村山富市
「“許し”は、強制されるものではありません。国家が謝罪したからといって、“だからもう怒るな”というのは傲慢です。むしろ、謝る側は“許してもらえるかどうか分からないが、謝る”という姿勢を貫くしかないのです。」

文在寅
「“許し”は被害者が選ぶ権利です。国家の役割は、“許されようとする態度”を継続することです。2015年の合意が失敗したのは、“許された”と勝手に解釈したところにあります。」

平田オリザ
「演劇の中で、“許す”ことがテーマになるとき、登場人物は大抵、深い葛藤と向き合います。だから私は、国家も“許されるとはどういうことか”をもっと丁寧に考えるべきだと思います。」

小熊英二
「“許す”という行為には、時間が必要です。政治は“期限”で動きますが、記憶と感情には“終わりの期限”などありません。そのずれを理解し、長い視点を持つことが求められます。」

ソ・ギョンドク
「国家ができるのは、“許しが起きる土壌”をつくることです。教育、報道、対話の文化——それらを整えないまま、“和解”を急ぐことが、これまで何度も失敗を生んできました。」

イ・チョンヒ(進行役)
「今日の対話から明確になったのは、“謝罪と許し”は契約ではなく、関係の再構築であるということです。国が謝るとは、制度が人間性を回復すること。許しとは、その回復を見守る時間と空間を与えることなのかもしれません。」

若い世代はこの問題をどう受け継ぐべきか?

登場人物(6名中5名登壇)

  • 日本側
     茂木健一郎(脳科学者)
     望月衣塑子(新聞記者・東京新聞)
     岸田奈美(作家・若者に共感される語り手)
  • 韓国側
     ペ・スジ(女優・Z世代の象徴的存在)
     イ・セヒ(若手社会運動家・大学生代表)

【Moderator Introduction】

進行役:イ・チョンヒ(元国連人権担当官・架空人物)

「世代交代が進む中で、慰安婦問題が“過去の話”として風化する危機も見られます。今日は、“若い世代にとっての受け継ぎ方”を探ります。」

■ 質問1

「あなたはこの問題を初めて知ったとき、どう感じ、どんな印象を持ちましたか?」

イ・セヒ
「私は高校の授業で“強制連行”という言葉を初めて聞きました。でも教科書では数行だけ。その後、ドキュメンタリーを観て涙が止まらなくなったのを覚えています。私たちは“数字ではない命”と出会うことが必要なんだと感じました。」

望月衣塑子
「新聞記者として最初にこの問題を取材したとき、“あまりに報じられてこなかった”ことに衝撃を受けました。記者会見で女性が声を震わせながら証言する姿は、どんな政治的言説よりも真実でした。」

ペ・スジ
「私がこの問題を意識したのは、SNSで“少女像”をめぐる論争を見たときです。“なぜ石の像がここまで問題になるの?”と感じたのが始まりでした。でも調べるほどに、声なき声が込められた像だと分かって、心が重くなりました。」

茂木健一郎
「私は脳科学者として、“共感”がどこから生まれるかに関心があります。この問題は、“データ”ではなく“体感”として伝えられたとき、若い人の脳に深く刻まれる。その最初の体験が“どう語られたか”で大きく変わるのです。」

岸田奈美
「私は母の介護をしてきた中で、“語られない苦しみ”に敏感になりました。慰安婦問題も、最初は“かわいそうな話”としてしか見られなかった。でも今は、“語ることを許されなかった人生”として、自分に近いと感じます。」

■ 質問2

「今の若い世代にとって、慰安婦問題は“どんな距離感”にあると思いますか?」

望月衣塑子
「残念ながら、“歴史のひとコマ”という程度の認識が多いです。それは学校教育やメディアの責任でもあります。でも一度“生身の声”に触れた若者は、表情が変わる。そこから始まります。」

ペ・スジ
「多くの若い韓国人にとって、“遠いけど怒りが残るテーマ”です。でも、それを正しく知ってる人は多くない。“怒る理由”だけが伝わって、“理解する機会”が足りていないと感じます。」

茂木健一郎
「距離を縮めるには、“自分の人生に引き寄せる工夫”が必要です。たとえば恋人が拉致されたら? 祖母が声を奪われたら? そういう視点があって初めて、“これは自分の物語だ”と感じられるようになります。」

