はじめに村田沙耶香『世界99』を読み終えたあと、私たちに残るのは、物語の意味を一つにまとめた「答え」ではありません。むしろ、いくつもの不快な問いです。如月空子には、本当に「自分」がないのでしょうか。人によって人格を変えることは、自分を失うことなのでしょうか。それとも、誰もが程度の差こそあれ行っている生存の方法なのでしょうか。女性が家事、育児、介護、生殖といった負担から解放されたとき、その負担を別の存在が引き受けているなら、それを自由と呼べるのでしょうか。傷つけられた経験は、人を優しくするのでしょうか。他人の悲劇に涙を流すことは、本当に共感なのでしょうか。それとも、その苦しみを安全な場所から消費し … [Read more...] about 村田沙耶香 世界99 考察|6人の作家・思想家が問う「本当の自分」と自由

