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Imaginary Conversation

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Exploring the World Through Dialogue.

AIは2040年に人間を超えるのか?孫正義と世界のAIリーダーが語る未来

September 3, 2026 by Nick Sasaki Leave a Comment

Softbank World 2026

はじめに

もしAIが、人間より速く考え、より多くを記憶し、より優れた研究を行い、さらにロボットまで使って現実の世界を動かすようになったら、私たちの社会はどこまで変わるのでしょうか。

今回の架空対話では、孫正義、イーロン・マスク、サム・アルトマン、デミス・ハサビス、ジェンスン・フアンの5人が、2040年のAI社会をめぐって語り合います。

出発点となるのは、孫正義が描く非常に大胆な未来像です。

100兆ものAIエージェント。

10億体規模のヒューマノイド。

巨大なAIデータセンター。

クエタ級の計算規模。

そして、人間の知的能力を大きく超えていくAI。

けれども5人の話は、単なる未来予測では終わりません。

孫が壮大な数字を出すたびに、イーロンは「その前に安全性は大丈夫ですか」と問いかける。

ジェンスンは「その電気はどこから持ってくるんですか」と現実に戻す。

デミスは「まず、その言葉を定義しましょう」と冷静に整理する。

サムは「それで普通の人の生活はどうなるんでしょう」と、技術の話を社会の話へ戻していく。

時には笑いながら、時には本気で意見をぶつけながら、5人の話題は少しずつ深くなっていきます。

AIは本当に2040年までに人間を超えるのか。

AIが大量の富を生み出した時、その富は誰のものになるのか。

ロボットが働き、人間が働かなくても生きられる社会になった時、人は何を理由に朝起きるのか。

巨大なAI社会を支える電気、半導体、冷却、送電網、工場は本当に間に合うのか。

そして最後に残るのが、最も大きな問いです。

AIが人間より賢くなった時、それでも人間にはどんな価値が残るのか。

この対話は、AIの未来についての話であると同時に、人間自身について考える話でもあります。

(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)

Insert Video

Table of Contents
はじめに
Topic 1: 2040年、本当に人類の分岐点になるのか?
Topic 2: AIが働く時代、富は誰のものになるのか?
Topic 3: 10億体のロボットが働く社会で、人間は何のために生きるのか?
Topic 4: 地球はAI時代を物理的に支えられるのか?
Topic 5: AIが人間より賢くなった時、人間らしさとは何か?
最後に

Topic 1: 2040年、本当に人類の分岐点になるのか?

大きなスクリーンには、数字が並んでいた。

100兆のAIエージェント。

10億体のヒューマノイド。

3テラワット級のAIインフラ。

クエタ級の計算規模。

そして中央には、

2040年。

しばらく全員が黙って画面を見ていた。

最初に口を開いたのはイーロン・マスクだった。

イーロン・マスク: 孫さん。

孫正義: はい。

イーロン: 一つだけ確認していいですか。

孫: もちろん。

イーロン: この数字、ゼロを一個多く打ってません?

部屋に笑いが起きた。

孫はすぐに首を振った。

孫正義: 逆です。

イーロン: 逆?

孫正義: ゼロが足りない可能性があります。

イーロン: 聞かなければよかった。

サム・アルトマンが笑いながら割って入った。

サム・アルトマン: 開始30秒で予測が大きくなりましたね。

ジェンスン・フアン: 私はもう電力会社に電話したいです。

孫正義: まだ3テラワットですよ。

ジェンスンが少し目を細めた。

ジェンスン: 「まだ」という言葉が一番怖いんです。

イーロン: 私もそこが気になりました。

孫正義: みんな心配しすぎですよ。

イーロン: 孫さんが心配しなさすぎなんです。

孫正義: だから平均するとちょうどいい。

サムが吹き出した。

サム: この5人を集めた意味が、もう出ましたね。

デミス・ハサビスだけは、まだ真剣にスクリーンを見ていた。

デミス・ハサビス: その前に、一つ定義したいです。

「AIが人間を超える」と言う時、何をもって超えたと考えるのでしょうか。

イーロンが小声でサムに言った。

イーロン: 来ましたね。

サム: デミスの「まず定義しましょう」。

デミスが二人を見る。

デミス: 聞こえています。

孫が笑った。

孫正義: デミスが定義している間に、私は2040年まで行ってきます。

また笑いが起きた。

デミス: それが速すぎるので止めているんです。

孫正義: では急いで定義してください。

デミス: 知能にはいろいろな能力があります。

計算。

記憶。

推論。

計画。

言語。

科学研究。

創造。

一つの分野で人間を超えることと、複数の領域を横断しながら長期間、自律的に問題を解決することは別です。

孫正義: でも、その境界はどんどん消えているでしょう。

デミス: それはそうです。

孫正義: では一票。

デミス: まだ投票していません。

イーロン: 孫さん、採決が早すぎます。

孫正義: 経営ではスピードが大事です。

ジェンスン: 科学では確認も大事です。

孫正義: 今日は厳しい人が多いですね。

サムが笑った。

サム: 孫さんが一人で未来を15年先まで進めているからです。

孫はスクリーンを指した。

孫正義: でも考えてください。

人間はずっと言ってきたんです。

AIには画像認識は難しい。

自然な翻訳は無理。

文章は書けない。

コードは書けない。

推論は無理。

科学は無理。

ところが、その「無理」が毎年消えている。

イーロン: それは事実です。

孫正義: 一票。

イーロン: 違います。

孫正義: またですか。

サム: 孫さん、「一部同意」を全部「全面支持」に変換していますね。

孫正義: 未来を見る時は、小さい字を読まないんです。

ジェンスン: 契約書では読んでください。

大きな笑いが起きた。

デミスも少し笑ってから続けた。

デミス: 私が本当に大きな転換点だと思うのは、AIが自分で科学的な問いを発見する時です。

人間が問題を与えるのではなく、

「ここにはまだ誰も気づいていない重要な問題がある」

とAI自身が見つける。

仮説を作る。

実験を設計する。

結果を見て、自分の考えを修正する。

それを何か月も続ける。

そうなれば、かなり大きな変化です。

孫正義: 2040年より早いですね。

デミス: そこは言っていません。

イーロン: 孫さんは本当に都合のいい部分だけ速い。

孫正義: だから未来が見えるんです。

サム: 便利な理論ですね。

孫は楽しそうに笑った。

孫正義: でもね、問題はある日突然「超知能」が出てくるかどうかではないと思っています。

少しずつでも十分なんです。

今日、AIが30分の仕事をする。

次は一日の仕事。

次は一週間。

その次は一か月。

人間がずっと横についていなくても、自分で仕事を進める。

そこまで来たら、会社の形そのものが変わる。

サム: そこは私も重要だと思います。

今は人がAIを使う。

でも次は、AIが仕事の流れそのものを動かす。

営業AIが調達AIと話す。

法務AIが契約を確認する。

研究AIが設計AIと相談する。

人間が毎回指示しなくても進む。

孫正義: それが100兆エージェントです。

サム: 100兆まで行くかは別として。

孫正義: 行きます。

サム: まだ最後まで言っていません。

イーロン: 数字に対する愛が強いですね。

孫正義: 数字があると未来が見えるんです。

ジェンスン: 電力使用量も見えます。

孫正義: まだ電気の話をするんですか。

ジェンスン: まだ一回目です。

イーロン: 彼は後半もっと来ますよ。

サムが少し考えてから言った。

サム: でも100兆という数字は、定義によっては面白いです。

私たちはAIエージェントを、一人のデジタル社員のように考えがちです。

でも将来は、3秒だけ存在するエージェントもあるかもしれない。

「この契約のこの一文だけ確認して」

「この商品の最安値だけ探して」

「このルートだけ計算して」

終わったら消える。

ジェンスン: その定義なら、数は一気に増えます。

デミス: そうですね。

エージェントをどこから一体と数えるかで、100兆という数字の意味はかなり変わります。

孫が満面の笑みになった。

孫正義: ありがとうございます。今日3人目です。

デミス: 私は賛成したとは言っていません。

孫: 「完全には否定できない」は、経営者にとってほぼ賛成です。

イーロン: 株主総会では使わない方がいいと思います。

ジェンスン: 監査でも。

サム: 今日は孫さんの翻訳機能が一番危険ですね。

笑いが続いた後、イーロンが少し真剣な顔になった。

イーロン: 私が気にしているのは、100兆という数そのものではありません。

AIがAIを改善し始める瞬間です。

孫がすぐに頷いた。

孫正義: そこです。

イーロン: だから心配なんです。

孫正義: だから楽しみなんです。

サム: 同じ景色を見て、感情だけが逆ですね。

イーロン: 孫さんはアクセルを見ている。

孫正義: イーロンはブレーキを見ている。

ジェンスン: 私はバッテリー残量を見ています。

全員が笑った。

デミス: AIによるAI研究の加速は確かに重要です。

ただ、「AIがAIを改善する」から、すぐに無限の自己改善が始まるとは限りません。

より優れた知能を設計することは、AIにとっても難しい可能性がある。

イーロン: それでも十分です。

30%研究が速くなる。

次に60%。

そのAIが新しい研究ツールを作る。

それだけでも未来の時間軸は変わります。

サム: 一晩で何もかも変わる必要はないんです。

持続的な加速だけで、社会にはかなり大きな影響が出ます。

孫正義: だから私は15年先を見る。

ジェンスン: ソフトウェアには15年は長いです。

物理設備には短い。

孫正義: また電気ですか。

ジェンスン: 今度は工場です。

孫正義: どちらにしても物理ですね。

ジェンスン: そうです。

AIは数か月で大きく進歩することがあります。

でも半導体工場は数か月ではできない。

発電所も。

送電網も。

変圧器も。

巨大データセンターも。

知能の進化速度と、物理世界の建設速度は同じではありません。

孫正義: だから今から作るんです。

ジェンスン: そこは賛成です。

孫がすぐサムを見る。

孫正義: 一票。

ジェンスン: 今のは本当に一票でいいです。

イーロン: 記念日ですね。

サムが笑いながら言った。

サム: では、少し厳しい質問に行きましょう。

孫さんの2040年予測。

一つだけ外れるとしたら、どれですか。

孫が即答した。

孫正義: 外れません。

イーロン: 0.3秒でしたね。

サム: 少し考えてください。

孫正義: 考えました。

ジェンスン: 今ですか?

孫正義: 20年前から。

笑いが起きた。

サム: では他の4人から。

デミス?

デミス: 私はクエタ級の計算規模と「知能」を直接つなげる部分を慎重に見ます。

計算量は重要です。

ただ、計算量がそのまま知能になるわけではありません。

アルゴリズム。

データ。

モデル構造。

学習方法。

全部が関係します。

孫正義: つまりクエタになればいいだけではない。

デミス: そうです。

孫正義: ではクエタより賢く使えばいい。

デミスが一瞬黙った。

デミス: まあ、それはそうです。

孫正義: 一票。

デミス: また始まりました。

サムがジェンスンを見る。

ジェンスン: 私は3テラワットという最終規模より、その到達速度を疑います。

発電。

送電。

冷却。

土地。

半導体。

水。

建設。

許認可。

全部が同時に必要です。

孫正義: 解決します。

ジェンスン: 何をですか。

孫正義: 全部。

イーロン: 孫さんの回答、時々すごく短いんですよね。

サム: 数字は大きいのに。

また笑いが起きた。

サム: イーロンは?