イ・セヒ
「正直に言えば、“難しい話”という印象を持っている人が多いです。でも私たちの言葉で語れば、届きます。“あなたが笑えるのは、誰かが泣いたからかもしれない”という一言が、誰かの意識を変えるのです。」

岸田奈美
「私は“今を生きる私たち”が、“あの時代を生きた誰かの続き”だと信じています。その感覚が持てた時に、歴史との距離がぐっと縮まる。“昔の話”を“今の私の課題”として受け取れるかどうかが鍵です。」

■ 質問3

「若い世代がこの問題を未来に向けてどう伝えていくべきだと思いますか?」

岸田奈美
「“完璧じゃない語り方”でもいいから、自分の言葉で話すこと。それが“私は知らない”から、“私は知っている”に変わる第一歩です。感情がこもっていれば、多少下手でも人の心を動かせます。」

ペ・スジ
「アートや音楽、映像で伝えるのが私たちの世代に合っていると思います。“正しさ”ではなく“感じたこと”を表現する。正解のない世界で、だからこそ語り続ける意味があると思います。」

望月衣塑子
「若者の“当事者性”を育てる教育が必要です。“かわいそう”の一歩先にある、“なぜ?”を問う力。私たちメディアの役割は、事実を伝えるだけでなく、問いを届けることだと思います。」

茂木健一郎
「“共感を起点にすること”です。難しい理論よりも、“誰かの涙”に心が動いた経験を大切にする。それが伝播していけば、“記憶の継承”は自然に起こります。」

イ・セヒ
「私は“つなぐこと”が大事だと思います。被害者の言葉を私が聞き、それをまた次の子に伝える。これは“継承”ではなく“共有”です。“これは私たちの痛みだ”と一緒に抱える文化を作りたい。」

イ・チョンヒ(進行役)
「若い世代の力強い声から見えてきたのは、“継承”というより“共鳴”という姿勢です。歴史を引き継ぐのではなく、今を生きる自分の言葉で語りなおす。そこに、未来への新しい光が差し込んでいるように感じました。」

未来への道:正義、癒し、そして和解の条件とは?

登場人物(6名中5名登壇)

  • 日本側
     鎌田實(医師・いのちと癒しの実践者)
     稲葉奈々子(上智大学教授・社会学者)
     宮台真司(社会学者・公共倫理の視点)
  • 韓国側
     イ・ヨンジュ(心理学者・トラウマケア専門)
     チョ・ナムジュ(作家『82年生まれ、キム・ジヨン』)

【Moderator Introduction】

進行役:イ・チョンヒ(元国連人権担当官・架空人物)

「いよいよ最後の議題です。“正義とは何か?” “癒しとは何によって起こるのか?” そして“和解”は可能なのか。未来に向けて、私たちは何を選ぶべきかを語りましょう。」

■ 質問1

「あなたにとって、“正義”とはどう定義されますか? そしてこの問題における“正義の回復”とは?」

宮台真司
「正義とは、“被害を構造的に再発させない仕組み”のことです。つまり、謝罪や補償だけで終わらせるのではなく、同じような差別や暴力が起きないよう、社会の深層構造を変えること。過去の正義より、“未来の正義”を設計しなければならない。」

イ・ヨンジュ
「心理学の視点から言えば、正義とは“傷ついた者が傷ついたと認められること”です。沈黙させられた記憶に“あなたは悪くなかった”という声が届いたとき、初めて心に再生の余地が生まれます。」

稲葉奈々子
「正義とは“声を取り戻す権利”です。法的に終わっていても、心が終わっていないなら、正義は実現していません。“誰が語ることを許されて、誰が黙らされてきたか”に着目することで、新しい正義の形が見えてくるはずです。」

チョ・ナムジュ
「私にとっての正義は、“あの日、少女だった人が笑って話せる未来”です。それは“国家の立場”ではなく、“人としての信頼”を回復することから始まります。誰もが、“あなたはひとりじゃなかった”と感じられる社会。それが正義の姿だと思います。」

鎌田實
「私は医師として、“痛みを放っておかない”ことが正義だと思っています。それが癒しにもつながる。“見ないふり”は、最も大きな不正義です。人の命や尊厳に対して、“まっすぐに目を向けること”こそ、第一歩です。」

■ 質問2

「“癒し”とはどういうプロセスを経て起こるものだと考えますか?」

イ・ヨンジュ
「癒しは“安全な空間”から始まります。安心して語れる場所、泣いても許される時間。その場を社会が“意識して用意する”ことが必要です。トラウマとは“再び触れることで癒える”ものでもあります。」

