はじめに私たちは普通、悪意が人を傷つけるのだと思っています。誰かを支配したい人。誰かを利用したい人。誰かを排除したい人。けれど、本当にそれだけでしょうか。人間を傷つけるものの中には、もっと見分けにくいものがあります。愛されたい。家族を守りたい。少し楽になりたい。弱い人を助けたい。亡くなった人を忘れたくない。争いを減らしたい。どれも、それ自体は悪い願いではありません。むしろ私たちが「善い」と考えている願いです。村田沙耶香の『世界99』が不穏なのは、悪人たちの世界を描いているからではありません。普通の人間が、自分を守り、生活を楽にし、誰かを愛し、社会を少し良くしようとした結果、その負担を別の存在へ移 … [Read more...] about 村田沙耶香『世界99』から考える5つの現代短編|善意はいつ誰かを傷つけるのか