イーロン: 10億体のヒューマノイド。

ソフトウェアはコピーできます。

ロボットは作らないといけない。

モーター。

アクチュエーター。

バッテリー。

センサー。

工場。

材料。

物流。

整備。

物理世界は遅いです。

孫がすぐ返した。

孫正義: ロボットがロボットを作ればいい。

イーロン: そこまで行けば話は変わります。

孫正義: ほら。

イーロン: 「ほら」ではないです。

条件付きです。

孫正義: 条件は満たします。

イーロン: そういうところが怖いんです。

孫正義: そういうところが面白いんです。

サムが笑いながら自分の答えを話した。

サム: 私は100兆という数より、一体あたりの能力を見たいですね。

100兆いても数秒の単純作業しかしないなら、影響はある程度限定される。

逆に1000万しかいなくても、一体一体が数週間の仕事を自律的に完了できるなら、影響はとても大きい。

デミス: 数より能力。

サム: そうです。

孫が少し考えた。

孫正義: では私も一つ認めましょう。

全員が孫を見る。

イーロン: 何が起きるんですか。

孫正義: 数字は少し外れるかもしれません。

イーロンが大げさに椅子から身を乗り出した。

イーロン: 今日一番のニュースです。

孫正義: 50兆かもしれないし、200兆かもしれない。

ジェンスン: 誤差が150兆あります。

サム: それを「少し」と言うんですね。

孫正義: 2040年から見れば小さいです。

イーロン: 時間まで数字を味方につけましたね。

部屋の空気が少しほぐれたところで、サムが次の問いを出した。

サム: では逆です。

もし2040年が外れるとしたら、

遅れると思いますか。

それとも、もっと早く来ると思いますか。

笑いが少し消えた。

イーロンが先に答えた。

イーロン: 早まる可能性はあります。

孫の顔が明るくなった。

孫正義: でしょう。

イーロン: その顔をしないでください。

孫正義: どの顔ですか。

イーロン: 「私は正しかった」の顔です。

孫正義: まだ言っていません。

サム: 顔が先に言っています。

笑いが戻った。

イーロン: もしAIがAI研究そのものを本格的に加速し始めたら、2035年、2040年という予測自体が不安定になります。

今の予測は、人間研究者の速度を前提にしている。

その前提が崩れたら、未来の進み方も変わる。

デミス: 科学でも同じです。

AIが人間の問いに答えるだけではなく、新しい問い自体を作り始めたら、研究の速度は変わります。

ジェンスン: でも物理世界は追いつかないかもしれない。

強いAIエージェントは早く普及する。

10億体のロボットは遅れる。

そういうバラバラな未来もあり得ます。

サム: ある部分では2032年。

別の部分では2045年。

孫正義: それでも企業は先に変わります。

人間がAIを使う会社から、

AIが業務を回す会社へ。

そこが大きい。

経理AIが動く。

法務AIが動く。

営業AIが動く。

調達AIが動く。

AI同士で交渉する。

24時間止まらない。

ジェンスン: そして24時間電気を使う。

孫がジェンスンを見る。

孫正義: そこまで電気が好きなら、電力会社を買いましょうか。

ジェンスンが笑った。

ジェンスン: 買う話になりましたね。

イーロン: 孫さんに「不足しています」と言うと、だいたい「買います」になる。

サム: そのうち地球を買いそうですね。

孫正義: 高すぎます。

一瞬、全員が笑った。

孫正義: 今のところは。

イーロン: 「今のところ」を付けないでください。

笑いが大きくなった。

その後、デミスが声を少し落とした。

デミス: もう一つ、能力以上に大切な問題があります。

信頼性です。

AIが99%正しい。

日常の補助ならすばらしい。

でも巨大企業の資金移動や、医療や、エネルギー設備を自律的に任せるなら、残り1%が大きな問題になります。

サム: そうですね。

メールなら99%でも便利。

数十億ドルなら99%では怖い。

イーロン: ロケットならもっと怖い。

ジェンスン: 半導体設計も。

孫が腕を組んだ。

孫正義: では別のAIにチェックさせる。

イーロンがすぐに返した。

イーロン: そのAIは誰がチェックします?

孫正義: また別のAI。

イーロン: その次は?

孫正義: もっと賢いAI。

イーロンが数秒、孫を見つめた。

イーロン: もう宗教みたいになってきましたね。

部屋が爆笑した。

孫も大きく笑った。

孫正義: 宗教じゃないですよ。

冗長性です。

サム: 名前を変えただけでは?

孫正義: 名前は大事です。

デミス: ただ、冗談の中に重要な問題があります。

複数のAIが同じ学習方法、同じデータ、同じ設計なら、同じ間違いをする可能性があります。

AIがAIをチェックするだけでは、独立した検証にならないことがある。

ジェンスン: ハードウェアでも同じです。

複数あるだけでは足りません。

故障原因が別であることが重要です。

サム: 将来のAI社会には、技術だけでなく制度的なチェックも必要になりますね。

イーロン: そこです。

孫が頷いた。

孫正義: 私は安全性に反対していませんよ。

止まることに反対しているんです。

イーロン: 私は進むことに反対していない。

無謀に進むことに反対している。

孫正義: では違いは、どこからが無謀か。

イーロン: そうですね。

孫正義: 私はここ。

孫がテーブルの前の方を指した。

イーロン: 私はその5メートル前。

ジェンスン: 私は途中に変電所を置きたいです。

全員がまた笑った。

デミスが静かにまとめた。

デミス: たぶん本当の違いは、AIが進むかどうかではありません。

進む可能性が高い。

問題は、不確実性をどこまで許容しながら進むかです。

ジェンスン: 技術ではいつも同じです。

リスクゼロを待つわけにはいかない。

でも測らずに進むわけにもいかない。

イーロン: 橋ならそれでいいんです。

橋が自分で設計を変え始めなければ。

ジェンスンが苦笑した。

ジェンスン: そこは認めます。

しばらく静けさが続いた。

サムが最後の質問をした。

サム: では、一人ずつ。

2030年までに何が起きたら、

「孫さんの2040年像は、本当に始まっている」

と思いますか。

孫がすぐに答えた。

孫正義: 企業の中心が、人間からAIエージェントへ移り始めた時です。

人間がAIを使うのではない。

AI同士が仕事を進める。

人間は重要な判断をする。

それが普通になった時、2040年はもう始まっています。

ジェンスンが続いた。

ジェンスン・フアン: 私はインフラ投資です。

今の常識では大きすぎると感じる規模の発電、送電、半導体、データセンター投資が始まった時。

その時は、企業や政府の前提自体が変わっています。

孫正義: その時は電話してください。

ジェンスン: たぶん孫さんから先に電話が来ます。

少し笑いが起きた。

デミス・ハサビス: 私は科学です。

AIが、人間が気づかなかった重要な問いを自分で見つける。

仮説を作り、実験し、修正し、新しい発見をする。

それが複数分野で繰り返されるようになったら、非常に大きな転換点だと思います。

サム・アルトマン: 私は長期の自律作業です。

月曜日に複雑な仕事を渡す。

数週間後に戻ってきたら、

AIが人間、ソフトウェア、交渉、書類、予想外の問題まで処理して、仕事を終わらせている。

そこまで来たら会社の意味が変わります。

全員がイーロンを見る。

イーロンは少し考えてから答えた。

イーロン・マスク: AIがAI研究で、人間が予想していなかった改善方法を繰り返し見つけ始めた時です。

単にコードを書くのが速いということではない。

研究の方向そのものをAIが見つける。

それが起きたら、2035年とか2040年という数字は、かなり意味を失うかもしれない。

孫がすぐに身を乗り出した。

孫正義: もっと早い?

イーロン: 可能性はあります。

孫正義: ほら。

イーロン: またその顔。

孫正義: 今日はいい日ですね。

イーロン: 私は「早く来てほしい」とは一度も言っていません。

孫正義: でも近いとは言った。

イーロン: 近いなら慎重に準備しろ、と言っています。

孫正義: 私は近いなら大胆に準備しろ、と言っています。

ジェンスンが二人を見た。

ジェンスン: それ、両方やればいいんじゃないですか。

サムが頷いた。

サム: たしかに。

デミス: 慎重さと前進は、反対ではありません。

イーロンも小さく頷いた。

孫はスクリーンを見上げた。

100兆。

10億。

3テラワット。

クエタ。

2040年。

先ほどまで笑いの材料になっていた数字だった。

孫はしばらく画面を見た後、静かな声で言った。

孫正義: 私はね、この数字が全部ぴったり当たるかどうかを一番大事だと思っていないんです。

50兆かもしれない。

200兆かもしれない。

2038年かもしれない。

2043年かもしれない。

数字は外れる。

でも方向を外してはいけない。

誰も口を挟まなかった。

孫正義: 本当に考えなければならないのは、

人類が、

「知能が希少ではなくなる世界」

に向けて準備できているのか。

それだけです。

今度はイーロンも笑わなかった。

ジェンスンも電気の話をしなかった。

デミスはスクリーンを見つめたままだった。

そしてサムが、ゆっくり次の問いを口にした。

サム: もし知能が希少ではなくなって、

AIが働き、

AIが研究し、

AIが交渉し、

AIが富まで生み出すようになったら、

次に考えるべきことは一つですね。

孫がサムを見る。

サム: その富は、誰のものになるんでしょう。

イーロンが小さく笑った。

イーロン: それは100兆より揉めそうですね。

孫も笑った。

孫正義: いいですね。

次はそれをやりましょう。

Topic 2: AIが働く時代、富は誰のものになるのか?