鎌田實
「癒しとは、“孤独じゃないと知ること”です。痛みを一人で抱えていた女性たちが、“聞いてくれる人がいる”と知った時、心拍が変わる。人は人によって癒されます。」

チョ・ナムジュ
「私は“物語を語ること”が癒しだと思っています。自分の経験が誰かの心に届く時、それが“意味のある痛み”になる。癒しとは、“生きてよかった”と思える瞬間を取り戻すことです。」

稲葉奈々子
「癒しの前提には、“記憶の共有”があります。社会が“なかったこと”にしてしまうと、癒しは起こらない。個人の癒しは、社会の承認とセットになって初めて成立するものです。」

宮台真司
「癒しは、“絶対に正しさを押しつけないこと”から始まります。道徳や政治の正義ではなく、“あなたがどう感じたか”に価値を置くこと。人は“理解された”と感じた瞬間に、心が緩みます。」

■ 質問3

「“和解”とは何か? そして、それを成立させるために、私たちは何を選ぶべきですか?」

稲葉奈々子
「和解とは、“絶望を共有したうえで、希望をあきらめない”という共同作業です。合意書ではなく、関係性の再構築。“あなたの声はこれからも届きます”という意思表示こそが和解の種です。」

宮台真司
「和解は“非対称のまま手を取る”ということです。完全に対等にならなくても、“一緒に未来を見る”という選択。それは、違いを超えて“同じ空を見る”という人間らしさの表現です。」

チョ・ナムジュ
「私は“名前を呼ぶこと”から和解が始まると思います。“あの人”じゃなくて、“キム・ボクトンさん”と呼ぶこと。固有名詞にすることで、その人がこの世界で生きたことを私たちが覚えている証になります。」

鎌田實
「和解は“ケアの連鎖”です。誰かを癒した人が、また次の誰かを支える。それが続いていくことで、社会は少しずつ優しくなっていく。政治ではなく、人間の営みの中にこそ、和解の原点があると思います。」

イ・ヨンジュ
「和解とは、“語りを終えたときの静けさ”です。誰かが話し、誰かが聞き、そして沈黙が訪れる。その沈黙に“信頼”があるなら、それは和解だと思います。」

イ・チョンヒ(進行役)
「“正義は制度で終わらず、癒しは声によって起こり、和解は記憶の共有から始まる。”——これが、私たちが見つけた未来への三つの道しるべです。国家ができることには限界があります。しかし、人間には限界を超える力がある。その力に、私は今日、新しい希望を見ました。」

終わりに – イ・チョンヒ

五つの対話を終えて、私の胸に今、深く残っているのは——
「本当に癒されるとは、声を取り戻し、誰かにそれを聞いてもらえたときなのだ」ということです。

謝罪とは、国家の姿勢であると同時に、一人ひとりの人間の決意であり、
和解とは、“正しさ”を勝ち取ることではなく、“痛みを共有する場所”を創ることなのだと、私はあらためて学ばせてもらいました。

参加者の皆さんは、賛否や立場を越えて、
それぞれの思いと体験を“言葉”として差し出してくれました。
そこには一切の演出も装飾もなく、ただ、“人間らしさ”がありました。

もしこの対話が、どこかで忘れ去られそうになっていた記憶を、
あなたの中に静かに灯すことができたのなら——
私たちが共に費やしたこの時間は、未来への贈り物になると信じています。

どうか、この問題を「終わらせる」のではなく、「共に抱える」仲間が一人でも増えますように。
そして、いつか——
「あなたは、もう一人じゃない」と、心から言える日が、日韓両国に訪れますように。

ありがとうございました。

ショートバイオ:

