はじめに東野圭吾の『悪意』は、犯人を当てるための物語ではありません。むしろ恐ろしいのは、犯人が分かったあとです。なぜ野々口は日高を殺したのか。なぜ殺すだけでは足りず、死後の評判まで壊そうとしたのか。なぜ私たちは、野々口の語る物語を信じてしまったのか。今回の対話では、東野圭吾を創作上のゲストとして迎え、文学研究者、臨床心理学者、社会心理学者、物語論・メディア研究者、倫理学者が、その問いを掘り下げました。見えてきたのは、単純な「嫉妬」の物語ではありません。他人の成功を見て傷つくこと。その痛みを自分の問題として抱えられず、相手の罪へ変えてしまうこと。そして、自分の悪意を正しく見せるために、もっともらし … [Read more...] about 『悪意』を心理学で読み解く — なぜ私たちは野々口を信じたのか?
悪意
『悪意』の本当の意味とは?野々口・加賀・日高が語る嫉妬と自己正当化
はじめに『悪意』の恐ろしさは、殺人そのものだけにありません。もっと深いところにあるのは、人が自分の憎しみを正当化するために、相手についての物語まで作ってしまうことです。野々口は日高を殺した。しかし、それだけでは終わらなかった。日高を傲慢で冷酷な人間として描き、自分を長年苦しめられてきた側として語ることで、事件そのものの意味まで書き換えようとしました。そこで加賀が追い始めたのは、「誰が殺したのか」ではありません。なぜ野々口は、日高が憎まれるべき人間だったという物語を必要としたのか。そして会話が進むにつれ、問いは野々口だけのものではなくなっていきます。なぜ私たちは、詳しく語られた話を簡単に信じるのか … [Read more...] about 『悪意』の本当の意味とは?野々口・加賀・日高が語る嫉妬と自己正当化