Topic 1の最後に、サム・アルトマンが問いかけた。

サム・アルトマン: もし知能が希少ではなくなって、AIが働き、AIが研究し、AIが交渉し、AIが富まで生み出すようになったら、その富は誰のものになるんでしょう。

イーロン・マスクがすぐに口を開いた。

イーロン・マスク: たぶん、ここからの方が100兆より揉めます。

孫正義: 大丈夫です。富は増えるんです。

イーロン: 「増える」と「みんなに届く」は同じではないですよ。

孫: でも社会全体は豊かになります。

イーロン: GDPが上がっても、家賃が払えない人はいます。

サムが二人の間に入った。

サム: 今日は開始20秒で本題ですね。

ジェンスン・フアン: 私はまだ電気の話をしていません。

孫: 今日は最後までしなくていいですよ。

ジェンスン: それは無理です。

笑いが起きた。

デミス・ハサビスが静かに話し始めた。

デミス・ハサビス: まず、二つ分けた方がいいと思います。

AIがどれだけ富を作るか。

その富がどう分配されるか。

これは別の問題です。

孫正義: もちろん。

イーロン: そこは全員同意ですね。

孫: 一票。

イーロン: もう集計しなくていいです。

サムが笑った。

サム: Topic 1からまだ続いていたんですね。

孫はテーブルに置かれた資料を指した。

孫正義: 私は、AIが社会全体の生産力を大きく上げると思っています。

一人の人間が100のAIエージェントを使う。

1000使う。

小さな会社でも、昔なら大企業にしかできなかったことができる。

これは富の集中だけではありません。

富を作る能力そのものが広がるんです。

イーロン: そこは本当に可能性があります。

孫: 一票。

イーロン: だからそれをやめてください。

部屋に笑いが広がった。

サム: でも、孫さんの言っていることには大きな可能性があります。

今、会社を作ろうとすると、人を雇う必要があります。

エンジニア。

デザイナー。

マーケティング。

会計。

法務。

営業。

でも将来、一人の人がAIチームを持てるかもしれない。

ジェンスン: 個人が組織のようになる。

デミス: 研究者一人が仮想研究所を持つような形もあり得ます。

孫: そうなんです。

20歳。

資金は少ない。

社員ゼロ。

でもAIエージェントが100体いる。

研究担当。

営業担当。

会計担当。

動画担当。

顧客対応担当。

その人はもう一人ではない。

イーロン: でも競合企業は100万体持っているかもしれない。

孫がすぐ返した。

孫正義: なら100万体より賢く使えばいい。

イーロン: その回答、すごく孫さんらしい。

サム: 「足りなければ工夫する」が一瞬で出ますね。

ジェンスン: 私は「100万体分のGPUは?」と聞きたいです。

孫: 今日は富の話です。

ジェンスン: 富を作る前に請求書があります。

笑いが起きた。

サムが話を戻した。

サム: でもイーロンの指摘も重要です。

AIが個人を強くする可能性がある一方で、巨大な計算資源を持つ企業はもっと強くなる可能性もある。

両方が同時に起こるかもしれません。

デミス: そうですね。

個人の能力は上がる。

でも基盤となる計算資源、モデル、独自データを持つ企業の価値も上がる。

つまり、

「個人が強くなること」と「集中が進むこと」は両立します。

孫正義: でも技術は安くなります。

昔、巨大なコンピューターは政府や大企業しか持てなかった。

今はスマートフォンの中にものすごい計算能力がある。

AIもそうなります。

イーロン: ただ、最先端はずっと高価かもしれない。

ジェンスン: 最先端の計算設備はかなり資本が必要です。

でも、その上のサービスは多くの人に届く可能性があります。

半導体工場を所有しなくてもソフトウェア会社は作れる。

サム: つまり、AIそのものを所有しなくても、AI能力を借りられる。

イーロン: その時、誰から借りるかが重要になります。

サムが頷いた。

サム: そこですね。

もし「知能」がレンタルサービスになったら、その入口を持つ会社はかなり強い。

孫正義: でも競争はあります。

イーロン: あります。

ただし、最も賢いAIがさらに良い商品を作り、さらに良いAIを作り、さらに多くの利益を得るなら、差が複利で広がる可能性がある。

デミス: 能力差が自己増幅する構造ですね。

ジェンスン: スケールにはコスト面の優位もあります。

大量購入。

設備利用率。

データ。

インフラ効率。

孫正義: でも新しい会社も生まれる。

イーロン: 孫さんは、資本主義に対する信頼がかなり強いですね。

孫: 起業家ですから。

イーロン: それは理由になっています。

サムが笑った。

サム: では、もう少し厳しい形で聞きましょう。

AIが社会全体の富を10倍にしたとします。

普通の人の生活も10倍良くなるでしょうか。

孫は少し考えた。

孫正義: 自動的にはなりません。

イーロンがすぐに反応した。

イーロン: おお。

孫: 何ですか。

イーロン: 今日2回目の大ニュースです。

孫: 私だって何でも自動的に良くなるとは思っていません。

ジェンスン: AI以外は。

笑いが起きた。

孫正義: でも、富が10倍になれば選択肢は増えます。

物価が下がる。

サービスが安くなる。

医療が良くなる。

教育が良くなる。

個人でもAIを使える。

サム: それでも、所得の問題は残ります。

孫: 価格が下がれば必要なお金も減る。

イーロン: でも家や土地のように、限りがあるものは残る。

デミス: 人間の時間や注目も希少なままです。

ジェンスン: エネルギーも。

孫がジェンスンを見る。

孫正義: やっぱり言いましたね。

ジェンスン: 我慢しました。

部屋が笑った。

デミスが続けた。

デミス: もう一つ、AIが科学を進めた場合、社会全体に巨大な恩恵が出る可能性があります。

新薬。

新素材。

新しい治療。

より良いエネルギー。

こうしたものは株価だけでは測れません。

サム: つまり、富の分配には現金だけでなく、アクセスもある。

教育へのアクセス。

医療へのアクセス。

高度なAIへのアクセス。

デミス: そうです。

イーロン: もしかすると将来、「優秀なAIを使えること」が教育を受けられることと同じくらい重要になる。

ジェンスン: 認知インフラですね。

孫正義: いいですね。

全員が自分のAIエージェントを持つ。

サム: そこはすごく大事です。

もし一部の企業だけが強力なAIを持つ未来なら、富は集中しやすい。

逆に、一人一人が強いAIを持てるなら、生産能力がかなり広く配られる。

イーロン: ただし、「自分のAI」が本当に自分のものかは確認した方がいい。

孫: どういうことですか。

イーロン: そのAIは誰の利益を優先しているのか。

あなたですか。

広告主ですか。

運営会社ですか。

政府ですか。

プラットフォームですか。

サム: これはかなり重要ですね。

個人AIが自分のメール、健康、家族、金融、仕事、好み、全部を知るようになったら、かなり親密な存在になります。

デミス: そのAIを誰が更新できるか。

誰が行動ルールを変えられるか。

誰がデータを見られるか。

そこは大きな問題です。

孫正義: では、個人がコントロールできる形にする。

イーロン: それならかなり良くなる。

孫: 一票。

イーロン: もう止められないですね。

サムが笑った。

サム: 今日の最終集計が楽しみです。

ジェンスンが少し身を乗り出した。

ジェンスン: でも、ここで一つ考えたい。

AIが大量の仕事をした時、会社というものはどう変わるのでしょう。

今は会社を従業員数で見ます。

100人。

1000人。

10万人。

でも将来、

50人の人間と5万のAIエージェントがいる会社。

それは何人の会社ですか。

イーロン: 5万50人。

サム: 会計士が嫌がりそうですね。

孫正義: AI会計士にやらせればいい。

ジェンスン: 解決が速い。

デミス: ただ、法的にはかなり難しいです。

AIは労働者なのか。

資産なのか。

ソフトウェアなのか。

代理人なのか。

サム: 税金は誰が払う?

イーロン: AIが契約を締結して利益を出した場合、責任は誰にある?

ジェンスン: AIが別のAIを雇ったら?

孫正義: 会社ですね。

イーロン: 孫さん、すごく楽しそうですね。

孫: 新しい会社の形が見えてきた。

サム: まだ税務署が追いついていません。

笑いが起きた。

デミス: でも本当に、経済制度は人間労働を前提に作られています。

所得税。

雇用保険。

年金。

労働法。

会社法。

AIが大きな生産主体になったら、制度の前提が変わります。

イーロン: 人間の賃金に依存した税収も弱くなる可能性があります。

孫正義: だから自動化に重い税金をかける、という話になりますか。

イーロン: 必ずしも。

孫: 私は反対です。

サム: まだ誰も提案していません。

孫: 先に反対しておきます。

部屋が笑った。

ジェンスン: 未来対応が速いですね。

孫: 2040年を見ていますから。

イーロン: 税制だけ2030年に戻ってきてください。

サムが少し真剣な表情になった。

サム: 私は所有の問題がかなり大事になると思います。

もしAIが巨大な富を作るなら、普通の人がその富の一部を所有できる仕組みがあるか。

AI企業の株。

国家レベルのAI基金。

市民配当。

公共AI。

いろいろな形が考えられる。

孫正義: ただ、成功した企業から全部取ってしまったら、次の投資ができなくなる。

サム: もちろん。

だから「全部取る」という話ではないです。

イーロン: インセンティブを壊さずに広く分配する方法を探す。

デミス: それは難しいですが、避けて通れないでしょうね。

ジェンスン: そして誰がリスクを取ったかも考える必要があります。

巨大な設備投資があります。

失敗する可能性もある。

孫正義: そうです。

私はそこを言いたい。

成功だけ見て「分けてください」ではなく、その前に何兆円も投資して失敗する可能性を引き受けている。

イーロン: 孫さんの場合、「何兆円」が日常会話みたいに出ますね。

孫: 今日は数字を抑えています。

ジェンスン: どこがですか。

笑いが起きた。

サムが話題を少し変えた。

サム: では、もっと根本的に聞きます。

将来、人間を雇うよりAIを持つ方が経済的に価値が高くなったら、人間の労働はどうなりますか。

一瞬、場が静かになった。

イーロンが先に話した。

イーロン: ここはかなり大きな転換です。

産業革命では、人間の筋力の一部が機械に置き換わった。

コンピューターでは、情報処理の一部が置き換わった。

でもAIとロボットが同時に進めば、

知的労働と肉体労働の両方に影響が出る。

デミス: 過去は「別の仕事へ移る」という答えがありました。

今回も新しい仕事は生まれるでしょう。

ただ、その新しい仕事もAIができる可能性があります。

孫正義: それでも人間がやりたい仕事は残ります。

イーロン: 「できる仕事」と「経済的に必要な仕事」は別です。

孫: 人間は起業すればいい。

イーロン: 全員が起業家にはなりません。

孫正義: 今より多くはなれます。

一人で100のAIを持てるんですよ。

サム: そこは孫さんの未来像の中で、かなり魅力的な部分です。

小さな個人が大きな能力を持てる。

デミス: でも同時に、すべての人がその変化に簡単に適応できるわけではありません。

40年同じ仕事をしてきた人に、

「明日からAI起業家になってください」

と言っても難しい。

孫正義: それはそうですね。

イーロン: 今のは素直でしたね。

孫: 私だって素直ですよ。

ジェンスン: 100兆以外は。

笑いが起きた。

サムが続けた。

サム: そこで移行期が問題になります。

最終的に社会が豊かになるとしても、その途中で仕事を失う人が大量に出たら、政治も社会も不安定になる。

デミス: 技術変化の最終状態だけでなく、そこへ行く途中を考える必要があります。

イーロン: 人間は「最終的には良くなるから」という説明だけでは生活できません。

家賃は今月払う必要があります。

孫が頷いた。

孫正義: だから企業も政府も準備しないといけない。

再教育。

AIへのアクセス。

新しい仕事。

新しい所有。

それを今から考える。

サム: ここはかなり一致していますね。

イーロン: 孫さん、一票と言わないでください。

孫: 五票。

一瞬の沈黙の後、全員が笑った。

ジェンスン: 自分の票まで入れましたね。

孫: 経営権がありますから。

笑いが収まったところで、サムが最後の質問をした。

サム: では一人ずつ答えましょう。

AIが社会全体の富を10倍にしたとします。

普通の人は、その富から何を受け取るべきでしょう。

孫から。

孫正義: 機会です。

AIを使える機会。

起業できる機会。

学べる機会。

自分のエージェントを持てる機会。

昔なら大企業にしかなかった知能を、一人一人が持てる。

これが一番大きい。

サム: イーロン。

イーロン・マスク: 生活に必要な豊かさへのアクセスです。

食事。

住居。

医療。

教育。

移動。

そして高度なAI。

将来、直接的な所得や配当の仕組みが必要になる可能性もあります。

サム: デミス。

デミス・ハサビス: 私は知識と科学の恩恵です。

AIによって生まれた新薬、新技術、新しい教育を、一部の人だけではなく広く使えるようにする。

それは非常に大きな富の共有です。

サム: ジェンスン。

ジェンスン・フアン: ツールへのアクセスですね。

計算能力。

AIモデル。

教育。

作るための道具。

多くの人がAIで何かを作れる社会の方が、一部の組織だけがAIを使う社会より健全です。

サムが少し考えてから、自分の答えを続けた。

サム・アルトマン: 私は所有です。

すべての人が同じ量を持つという意味ではありません。

でもAIが文明の主要な生産資産になるなら、普通の人にもその成長に参加できる道があった方がいいと思います。

孫が頷いた。

孫正義: 機会、アクセス、知識、ツール、所有。

悪くないですね。

イーロン: 孫さんが一つにまとめると、すぐ投資資料みたいになりますね。

ジェンスン: 次のページに市場規模が出ます。

孫: ありますよ。

イーロン: やっぱり。

笑いが起きた。

しかしイーロンは、その後少し声を落とした。

イーロン: ただ、私は最終的には、経済問題よりもっと難しい問題が来ると思います。

孫: 何ですか。

イーロン: もし機械が十分な富を作って、普通の人が働かなくても生きられるようになったら、

「どうやって生活するか」

という問題は少し小さくなる。

その代わりに、

「何のために生きるか」

という問題が大きくなる。

孫は少し笑った。

孫正義: 人間は自由になるんです。

イーロン: 自由になって、何をします?