保阪正康(ほさか まさやす)
日本のノンフィクション作家・昭和史研究家。戦争責任と戦後の国家意識を深く掘り下げる著作多数。元日本軍関係者の証言収集でも知られる。

林真理子(はやし まりこ)
日本を代表する作家。女性の内面や社会との葛藤を描き続ける文芸界の第一人者。近年は歴史的女性像の再評価にも意欲的。

古賀誠(こが まこと)
元自民党幹事長。保守派の中で慰安婦問題に誠実に向き合い続けた政治家。個人の良心から謝罪と和解を訴えてきた。

吉見義明(よしみ よしあき)
中央大学名誉教授。慰安婦制度の実態解明に尽力した歴史学者であり、軍文書を用いた研究の第一人者。

桜井よしこ(さくらい よしこ)
ジャーナリスト・評論家。国家観と歴史観に保守的立場を持ちながらも、女性人権の視点から慰安婦問題に関わる。

角田由紀子(すみだ ゆきこ)
弁護士・フェミニスト。性暴力・人身取引問題に長年取り組み、日本における慰安婦問題の法的理解と支援に貢献。

村山富市(むらやま とみいち)
第81代内閣総理大臣(社会党)。1995年に「村山談話」を発表し、植民地支配と侵略に対する謝罪を公式に表明。

小熊英二(おぐま えいじ)
慶應義塾大学教授。政治思想・歴史社会学を専門とし、戦後日本の歴史認識とナショナリズムを批判的に分析。

平田オリザ(ひらた オリザ)
劇作家・演出家。対話を通じた社会的橋渡しをテーマとする演劇を多数制作。市民対話・教育現場への貢献も大きい。

茂木健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者・作家。共感・記憶・意識に関する研究を通じ、教育や対話の重要性を提言。メディアでも積極的に発信。

望月衣塑子(もちづき いそこ)
東京新聞記者。政治権力と市民社会をつなぐ報道を追求し、慰安婦問題や女性の人権にも継続的に取り組む。

岸田奈美(きしだ なみ)
作家・エッセイスト。家族の介護体験や社会的弱者へのまなざしを通じた文章が共感を呼び、若者世代に広く支持される。

鎌田實(かまた みのる)
医師・作家。チェルノブイリ支援や東北支援でも知られ、医療を超えて“いのち”と“心”の回復に向き合い続ける。

稲葉奈々子(いなば ななこ)
上智大学教授。社会学者として、女性の人権、移民政策、教育格差などに関心。声を持たない人々に光を当てる研究で注目。

宮台真司(みやだい しんじ)
社会学者。現代日本の倫理・制度・公共意識に鋭く切り込み、戦後日本社会の“無意識”と責任論を問い続けている。

チュ・チャンファ(주창화)
西江大学教授。日韓関係、東アジア外交を専門とし、相互理解とメディア分析の観点から慰安婦問題にも発言。

ハン・グァナ(한광자)
元女性家族部長官。慰安婦被害者支援政策を推進し、制度的支援と名誉回復に取り組んだ女性行政の中心人物。

キム・ヨンハ(김영하)
韓国の人気小説家。深い心理描写と社会的視点を持ち味とし、記憶と尊厳をテーマに慰安婦問題にも間接的に向き合う。

キム・ボクトン(김복동)
元慰安婦被害者(故人)。晩年まで証言活動を続け、多くの韓国人の意識変化をもたらした象徴的存在。

パク・ウォンスン(박원순)
元ソウル市長・人権派弁護士(故人)。慰安婦支援、ナヌムの家支援など、法と行政の両面で女性人権擁護に尽力。

文在寅(문재인)
第19代大韓民国大統領。慰安婦合意の再評価や社会的対話を重視し、記憶継承に積極的な立場を取った。

ソ・ギョンドク(서경덕)
誠信女子大学教授。歴史認識と国際広報の専門家であり、慰安婦問題における“世界の理解”を重視する教育者。

イ・セヒ(이세희)
韓国の大学生・社会運動家。若い世代による歴史意識の共有・再解釈を訴え、次世代の“語り部”として活動。

ペ・スジ(배수지)
女優・歌手。若者を代表する韓国芸能界のトップランナーとして、社会問題にも積極的に発言する姿勢が評価されている。

チョ・ナムジュ(조남주)
作家。ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者として、女性の声なき苦悩を物語として社会に可視化した。

イ・ヨンジュ(이영주)
臨床心理士・トラウマ研究者。慰安婦を含む性暴力被害者の心理的回復に関するカウンセリング・教育活動を行う。

Filed Under: 仮想対談, 戦争 Tagged With: 元慰安婦, 対話による解決, 少女像, 慰安婦とは, 慰安婦の歴史, 慰安婦の真実, 慰安婦問題, 慰安婦教育, 慰安婦証言, 慰安婦資料, 日本と韓国の対立, 日本の謝罪, 日韓の和解, 日韓問題, 日韓関係, 歴史問題, 歴史認識の違い, 被害者の声, 謝罪と許し, 韓国の記憶

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