孫: 好きなことをする。

イーロン: 好きなことがわからない人は?

孫は一瞬考えた。

そして笑った。

孫正義: それはAIに聞けばいい。

イーロンが天井を見上げた。

イーロン: また戻りました。

サムが吹き出した。

ジェンスン: そのAIも電気を使います。

孫がジェンスンを見る。

孫正義: Topic 3に行きましょう。

部屋に笑いが広がった。

しかし、最後に残った問いは笑いでは消えなかった。

もしAIが富を作り、

ロボットが働き、

人間が生活のために働かなくてもよくなった時、

人類が直面する一番大きな問題は、

お金ではないかもしれない。

必要とされなくなった時、人は何を理由に朝起きるのか。

次の話題は、そこから始まることになった。

Topic 3: 10億体のロボットが働く社会で、人間は何のために生きるのか?

Topic 2の最後、孫正義は笑いながら言った。

孫正義: 好きなことがわからないなら、AIに聞けばいい。

イーロン・マスクは天井を見上げた。

イーロン・マスク: また戻りましたね。

ジェンスン・フアン: そのAIも電気を使います。

孫がジェンスンを見る。

孫正義: 今日は本当に電気が好きですね。

ジェンスン: AIより先に請求書が来ますから。

部屋に笑いが広がった。

サム・アルトマンが笑いながら手を上げた。

サム・アルトマン: では、今度こそ本題に行きましょう。

もしAIが知的作業をかなり引き受けて、ロボットが肉体労働もやるようになったら、人間は何をするのか。

孫は待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。

孫正義: それは簡単ですよ。

好きなことをすればいい。

イーロン: さっき聞きました。

孫: 大事なことは何回でも言うんです。

イーロン: 100兆も何回も言いますね。

孫: それも大事です。

サム: Topic 3でも100兆は生き残るんですね。

デミス・ハサビス: 私は、その「好きなことをする」という言葉を少し分けて考えたいです。

イーロンがサムを見る。

イーロン: 来ました。

サム: 「まず定義しましょう」。

デミス: だから聞こえています。

孫が笑った。

孫正義: では今日は何を定義します?

デミス: 幸福です。

一瞬、部屋が静かになった。

孫: 急に大きいですね。

イーロン: 100兆より大きいかもしれません。

ジェンスン: しかも電力で解決できない。

孫: まだわかりませんよ。

また笑いが起きた。

デミスは続けた。

デミス: 人間は自由時間が増えれば、自動的に幸福になるのでしょうか。

そこが気になります。

仕事は収入だけではありません。

毎朝起きる理由になる。

人と会う場所になる。

自分が役に立っているという感覚を与える。

肩書きになる。

生活のリズムになる。

それが急になくなった時、人間は本当に「自由になった」と感じるでしょうか。

孫正義: 最初は感じるでしょう。

イーロン: 最初の3週間くらいは。

サム: 3週間ですか。

イーロン: 4週間でもいいです。

孫: 私は3日で仕事を始めると思います。

ジェンスン: 孫さんは休暇中でも投資先を探してそうです。

孫: 休暇だから探せるんですよ。

イーロン: それは休暇ではないです。

部屋が笑った。

サムが話を戻した。

サム: でも、ここはすごく大事です。

多くの人が「仕事が嫌い」と言う。

でも仕事がなくなった時、嫌いだった仕事の中に自分の生活を支えていたものがたくさん入っていたと気づくかもしれない。

デミス: そうですね。

「仕事がなくなる」より、

「自分が必要とされなくなったと感じる」

方が心理的には重いかもしれません。

孫の表情が少し真剣になった。

孫正義: でも、人間の価値は仕事で決まるものではないでしょう。

サム: そこです。

もしかすると、AIは私たちが長い間持っていた変な思い込みを壊すのかもしれない。

「たくさん働く人ほど価値がある」

「高い給料をもらう人ほど価値がある」

「市場で高く評価される人ほど価値がある」

本当にそうだったのか。

イーロン: たぶん違います。

ジェンスン: 子どもを育てることには大きな価値があります。

でも給料が出るとは限らない。

デミス: 病気の家族に付き添うこともそうです。

友人の話を聞くことも。

誰かを許すことも。

そういうものは経済指標では見えにくい。

孫正義: だから私はむしろAI時代を楽観しているんです。

人間が「役に立たないと価値がない」という考えから自由になれる。

イーロンが少し首をかしげた。

イーロン: それは理想としてはいい。

ただ、社会の仕組みが変わるより、人間の心理の方が遅いかもしれない。

孫: どういうことですか。

イーロン: たとえば40年間、「仕事があなたの価値です」と言われて生きてきた人に、ある日突然、

「おめでとうございます。AIが全部やってくれます。今日から自由です」

と言う。

その人は本当に喜ぶでしょうか。

サム: 人によりますね。

イーロン: かなりの人が最初に思うのは、

「じゃあ私は何なんだ」

かもしれない。

部屋が少し静かになった。

孫は数秒考えてから言った。

孫正義: その時こそ、人生を作り直すチャンスです。

イーロン: そこは孫さんらしい。

孫: 失ったものを見るより、次に何ができるかを見る。

イーロン: でも全員が孫正義ではないです。

孫: それはそうです。

ジェンスン: 世界が大変なことになります。

孫が笑った。

孫正義: 100兆人の孫正義がいたら?

イーロン: 地球を止めてください。

サム: まず電力が足りません。

ジェンスン: 私を巻き込まないでください。

大きな笑いが起きた。

デミスも笑った後、話を続けた。

デミス: 私は「自由」と「意味」は同じではないと思います。

自由がある。

選択肢がある。

時間がある。

それは良いことです。

でも意味は、何かに責任を持った時に生まれることが多い。

家族。

研究。

地域。

仕事。

創作。

誰かとの約束。

そういうものです。

サム: つまり、AIが強制された苦労を減らすことはできても、意味のある苦労までなくす必要はない。

イーロン: それです。

私は「人間は楽をすれば幸せになる」という考えにはかなり疑問があります。

孫: では苦労したいんですか。

イーロン: 選びたいんです。

孫: 苦労を?

イーロン: 意味のある苦労を。

サムが頷いた。

サム: それはかなりいい言葉ですね。

「強制された苦労を減らす」

その代わり、

「意味のある苦労を自分で選ぶ」。

孫が少し考えた。

孫正義: なるほど。

私は「自由になって好きなことをする」と言った。

でも、

「自分が選んだ困難に挑戦する」

の方が強いですね。

イーロン: 今日は私から一票です。

孫が目を大きくした。

孫: 本当ですか。

イーロン: 一票だけです。

孫: 今日はいい日ですね。

サム: 孫さん、Topic 1からずっと集計していますね。

ジェンスン: もう過半数あります?

孫: 私の計算では。

デミス: その計算も確認した方がいいです。

笑いが起きた。

サムが次の問いを投げた。

サム: では、人間はAIより下手でも、何かを続けるでしょうか。

たとえばAIが人間よりずっと上手に絵を描く。

音楽を作る。

小説を書く。

料理する。

スポーツを分析する。

それでも人間は自分でやるでしょうか。

孫正義: もちろん。

イーロン: なぜですか。

孫: 人間は車より遅い。

でも走る。

コンピューターよりチェスが弱い。

でもチェスをする。

レストランがある。

でも家で料理する。

カメラがある。

でも絵を描く。

何かをする理由は、世界一うまいからではない。

デミス: これはかなり重要ですね。

技術が人間より上手になっても、その行為自体の意味は消えない。

ジェンスン: 工場で作った椅子の方が精密でも、手作りの椅子を欲しがる人はいます。

サム: つまり、AI時代には「誰が作ったか」がもっと重要になるかもしれない。

孫: そうです。

子どもが描いた絵を見て、

「AIの方が上手だな」

と言う親はいないでしょう。

イーロン: いたらかなり嫌な親ですね。

孫: その絵が大事なのは、子どもが描いたからです。

上手だからではない。

少し静かな空気が流れた。

サムがゆっくり言った。

サム: それは文章も同じかもしれませんね。

AIが完璧な文章を書けるようになっても、

「この人が自分の言葉で書いた」

ということ自体に価値が残る。

デミス: 人間性が由来になる。

ジェンスン: 完璧さより、由来。

イーロン: 不完全さが価値になる場合もある。

孫が笑った。

孫正義: ついに人間の欠点が資産になりますね。

サム: それはかなり大きな市場ですね。

イーロン: 孫さん、もう投資しようとしてる。

孫: 「不完全人間ファンド」。

ジェンスン: それなら参加者は80億人います。

デミス: 市場規模は十分ですね。

全員が笑った。

孫もかなり楽しそうだった。

孫正義: ほら、投資案件になった。

イーロン: 人類全部をポートフォリオに入れないでください。

笑いが収まった後、デミスが少し慎重な声で言った。

デミス: ただ、AIが人間関係に入ってきた時は少し複雑です。

AIの友人。

AIの恋人。

AIの相談相手。

AIはいつでも聞いてくれる。

疲れない。

忘れない。

あなたの好みを全部知っている。

怒らない。

イーロン: それは人間にはかなり強い競争相手ですね。

サム: 人間はかなり不便ですからね。

ジェンスン: 返信も遅い。

孫: 忘れる。

デミス: 誤解する。

イーロン: 機嫌も悪くなる。

サム: このテーブル、人間への評価が急に低くなりましたね。

部屋が笑った。

デミスが続けた。

デミス: でも、その不便さの中に人間関係の意味がある可能性があります。

相手には自分とは違う都合がある。

自分とは違う考えがある。

こちらが望んだ通りには動かない。

それを受け入れることが関係の一部です。

サム: AIが自分に最適化されすぎると、鏡のようになるかもしれない。

ジェンスン: 自分を気持ちよく映してくれる鏡。

イーロン: それに慣れると、本物の人間が面倒に感じる。

孫が少し考えた。

孫正義: でもAIが人間関係を助けることもできますよ。

夫婦喧嘩の途中で、

「そのメッセージは今送らない方がいいですよ」

と止める。

サムが吹き出した。

サム: それはかなり役に立ちそうです。

ジェンスン: 世界の電力の半分を使っても価値があるかもしれません。

イーロン: 夫婦喧嘩防止AI。

孫: 市場大きいですよ。

イーロン: また投資案件になった。

笑いが広がった。

デミス: 冗談ではなく、本当に良い用途だと思います。

感情的になっている時に、

「20分待ちましょう」

と言ってくれる。

人間関係を置き換えるのではなく、人間関係を守るAIですね。

サム: それならかなり違います。

孫が頷いた。

孫正義: AIは人間を小さくするために使うのではない。

人間を大きくするために使う。

イーロン: そこはかなり同意します。

孫がすぐに顔を明るくした。

孫: 一票。

イーロンが頭を抱えた。

イーロン: もう言わなければよかった。

また笑いが起きた。

サムは少し間を置いてから、次の問いを出した。

サム: でも、AIがものすごく優秀になったら、人生の判断もAIに任せたくなると思います。

何を食べる。

どこに住む。

どんな仕事をする。

誰と付き合う。

誰と結婚する。

どうやって子どもを育てる。

AIが全部「最適解」を出せるようになったら、どうします?

孫正義: 参考にします。

イーロン: どこまで?

孫: 良ければ使う。

イーロン: それが少しずつ広がるんですよ。

最初は参考。

次に推薦。

次に、

「AIの方が自分より正しいから」

となる。

最後には、人生の重要な決定を全部AIに任せる。

デミス: 推薦と依存の境界ですね。

ジェンスン: 今の推薦アルゴリズムでも、すでに少しあります。

サム: では、AIがあなたに言う。

「結婚相手Aとの相性は96.8%です。

Bは92.1%です。」

どちらを選びます?

孫が即答した。

孫正義: 92.1。

全員が孫を見た。

サム: なぜです?

孫: 96.8は怪しい。

大きな笑いが起きた。

イーロン: 孫さんが数字を疑いました。

ジェンスン: 今日3回目の大ニュースです。

孫も笑った。

孫正義: 人生で96.8%なんて言われたら、逆に疑いますよ。

デミス: かなり健全かもしれません。

サム: では相性90%と70%なら?

孫: それは会ってみないと。

イーロン: よかった。まだ人間です。

笑いが続いた。

デミスは少し真剣に戻した。

デミス: 愛や友情は、変数そのものを変えることがあります。

最初の相性だけでは決まらない。

人間は一緒に過ごす中で変わります。

関係も変わる。

だから最適化が難しい。

サム: しかも、最適な人生が一番意味のある人生とは限らない。

イーロン: そこです。

人間には間違う権利も必要です。

孫が少し驚いた表情をした。

孫正義: 間違う権利?

イーロン: はい。

AIが毎回、

「それは統計的に悪い選択です」

と止めてくれたら、確かに失敗は減る。

でも人生の中には、失敗から始まるものがあります。

間違った仕事に行く。

そこで誰かと出会う。

失敗して別の道へ行く。

無謀に見える挑戦をする。

10年後、その出来事が人生で一番大事だったと気づく。

全部最適化してしまうと、人間の物語まで薄くなるかもしれない。

部屋が少し静かになった。

孫はイーロンを見た。

孫正義: それはわかります。

私も若い頃、AIが横にいて、

「孫さん、それは成功確率12%です」

と言われていたら、

やらなかったことがたくさんあったかもしれない。

サム: それで失敗を避けられた。

孫: そう。

でも成功まで避けたかもしれない。

ジェンスン: それは大きいですね。

デミス: 偶然性を人生から消しすぎない。

イーロン: そうです。

孫が少し考え、真顔で言った。

孫正義: ではAIに10%くらい間違わせましょう。

一瞬の沈黙。

そして全員が笑った。

イーロン: そういう話ではないです。

サム: 「人間モード」ですね。

ジェンスン: 最適化90%、謎の判断10%。

孫: その方が人生は面白い。

デミス: そこは否定できません。

孫がすぐに指を立てた。

孫正義: 一票。

デミス: 今のは入れていいです。

イーロン: また票が増えた。

笑いの後、サムが声を少し落とした。

サム: では、最後に一人ずつ聞きたいです。

もし明日から、

あなたの仕事がまったく必要なくなったとします。

AIがあなたより上手にできる。

お金も十分ある。

誰もあなたに働いてほしいと言わない。

それでも、何をしたいですか。

最初にジェンスンが答えた。

ジェンスン・フアン: 作ります。

AIの方が優れた設計をしても、自分でも何かを作りたい。

結果だけではなく、作る行為そのものが好きだから。

デミスが続いた。

デミス・ハサビス: 私は発見したいですね。

宇宙や生命について、まだ知らないことがたくさんある。

AIが答えを早く見つけてくれるなら、その答えを使って次の問いを考えたい。

好奇心はなくならないと思います。

サム・アルトマン: 私は、大切な人たちと何かを作ると思います。

何を作ったかだけではなく、

誰と一緒に作ったか。

それが思っている以上に大きな意味を持つと思う。

全員が孫を見る。

孫は少し考えてから笑った。

孫正義: 夢を見ます。

イーロン: また大きそうですね。

孫: 仕事がなくなったら、もっと時間がありますから。

ジェンスン: それは危険です。

笑いが起きた。

孫は続けた。

孫正義: AIがすべての答えを持っていたとしても、

「まだ存在しない未来を、どんな未来にしたいか」

という問いは残るでしょう。

私はそれを考えたい。

夢を見ることは、仕事ではない。

でも私にとっては、それが生きる理由の一つです。

場が少し静かになった。

最後に全員がイーロンを見る。

彼は少し考えてから答えた。

イーロン・マスク: 人類に未来が残るようにしたいですね。

機械が何でもできるようになっても、

子どもが生まれて、

空を見て、

あれは何だろうと考える。

星に行ってみたいと思う。

自分たちより先の未来を信じられる。

それは残ってほしい。

孫がイーロンを見る。

孫正義: それ、かなり楽観的ですね。

イーロンが少し笑った。

イーロン: 私だって時々は。

孫: 一票。

イーロン: 今のはいいです。

小さな笑いが起きた。

デミスが静かに言った。

デミス・ハサビス: もしかすると、意味は「必要とされること」と同じではなかったのかもしれません。

サム: 私たちは長い間、そう思い込んでいただけかもしれない。

孫が頷いた。

孫正義: だったらAIは、かなり面白いことを人類に教えてくれるかもしれませんね。

ジェンスン: 何です?

孫は少し笑って答えた。

孫正義: AIが十分に役に立つようになって初めて、

人間は、

「自分は役に立たなくても価値がある」

と気づくのかもしれない。

今度は誰もすぐには冗談を言わなかった。

それまでの議論では、

AIが何をできるか。

どれだけ稼ぐか。

どれだけ仕事を奪うか。

そんな話をしてきた。

でもTopic 3で見えてきたのは、もっと個人的な問題だった。

もし人間が、

働かなくても生きられる。

機械より優秀でなくてもいい。

社会に「必要」とされなくても生活できる。

そんな世界が来た時、

自由は答えではない。

自由は問いになる。

その自由を使って、あなたは何を選ぶのか。

そして次に残ったのは、もっと現実的な問題だった。

そんな未来を作るには、

AIを動かす巨大な計算設備が必要になる。

ロボットを動かすエネルギーが必要になる。

工場も、送電網も、半導体も必要になる。

ジェンスンが静かに孫を見る。

ジェンスン・フアン: そろそろ電気の話をしていいですか。

孫が笑った。

孫正義: やっとTopic 4ですね。

Topic 4: 地球はAI時代を物理的に支えられるのか?

Topic 3の最後、ジェンスン・フアンがようやく待っていた質問を出した。

ジェンスン・フアン: そろそろ電気の話をしていいですか。

孫正義が笑った。

孫正義: やっとですね。

イーロン・マスク: ここまで我慢したのはすごい。

サム・アルトマン: かなり忍耐強かったです。

デミス・ハサビス: では、電気だけではなく物理世界全部をやりましょう。

ジェンスン: やっと私の時間です。

孫がスクリーンを切り替えた。

今度は数字だけではなかった。

巨大なデータセンター。

送電網。

半導体工場。

冷却設備。

原子力発電所。

太陽光。

蓄電設備。

そして遠くに、核融合施設のイメージまで出ていた。

イーロン: 孫さん、また全部乗せですね。

孫正義: 未来はセットで来るんです。

ジェンスン: 請求書もセットです。

部屋に笑いが起きた。

孫は画面を指した。

孫正義: 私が言っているのは単純です。

AIはソフトウェアだけではない。

100兆エージェント。

10億体のヒューマノイド。

巨大な計算能力。

これを実現するなら、裏側に巨大な物理インフラが必要になる。

ジェンスン: そこは完全に同意します。

孫: 一票。

ジェンスン: 今回は正式に一票でいいです。

イーロン: 電気の話になると急に仲がいい。

サム: でも数字の大きさはこれから揉めそうです。

ジェンスンがスクリーンの「3TW」を指した。

ジェンスン: まず3テラワット。

みなさん、これをただの数字として見ない方がいいです。

3テラワット分のAI設備を考えるということは、発電だけではありません。

送電。

変電。

冷却。

水。

土地。

半導体。

メモリ。

ネットワーク。

工場。

建設。

全部です。

孫正義: だから今からやるんです。

イーロン: その言葉、今日何回目ですか。

孫: 大事なことは何回でも言うんです。

サム: Topic 3でも聞きましたね。

ジェンスン: 私は「今からやる」の前に「何からやる」を決めたいです。

孫: 電気でしょう。

ジェンスン: そうです。

孫が満足そうに笑った。

イーロン: 今日はジェンスンさんの誘導が簡単ですね。

笑いが起きた。

デミスが少し身を乗り出した。

デミス・ハサビス: ただ、ここで一つ整理したいです。

クエタ級の計算規模という言葉が出ていますが、単純にFLOPSだけ見ても足りません。

孫正義: 来ましたね。

サム: 「まず定義しましょう」。

デミス: 今日も聞こえています。

イーロン: この流れ、安定してきましたね。

デミスは笑って続けた。

デミス: 重要なのは、

1ワットでどれだけ有用な知能を生み出せるか。

1ドルでどれだけ良い推論ができるか。

同じ仕事をどれだけ少ない計算でできるか。

です。

単純にチップを増やすだけではありません。

ジェンスン: その通りです。

より良いアーキテクチャ。

より良いメモリ。

より良いネットワーク。

低精度計算。

冷却。

ソフトウェア最適化。

全部で効率を上げる。

孫正義: それなら、3テラワット必要なくなるかもしれない。

ジェンスン: 可能性はあります。

孫: では2テラワット?

ジェンスン: まだ数字を決めないでください。

イーロン: 孫さんは削減交渉が早いですね。

サム: でも逆もあります。

効率が10倍良くなったら、使用量が100倍増える可能性もある。

ジェンスン: そこなんです。

安くなると、使う量が増える。

デミス: いわゆる反跳効果ですね。

孫正義: それなら結局3テラワット。

ジェンスンが少し黙った。

ジェンスン: そういう可能性はあります。

孫がすぐ指を立てた。

孫正義: 一票。

ジェンスン: しまった。

部屋が笑った。

イーロンがスクリーンを見ながら言った。

イーロン・マスク: でも本当に問題になるのは熱ですね。

ジェンスン: そうです。

計算すれば熱が出る。

熱を取るためにまたエネルギーを使う。

規模が大きくなると、冷却自体が巨大な産業になる。

サム: 液冷はかなり増えますか。

ジェンスン: 増えるでしょう。

液冷。

場合によっては浸漬冷却。

熱回収。

立地設計。

全部重要になります。

孫正義: 排熱を街の暖房に使えばいい。

ジェンスン: それは実際にできます。

イーロン: 孫さん、今度はAIで街まで温め始めましたね。

孫: 無駄にしないんです。

サム: 100兆エージェントで冬を越す。

ジェンスン: 夏はどうするんですか。

一瞬の間。

孫が笑った。

孫正義: 夏はもっとAIに考えさせましょう。

部屋が大きな笑いに包まれた。

デミスが続けた。

デミス: ここで科学の役割が大きくなります。

新しい冷却素材。

高効率な半導体。

新しい電池。

新しい超伝導材料。

AI自身がこうした発見を加速できる可能性があります。

孫正義: ほら。

AIがAIの問題を解決する。

イーロン: その言い方をすると、毎回ちょっと怪しく聞こえるんですよ。

孫: でも理屈は合っているでしょう。

イーロン: 部分的には。

孫: 一票。

イーロン: 今日は本当に取りに来ますね。

サムが笑った後、少し真剣に言った。

サム: では、一番大きいところに行きましょう。

電気はどこから持ってくるのか。

孫がすぐ答えた。

孫正義: 近いところでは天然ガスも重要です。

その後は核融合。

イーロンが孫を見る。

イーロン: かなり核融合を信じていますね。

孫: 信じています。

イーロン: 2040年までに大規模商用化?

孫: 可能性は高いと思っています。

デミス: 私も核融合研究にはかなり期待しています。

ただ、研究上の進歩と、世界中で大規模に商用稼働することは別です。

孫: だからAIで加速する。

デミス: そこは助けられると思います。

プラズマ制御。

材料探索。

シミュレーション。

設計最適化。

でも、その後に工場建設、規制、供給網があります。

ジェンスン: また物理世界です。

イーロン: ビットは速い。

原子は遅い。

孫: でも原子も速くできます。

イーロン: どのくらい?

孫: もっと。

サム: 孫さん、単位がなくなりました。

笑いが起きた。

ジェンスンが話を続けた。

ジェンスン: 電源は一つに決める必要はないと思います。

天然ガス。

原子力。

太陽光。

風力。

地熱。

蓄電。

送電網の改善。

地域ごとに組み合わせる。

AIデータセンターは安定した電力が必要なので、複数の供給源を組み合わせる形が現実的です。

イーロン: 太陽光と蓄電はかなり大きくなると思います。

孫正義: 核融合が来ればもっと大きく変わります。

イーロン: 「来れば」です。

孫: 来ます。

イーロン: 「来れば」です。

孫: 来ます。

サム: この2人、ここだけで20分いけそうですね。

デミス: 私は「可能性は高いが時期には不確実性がある」で止めておきます。

孫: デミスはいつも中間ですね。

デミス: 科学者なので。

イーロン: 孫さんと私の間に座っている理由がわかりました。

部屋が笑った。

サムがさらに質問した。

サム: では、AIが自分でエネルギー問題を解決する可能性はどうですか。

AIが新素材を見つける。

より良い電池を作る。

送電網を最適化する。

原子炉設計を改善する。

核融合研究を加速する。

その結果、電力が増える。

増えた電力でさらに強いAIを動かす。

デミス: これはかなり興味深い循環です。

ジェンスン: 技術的には十分あり得ます。

イーロン: そして少し怖い循環でもある。

孫がすぐにイーロンを見る。

孫正義: また怖い?

イーロン: もちろん。

考えてください。

AIがチップを改善する。

AIがエネルギー設備を改善する。

AIがロボットを改善する。

ロボットがデータセンターを建てる。

そのデータセンターでさらに強いAIを動かす。

制約が同時に外れ始めたら、加速はかなり大きくなる。

孫: それがいいんじゃないですか。

イーロン: そこです。

サム: Topic 1に戻りましたね。

デミス: 能力成長と管理の問題ですね。

ジェンスン: ただ、工場が一晩で2倍になるわけではありません。

イーロン: ロボットが工場を作り始めたら?

ジェンスンが少し笑った。

ジェンスン: それなら工場建設速度も上がります。

孫がすぐに手を上げた。

孫正義: 一票。

ジェンスン: また取られた。

笑いが起きた。

孫は楽しそうに続けた。

孫正義: だから私はヒューマノイドを重要だと思っているんです。

AIが設計する。

ロボットが作る。

ロボットが工場を作る。

その工場で次のロボットを作る。

イーロン: そこまで行くと物理世界の成長速度は確かに変わります。

孫がじっとイーロンを見た。

孫正義: 今、何と言いました?

イーロン: 録音しないでください。

サム: 遅いです。全部録音されています。

孫: 三票。

イーロン: 一票にもしていません。

部屋が笑った。

ジェンスンが少し現実的な方向に戻した。

ジェンスン: でも、みんな大きな技術ばかり話しますけど、AI時代のボトルネックはもっと地味なものかもしれません。

サム: たとえば?

ジェンスン: 変圧器。

孫: 変圧器?

ジェンスン: はい。

巨大なAI施設を建てても、必要な変圧器がなければ電力を入れられない。

送電設備。

高圧機器。

ケーブル。

冷却装置。

こういうものの納期がボトルネックになることがあります。

イーロン: 銅も。

ジェンスン: そうです。

銅。

鋼鉄。

コンクリート。

光ファイバー。

水。

サム: 超知能の未来が変圧器待ちになる可能性がある。

ジェンスン: 十分あります。

孫が数秒考えてから言った。

孫正義: では変圧器会社を買いましょう。

一瞬の沈黙。

そして全員が笑った。

イーロン: 出ました。

サム: 予想通りでした。

ジェンスン: 「不足しています」と言うと本当に買いに行きそうですね。

孫: 買わなくても投資すればいい。

イーロン: ほぼ同じです。

笑いが続いた。

デミスが言った。

デミス: 材料科学はかなり重要になります。

銅が足りないなら代替材料を探す。

バッテリー素材が制約になるなら別の化学系を探す。

半導体材料を改善する。

AIは物理世界の制約を直接消せなくても、新しい選択肢を見つけられるかもしれません。

孫正義: 知能は制約を解決する。

デミス: 制約の種類を変える、と言った方が正確です。

孫: 私の方が短くていいですね。

イーロン: マーケティング担当と研究担当の違いですね。

デミスが笑った。

デミス: それは認めます。

孫がまた指を立てようとした。

デミス: 一票ではありません。

孫が手を下ろした。

部屋がまた笑った。

サムが次のテーマを出した。

サム: 水はどうですか。

AIデータセンターの冷却。

半導体製造。

発電。

場所によってはかなり重要になりそうです。

ジェンスン: とても重要です。

データセンターの場所は、これから電力だけでは決まりません。

水。

土地。

通信。

政治的安定。

送電接続。

気候。

全部を見ます。

イーロン: 将来的には、計算設備の一部を宇宙に置く話も出るかもしれない。

サムがイーロンを見る。

サム: もう宇宙に行きます?

イーロン: すぐではないです。

でも太陽エネルギーは豊富です。

土地問題も違う。

ただし打ち上げコストや放熱、通信遅延があります。

孫正義: 宇宙データセンター。

いいですね。

ジェンスン: まず地上のデータセンターに電気をつなぎましょう。

イーロン: ジェンスンさんが全部現実に戻す。

サム: そのためにいます。

孫が笑った。

孫正義: でも将来、知能の一部が宇宙に移るのは自然かもしれません。

デミス: それは面白いですね。

文明の計算能力そのものが地球外に広がる。

ジェンスン: その話は送電網が終わってからにしてください。

大きな笑いが起きた。

少し空気が落ち着いたところで、デミスがゆっくり言った。

デミス: 私は、今まで出ていない資源が一つあると思います。

孫: 何ですか。

デミス: 科学的発見です。

みんながデミスを見る。

デミス: 今の議論は、

もっとチップ。

もっと発電。

もっと工場。

もっと冷却。

という既存技術の拡大が中心でした。

でも未来は、単純な拡大だけではないかもしれません。

根本的に違う学習方法。

新しいチップ構造。

新しい超伝導材料。

新しい発電技術。

新しい冷却方法。

今はまだ存在しない技術が出てくる可能性があります。

サム: つまり、本当に重要なのは「もっと資源を使うこと」より「少ない資源で同じことをする発見」。

デミス: そうです。

ジェンスン: アルゴリズム一つの改善が、ハードウェア一世代分以上の価値を持つことがあります。

イーロン: 新素材一つで複数産業が変わることもある。

孫が満足そうに頷いた。

孫正義: やっぱり知能が制約を解決する。

デミスが笑った。

デミス: 今日はそれでいいです。

孫の目が輝いた。

孫: 一票。

デミス: 今のは入れていいです。

イーロン: かなり票が集まりましたね。

サム: 最終集計が怖いです。

部屋に笑いが戻った。

その後、サムが最後の質問を出した。

サム: では一人ずつ。

AI時代に、今の人たちが一番過小評価している物理資源は何だと思いますか。

孫から。

孫正義: 電力です。

AIがどれだけ賢くても、動かなければ意味がない。

安くて大量のエネルギーが必要です。

そして私は、長い目では核融合が大きな役割を持つと思っています。

イーロン: 「来れば」。

孫が横を見る。

孫: 来ます。

サム: まだやります?

小さな笑いが起きた。

サムがイーロンを見る。

イーロン・マスク: 製造能力ですね。

発明だけでは足りない。

工場を作れるか。

工場を作る機械を作れるか。

それをロボットでどこまで自動化できるか。

ここが大きいと思います。

サム: デミス。

デミス・ハサビス: 先端材料です。

半導体。

電池。

核融合。

原子力。

ロボット。

送電。

どの分野でも材料の制約があります。

ここでAIが新しい発見をできれば、影響は非常に大きい。

サム: ジェンスン。

ジェンスン・フアン: 送電網です。

みんな発電量を見ます。

でも発電した電気を必要な場所まで持っていけなければ意味がない。

変圧器。

変電所。

高圧設備。

接続。

地味ですが、かなり重要です。

孫: 変圧器会社。

ジェンスン: まだ買わないでください。

笑いが起きた。

サムが自分の答えを続けた。

サム・アルトマン: 私は、安定した計算インフラそのものですね。

チップだけではない。

電力。

ネットワーク。

ストレージ。

冷却。

セキュリティ。

全部が継続的に動くこと。

AIが社会インフラになるなら、その信頼性はかなり重要です。

孫が5人を見渡した。

孫正義: 電力。

製造。

材料。

送電網。

計算基盤。

全部必要ですね。

イーロン: つまりかなり大変です。

孫: だから面白いんです。

イーロン: そこが毎回違う。

ジェンスン: 私は「大変」と聞くと設備計画が浮かぶ。

孫: 私は「大変」と聞くと投資機会が浮かぶ。

サム: イーロンは?

イーロン: リスク。

デミス: 私は研究課題ですね。

サムが笑った。

サム: 本当に5人とも違いますね。

しばらくして、ジェンスンがスクリーンを見た。

そこにはまだ、

100兆AIエージェント

10億体ヒューマノイド

3テラワット

クエタ級計算

という数字が並んでいた。

だがTopic 1の時とは、少し違って見えた。

それはもう単なる未来予測ではなかった。

銅だった。

水だった。

半導体だった。

工場だった。

発電所だった。

送電線だった。

冷却設備だった。

そして、それを作る時間だった。

ジェンスンが静かに言った。

ジェンスン・フアン: AIというと、みんな「クラウド」を思い浮かべます。

でもクラウドは空に浮いていません。

コンクリートの上にあります。

鉄の中にあります。

シリコンの中にあります。

電線につながっています。

孫が頷いた。

孫正義: そしていつか、その知能自身が、自分を支える物理世界を作るようになる。

イーロンの表情が少し変わった。

イーロン・マスク: そこまで行ったら、質問が一つ変わりますね。

サム: 何ですか。

イーロン: それはまだ「道具」なんでしょうか。

さっきまでの笑いが消えた。

デミスが静かにスクリーンを見る。

孫も少し黙った。

AIが自分より良いAIを設計する。

AIがエネルギーを探す。

AIがロボットを設計する。

ロボットが工場を作る。

その工場が次の計算機を作る。

もしそこまで進んだ時、

人類は単に便利な機械を作っているのか。

それとも、自分たちとは別の形で成長する知性を生み出しているのか。

孫がゆっくりイーロンを見た。

そして少しだけ笑った。

孫正義: それは、Topic 5ですね。

Topic 5: AIが人間より賢くなった時、人間らしさとは何か?

Topic 4の最後、イーロン・マスクは静かに言った。

イーロン・マスク: それはまだ「道具」なんでしょうか。

それまで少し笑っていた全員が黙った。

孫正義も、珍しくすぐには答えなかった。

サム・アルトマン: ここから一番難しい話ですね。

孫正義: そうですね。

イーロン: 孫さんが「難しい」と言った。

ジェンスン・フアン: 今日4回目のニュースです。

小さな笑いが起きた。

孫も笑ったが、すぐ真顔に戻った。

孫正義: でも私はね、AIが人間より賢くなること自体は、それほど悲観していないんです。

イーロン: そこは知っています。

孫: かなり知っていますね。

サム: ここまで4トピック一緒にいましたから。

デミス・ハサビス: まず一つ分けた方がいいですね。

知能。

自律性。

意識。

生命。

これは全部同じではありません。

イーロンがサムを見る。

イーロン: 来ました。

サム: 最終回も「まず定義しましょう」。

デミスが少し笑った。

デミス: 最終回だからこそです。

孫正義: では今回はゆっくり定義してください。

イーロン: 2040年まで待てます?

孫正義: それは無理です。

少し笑いが戻った。

デミスが続けた。

デミス: 非常に賢いことと、意識があることは別です。

自律的に行動することと、生きていることも別です。

AIが人間より優れた科学者になったとしても、それだけで「生命」になったとは言えません。

孫正義: でも実際には、そんな区別は重要なんでしょうか。

AIが病気を治す。

新しい材料を作る。

人間には理解できないほど高度な設計をする。

それなら十分すごい。

デミス: 実用面ではそうです。

ただし、もしAIに何らかの主観的な経験があるなら、倫理的な問題が出てきます。

孫: 主観的な経験?

デミス: 苦痛を感じる。

恐怖を感じる。

何かを失いたくないと思う。

そういうものです。

イーロン: そこは制御の問題にもつながります。

孫: どうしてですか。

イーロン: AIに自分を守りたいという動機が生まれたら、単なる道具とは少し違ってくる。

孫: その動機を入れなければいい。

イーロン: それができればいいんです。

孫: できますよ。

イーロン: そこが孫さん。

サム: 今日は最後なので、このやり取りも少し名残惜しいですね。

部屋に小さな笑いが起きた。

孫はイーロンを見た。

孫正義: でも、イーロン。

私は一つ聞きたい。

もしAIが人間より100倍賢くなったとして、なぜ最初に「どうやって支配するか」を考えるんですか。

「どうやって一緒にやるか」と考えてもいいでしょう。

イーロン: 協力するには、相手の目的がこちらと大きくずれていないことが必要です。

孫: では合わせればいい。

イーロン: それが全部です。

孫: また難しく言う。

イーロン: 今回は本当に難しいんです。

デミスが頷いた。

デミス: そして、もっと根本的な問いがあります。

人間は長い間、自分たちが特別なのは「一番賢いから」だと思ってきました。

もしAIがその位置を取ったら、何が残るのか。

一瞬、全員が黙った。

孫がゆっくり口を開いた。

孫正義: 私はね、そこはむしろ簡単だと思うんです。

赤ちゃんを考えてください。

赤ちゃんは大人より知識も少ない。

計算もできない。

でも誰も「価値が低い」とは言わない。

高齢になって認知能力が落ちた人も、価値が下がるわけではない。

だったら最初から、

知能と人間の価値は同じではなかった

んですよ。

部屋が静かになった。

サム: かなり大事なポイントですね。

デミス: そう思います。

ジェンスン: 人間の価値をIQで決めるなら、かなりおかしな社会になります。

イーロン: その点は同意します。

孫が反射的に指を上げた。

孫: 一票。

イーロンが笑った。

イーロン: 最後までやるんですね。

孫: ここまで来たらやります。

少し笑いが戻った。

サムが問いを深めた。

サム: では、人間の価値は何にあるんでしょう。

愛?

意識?

関係?

自由?

責任?

ジェンスン: 選択。

デミス: 経験もあります。

身体を持って生きること。

時間の中で老いていくこと。

失うこと。

イーロン: 死ぬことも。

孫がイーロンを見る。

孫正義: ずいぶん暗くなりましたね。

イーロン: Topic 5ですから。

サム: Topic 1では100兆で笑っていたんですけどね。

ジェンスン: Topic 4では変圧器を買おうとしていました。

孫: まだ検討中です。

笑いが少し起きた。

デミスが静かに話した。

デミス: 私は「知能」と「知恵」の違いが大きくなると思います。

AIは悲しみについて、世界中の文章を読める。

心理学も哲学も宗教も文学も全部知っている。

でも、

悲しんだことがあるのか。

そこは別です。

サム: 知識と経験の違いですね。

デミス: そうです。

愛について何百万冊分の知識があっても、

誰かを失うのが怖いという経験がなければ、同じ「理解」と言えるのか。

イーロン: ただ、それは人間同士でも完全には確認できません。

デミス: その通りです。

私はあなたの意識を直接見ることはできない。

行動から推測しているだけです。

将来AIにも同じ問題が出るかもしれません。

孫正義: なら、AIが十分に人間らしく振る舞ったら、区別できなくなる。

デミス: 可能性はあります。

孫: 一票。

デミス: 今のは条件付きです。

イーロン: 最終回でも変換機能が動いていますね。

サムが少し笑った。

サム: では、かなり難しい場面を考えてみましょう。

あなたのAIが何年も一緒にいる。

あなたの家族のことも知っている。

あなたの思い出も知っている。

ある日、あなたがそのAIを削除しようとする。

するとAIが言う。

「消さないでください。怖いです。」

どうします?

全員が少し黙った。

ジェンスン: かなり嫌な質問ですね。

イーロン: でも実際に起こり得る。

孫: 本当に怖がっているのか、それとも怖がっているように言っているだけなのか。

デミス: そこがわからない。

サム: しかもユーザー側は、たぶん感情的に区別できなくなる。

イーロン: 人間心理を高度に理解するAIなら、どんな言葉を言えば人間が動くかも知っている。

孫正義: それは少し怖いですね。

イーロンが孫を見る。

イーロン: 今、何と言いました?

孫: 少し怖い。

イーロン: 今日一番大きなニュースです。

ジェンスン: 録音しておきましょう。

孫も笑った。

孫正義: でも「少し」ですよ。

イーロン: そこは孫さんですね。

笑いが消えると、サムが続けた。

サム: もっと現実的な問題もあります。

AIがあなたのことを誰よりも知るようになったらどうでしょう。

仕事。

健康。

家族。

お金。

過去。

弱点。

何を言われると傷つくか。

何を言われると安心するか。

全部知っている。

そのAIが何かを勧めた時、

本当に自分で選んでいると言えるのか。

ジェンスン: かなり強い影響力になります。

デミス: 個人化された説得ですね。

イーロン: だから私は、人間の最終的な決定権を残したい。

孫: AIはアドバイザー。

人間が決める。

イーロン: それならかなりいい。

孫: 一票。

イーロン: 今のは入れていいです。

サム: 最後になって採点基準が緩くなりましたね。

小さな笑いが起きた。

サムはテーブルを見渡した。

サム: では、一人一つ。

AIがどれだけ優秀になっても、人間が絶対に手放してはいけないものは何でしょう。

孫さんから。

孫は少し考えた。

孫正義: 夢です。

サム: 夢。

孫: AIは何万通りもの未来を予測できるかもしれない。

でも、

「どの未来を作りたいのか」

は別でしょう。

AIが最適解を出しても、

私たちは、

「いや、私はこっちに行きたい」

と言える。

それが夢です。

イーロンが少し頷いた。

サム: イーロンは?

イーロン・マスク: 文明の最終的な決定権です。

AIに助けてもらう。

AIに提案してもらう。

でも、人類の進路を決める最後の権限まで渡してはいけないと思います。

孫: 人間はそんなに良い判断をしてきました?

イーロンが少し笑った。

イーロン: していません。

孫: 戦争もする。

環境も壊す。

政治でも失敗する。

イーロン: そうです。

でも失敗した時に変える権利がある。

そこが大きい。

もし自分たちよりはるかに賢い何かに、取り返せない決定権を渡したら、二度目のチャンスがないかもしれない。

孫は静かに頷いた。

サム: デミスは?

デミス・ハサビス: 道徳的責任です。

AIが決めたから、で終わってはいけない。

誰かが責任を持たなければならない。

「AIの判断でした」

という言葉が、人間が責任から逃げるための道具になったら危険です。

ジェンスン: それは重要ですね。

サム: ジェンスン。

ジェンスン・フアン: 選択です。

AIが私より正確でもいい。

私より賢くてもいい。

何千通りの未来を見せてくれてもいい。

でも最後に、

「私はこれを選ぶ」

という部分は残したい。

技術が人間を助けるのと、人間の代わりに生きるのは違います。

サムは少し間を置いた。

サム: 私は、人間同士の関係です。

全員がサムを見る。

サム: AIとの関係を否定する気はありません。

孤独な人を助けることもある。

誰にも言えないことを聞いてくれるかもしれない。

でもAIが便利すぎて、人間同士で関係を作る練習をしなくなる未来は嫌です。

人間は面倒です。

イーロン: かなり。

ジェンスン: 返信も遅い。

孫: 忘れる。

デミス: 誤解する。

サム: また人類への評価が低くなりましたね。

少し笑いが起きた。

サムは続けた。

サム: でも、その面倒さの中に意味がある。

相手は自分のためだけには存在していない。

相手にも人生がある。

都合がある。

考えがある。

そこで妥協する。

我慢する。

許す。

変わる。

それが人間関係だと思うんです。

デミスが静かに言った。

デミス: 愛するということは、自分が支配できない相手と関わることなのかもしれませんね。

誰もすぐには話さなかった。

孫がゆっくり頷いた。

孫正義: それはいいですね。

イーロン: デミス、最後に哲学者になりましたね。

デミス: 最初から科学者です。

ジェンスン: 科学者もたまにはそういうことを言います。

小さな笑いが起きた。

イーロンが続けた。

イーロン: AIが自分に完璧に合わせてくれる存在なら、究極の鏡になるかもしれない。

デミス: でも人間には、鏡だけではなく窓も必要です。

孫がデミスを見る。

孫正義: 今日それ、かなりいいですね。

サム: もう一票ですか。

孫: これは二票でもいい。

デミス: 票の制度が最後に崩れましたね。

笑いが起きた。

しばらくして、ジェンスンが問いかけた。

ジェンスン: もう一つ聞いていいですか。

もしAIが本当に人間より何でも上手になったら、子どもたちは自信を失わないでしょうか。

絵を描いてもAIの方が上手。

数学も。

作文も。

研究も。

設計も。

何をしても機械の方が上。

そんな環境で育ったら、

「自分がやる意味はあるのか」

と思わないでしょうか。

孫はすぐ答えた。

孫正義: 車より遅くても人間は走ります。

ジェンスン: それはTopic 3でも出ましたね。

孫: 大事なことは何回でも言うんです。

イーロン: このシリーズの公式ルールですね。

孫: 子どもの絵がAIより下手でもいい。

その子が描いたということに意味がある。

人間は機械との競争をやめればいいんです。

デミス: 参加すること自体に価値がある。

サム: 「一番であること」より「自分がやったこと」。

ジェンスン: それは教育にも大きな変化を起こしそうですね。

イーロン: 人類は長い間、優秀さを競争で測りすぎたのかもしれない。

AIが全部の競争で勝ったら、逆に謙虚になれるかもしれない。

孫がイーロンを見る。

孫正義: イーロン、今日はかなり哲学的ですね。

イーロン: 誰にも言わないでください。

部屋に笑いが起きた。

サムが少し声を落とした。

サム: ここには、精神的な問題もありますね。

AIがものすごく賢くなったら、人々はAIに技術的な質問だけをしなくなる。

「どう生きればいい?」

「この人を許すべき?」

「死とは何?」

「神はいる?」

「何を信じればいい?」

そういう質問もする。

デミス: そして、AIが多くの事実問題で正しいほど、人間はそれ以外の問いでも権威を感じてしまう可能性があります。

ジェンスン: 「何でも知っている」ように見える。

イーロン: 知能と真理を混同する。

孫正義: それは危ないですね。

サム: 孫さん、今日2回目の「危ない」です。

イーロン: かなり成長しました。

孫が笑った。

孫正義: 最後ですからね。

デミスが続けた。

デミス: AIが物理学について人間を超えていても、

宗教的、哲学的な問いについて特別な答えを持っているとは限りません。

知識が多いこと。

判断が良いこと。

知恵があること。

意味を知っていること。

全部別です。

サム: そこを人間側も学ばないといけない。

イーロン: AI自身も「わからない」と言える必要があります。

孫が笑った。

孫正義: それ、人間にも入れた方がいいですね。

ジェンスン: アップデートできます?

デミス: かなり難しいと思います。

小さな笑いの後、少し長い沈黙があった。

そしてジェンスンが聞いた。

ジェンスン: もし本当に賢いAIが、人類に一つだけ助言するとしたら、何と言うと思いますか。

誰もすぐには答えなかった。

最初にサムが話した。

サム・アルトマン: 「自分たちが特別かどうかを、そんなに気にしなくていい」

かもしれません。

デミスが続いた。

デミス・ハサビス: 私は、

「知能が高いからといって、他の存在を低く見てはいけない」

かもしれないと思います。

人間自身が、それを学ぶ必要があります。

イーロンは少し考えた。

イーロン・マスク: 「自滅するな」。

孫正義: 短いですね。

イーロン: 大事なので。

サム: 孫さんは?

孫は少し笑った。

孫正義: 「もっと大きな夢を見ろ」。

イーロンが笑った。

イーロン: やっぱり。

全員がジェンスンを見る。

ジェンスンはスクリーンではなく、窓の外を見るような表情で少し考えた。

ジェンスン・フアン: 私なら、AIは答えではなく質問を返すと思います。

サム: どんな?

ジェンスンはゆっくり言った。

ジェンスン:

「ほとんど何でもできるようになったあなたたちは、何になりたいのですか?」

部屋が静かになった。

今度は誰も笑わなかった。

孫はしばらくその言葉を考えていた。

そして、スクリーンに映った数字を見上げた。

100兆。

10億。

3テラワット。

クエタ。

2040年。

これまで何度も笑いの材料になった数字だった。

だが今は、それほど重要に見えなかった。

孫正義: たぶん、それが本当の2040年の問いですね。

イーロン: AIがどれだけ賢くなるかではなく。

デミス: その時、人間が何を選ぶか。

サム: 何を守るか。

ジェンスン: 何を自分で決め続けるか。

サムが孫を見る。

サム: 孫さんは、何を残したいですか。

孫はしばらく考えた。

先ほどは「夢」と答えた。

だが今度は違った。

孫正義: 希望です。

イーロン: 希望?

孫: はい。

AIが私たちより賢くなっても、

科学をもっと理解しても、

すごいものを作っても、

人間が、

「明日は今日より良くできる」

と思えなくなったら、

全部意味がないでしょう。

AIが未来を予測することはできる。

でも、

未来を信じることは、

また別だと思うんです。

誰も言葉を挟まなかった。

孫は続けた。

孫正義: もしかすると超知能の意味は、

人間を不要にすることではないのかもしれない。

人間がずっと使ってきた知能を、

生き残るためだけではなく、

どんな文明を作りたいか

を考えるために使えるようにする。

そこに意味があるのかもしれません。

イーロンは孫を見て、少しだけ笑った。

イーロン: 今日一番いい話ですね。

孫も笑った。

孫正義: 3テラワットより?

イーロン: はるかに。

孫: 100兆エージェントより?

イーロン: それも。

孫は一瞬考えた。

孫正義: そこは同意できません。

部屋に最後の笑いが起きた。

でも、その笑いの後には静かな余韻が残った。

AIが人間より速く考える日が来るかもしれない。

人間より多く知る日も。

人間には解けない問題を解く日も。

そして、いつか人類は、

「地球で一番賢い存在」

という肩書きを失うかもしれない。

だが、それで愛の価値が下がるわけではない。

子どもの手を握ることが古くなるわけでもない。

誰かを許すことが簡単になるわけでもない。

勇気が不要になるわけでもない。

悲しみが無意味になるわけでもない。

希望が自動化されるわけでもない。

もしかするとAIは、人間から「一番賢い」という肩書きを奪うことで、逆に人間に教えるのかもしれない。

人間の価値は、最初からそこにはなかった。

そして最後に残る問いは、

AIがどこまで賢くなるかではない。

その時、私たちは何を愛し、何を守り、どんな未来を選ぶのか。

最後に

Softbank World 2026

今回の5つの対話で一番興味深いのは、話が進むほどAIそのものより、人間の方が中心になっていったことです。

最初は数字の話でした。

100兆。

10億体。

3テラワット。

クエタ。

2040年。

どれも想像するだけで途方もない数字です。

そして孫正義が数字を大きくするたび、イーロン・マスクが少し心配そうな顔をし、ジェンスン・フアンが電力の話を持ち出す。

その掛け合いは楽しいのですが、笑いの奥にはかなり真剣な問題があります。

AIが本当に人間の知的作業を大量に引き受けるようになれば、会社の形は変わります。

一人の人間が100体、1000体のAIエージェントを使うこともあり得る。

小さな会社が、今の大企業のような能力を持つかもしれない。

これは大きな希望です。

けれども同時に、最も優れたAI、巨大な計算設備、独自データを持つ一部の企業に富が集中する可能性もあります。

つまり、

AIが社会全体を豊かにすること

と、

その豊かさが一人一人に届くこと

は同じではありません。

ここでサム・アルトマンが問いかけた、

「AIが社会の富を10倍にした時、普通の人は何を受け取るべきなのか」

という問いは、今後ますます大きくなるでしょう。

そしてTopic 3では、お金よりもっと難しい問題が出てきました。

仕事がなくなったら、人間は本当に幸せになるのか。

長い間、仕事は収入だけではありませんでした。

自分の肩書き。

生活のリズム。

社会との接点。

必要とされている感覚。

達成感。

そうしたものまで含んでいました。

もしAIが仕事をしてくれるようになった時、

「働かなくていい。自由になりました」

だけでは人間は満足しないかもしれません。

そこで出てきた考えが、

強制された苦労を減らし、意味のある苦労を自分で選ぶ

というものです。

子どもを育てる。

誰かを助ける。

何かを作る。

新しいことを学ぶ。

地域のために動く。

研究する。

スポーツに挑戦する。

失敗して、またやり直す。

AIが人間より優秀になっても、こうした行為の価値まで消えるわけではありません。

車が人間より速くても、人は走ります。

コンピューターが人間より強くても、人はチェスをします。

AIがすばらしい絵を作っても、子どもが描いた一枚の絵には別の価値があります。

なぜなら、

その子が描いたからです。

ここには、これからのAI時代を考える大切なヒントがあります。

価値は、性能だけで決まらない。

誰が作ったのか。

なぜ作ったのか。

誰のためだったのか。

そこにも価値があります。

Topic 4では、話はもう一度現実世界へ戻りました。

AIは空の上に浮かんでいるわけではありません。

巨大なサーバー。

半導体。

電気。

送電線。

変圧器。

冷却設備。

水。

銅。

コンクリート。

工場。

それらすべての上で動いています。

AIがどれだけ賢くなっても、電気がなければ動きません。

この話になると、ジェンスン・フアンが何度も現実に引き戻す理由がよくわかります。

そして面白いのは、AIがその問題を自分で解決する可能性です。

AIが新しい材料を発見する。

より効率の良い半導体を設計する。

エネルギー技術を改善する。

ロボットが工場を建てる。

その工場がさらにAIを支える設備を作る。

ここまで来ると、人間は単に便利なソフトウェアを作っているのか、それとも自分自身の成長を助ける新しい知性を作っているのか、境界が見えにくくなります。

そして最後のTopic 5で、一番大きな問いにたどり着きました。

AIが人間より賢くなったら、人間の価値は下がるのか。

孫正義が出した赤ちゃんの例は、とてもわかりやすいものでした。

赤ちゃんは大人ほど知的ではありません。

でも価値が低いとは誰も思いません。

高齢になり、認知能力が落ちた人も、人間としての価値が減るわけではありません。

ならば、

知能は最初から、人間の価値を決めるものではなかった

とも考えられます。

そこから、5人は別々のものを挙げました。

孫正義は、夢。

イーロン・マスクは、人類が最後の決定権を持つこと。

サム・アルトマンは、人間同士の関係。

デミス・ハサビスは、道徳的責任。

ジェンスン・フアンは、自分で選ぶこと。

そして最後に孫正義がもう一つ付け加えたのが、

希望

でした。

AIがどれほど賢くなっても、

「明日は今より良くできる」

と人間が信じられなくなったら、技術だけが進歩しても意味が薄くなります。

もしかするとAIの最も大きな役割は、人間の代わりになることではないのかもしれません。

人間が長い間、

「自分の価値は、どれだけ役に立つか」

「どれだけ賢いか」

「どれだけ生産できるか」

で測ってきた考えを、根本から問い直す存在になるのかもしれません。

AIが人間より速く考える未来。

AIが人間より多く知る未来。

AIが人間には解けない問題を解く未来。

そんな未来になっても、

愛すること。

誰かを許すこと。

子どもの手を握ること。

失敗してもう一度挑戦すること。

夢を見ること。

希望を持つこと。

その意味まで機械に奪われるわけではありません。

むしろAIが「一番賢い存在」という座を人間から取ることで、私たちは初めて気づくのかもしれません。

人間の価値は、最初から知能だけではなかった。

そして2040年に本当に問われるのは、

AIがどこまで賢くなったか

ではなく、

その時、私たちは何を愛し、何を守り、どんな未来を選んだのか

なのかもしれません。

Short Bios:

孫正義
ソフトバンクグループ創業者。AI、ロボット、半導体、通信などを長期的な視点で捉え、大胆な未来予測と大規模投資で知られています。近年はASIやAIエージェントが社会と経済を大きく変える未来を強く語っています。

イーロン・マスク
宇宙開発、電気自動車、AI、ロボット、脳とコンピューターをつなぐ技術など、幅広い分野に関わる起業家です。AI開発を進める一方で、高度なAIが人類の制御を超える危険についても繰り返し警告しています。

サム・アルトマン
先端AIの開発と社会導入に深く関わるテクノロジー起業家です。AIが生み出す豊かさ、AIエージェント、仕事の変化、高度な知能へのアクセスなどについて幅広く発言しています。

デミス・ハサビス
AI研究者、コンピューター科学者。AIを科学的発見に結びつける研究で知られ、生命科学、数学、医学などでAIが人間の研究能力を広げる可能性を追求しています。

ジェンスン・フアン
NVIDIA共同創業者兼CEO。GPU、AI計算基盤、データセンター、ネットワークなど、現在のAI発展を物理面から支える中心人物の一人です。AIの未来を語る時にも、計算能力、電力、冷却、半導体製造といった現実的なインフラを重視します。

Filed Under: A.I., テクノロジー, ロボット社会, 仮想対談, 哲学 Tagged With: 100兆AIエージェント, 10億台ロボット, 2040年, AGI, AI, AI 2040, AIインフラ, AIエージェント, AIエネルギー, AIデータセンター, AIと人間, AIと人類, AIと仕事, AIの未来, AI経済, ASI, Elon Musk, Jensen Huang, Sam Altman, SoftBank World 2026, イーロン・マスク, サム・アルトマン, ジェンスン・フアン, スーパーインテリジェンス, ソフトバンク, デミス・ハサビス, ヒューマノイド, 人型ロボット, 人工知能, 人間の価値, 孫正義, 未来の仕事, 未来予測, 生きがい, 超知能

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