
人は、いくつの記憶を持って生きているんだろう。
私には、忘れようとしても消えない記憶がある。
あの冬、私は彼を失った。
でも時が流れて、別々の街で、別々の顔で、彼によく似た人たちと出会った。
これは、私が愛した“ひとつの魂”を、もう一度探す旅。
パリで、東京で、ニューヨークで――
忘れられない愛が、もう一度静かに、私の中で響き始めた。
(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)
EPISODE 1: “Echoes of Tokyo”
舞台:東京・浅草/神楽坂/ギャラリー
主題:出会いと記憶の予感
登場人物:ハン・ユジン、藤木ジュン、スタッフ(脇役)
Scene 1: 雪の神楽坂 – 開かれた記憶の扉(夜)
ロケーション:東京・神楽坂の裏通り。雪がしんしんと降る中、石畳に足音だけが響く。
(モノローグ)ユジン(ナレーション)
「雪の降る夜は、いつもあの声を思い出す。『また雪が降ったら、会おう』って。」
ユジンが足を止める。街灯の下、遠くに立っている男性の影。
彼女が見つめると、その男も一瞬こちらを見るが、すぐに背を向けて歩き去る。
雪の中に一瞬残る、忘れられた笑顔の気配。
Scene 2: デザイン展示会 – 懐かしさの片鱗(翌日・昼)
ロケーション:東京都美術館の展示会場。ユジンの作品が展示され、日韓のメディアも取材中。
ユジンはプレゼン後、一枚の絵に目を奪われる。
そこには彼女が10代の頃、ソウルでジュンホと初めてキスを交わした“冬の坂道”が描かれていた。
その絵の横に、作家名 “藤木ジュン” の文字。
彼女は関係者に「この作家に会いたい」と告げる。
Scene 3: アトリエでの再会 – 魂が記憶するもの(午後)
ロケーション:東京・世田谷。静かな住宅街の一軒家のアトリエ。
扉が開くと、絵具の匂い、古い木の床、曇ったガラス。
藤木ジュンが現れる。顔立ちは少し違うが、目元と声が「彼」を思い出させる。
ユジン(戸惑いながら)
「この絵、見たことあります。…なぜ、描けたんですか?」
ジュン(静かに)
「夢で見たんです。とても、懐かしい坂道でした。…あなたに似た人も、いた気がします。」
ユジン、動揺して絵に手を伸ばす。指先が微かに震える。
ジュンは、その様子を見て胸を押さえるように立ち尽くす。
Scene 4: 夜の回想 – 消えた約束のかけら(深夜)
ロケーション:ユジンのホテルの部屋、窓の外は雪景色。
ユジンは昔のノートを取り出す。そこには高校時代、ジュンホとの交換日記の一節が。
『雪が降ったら、また会おう』
そのセリフと、ジュンの言葉が重なって胸が詰まる。
彼は本当に記憶を持っていないのか、それとも別の何かに引き寄せられているのか。
Scene 5: ラスト – 記憶の音(翌朝)
ロケーション:浅草寺の早朝。境内に柔らかい日差しと残雪。
ユジンは再びジュンと会う。彼がスケッチブックを手渡す。
中には、新しく描かれた絵が。それは雪の中で、手を取り合う2人のシルエット。
ジュン(静かに)
「夢の中で、こうしてあなたと歩いてた気がして…勝手に描いてしまいました。変ですよね。」
ユジン、涙をこらえながら微笑む。
カメラが引き、東京の街に雪が舞い始める。
(ナレーション)ユジン
「私はあなたを忘れていなかった。
でも、あなたは夢の中で私を待っていてくれた。
…それだけで、今は十分だった。」
EPISODE 2: “Whispers in Paris”
舞台:パリ・セーヌ川、サン・ルイ島、詩人カフェ
主題:詩に宿る記憶、言葉の影を辿る愛
登場人物:ハン・ユジン、ジャン・カン、書店員、ユジンの助手
Scene 1: セーヌ川の朝 – 言葉が心を叩く
ロケーション:セーヌ川沿い、寒空の朝。橋の上に立つユジンが、川に揺れる本のページを見つめている。
ユジンは前日に参加したパリ展示会で**「見覚えのある詩」**を読んだことを思い出す。
そこには、昔ジュンホが冗談で言っていた言葉が引用されていた。
ユジン(つぶやく)
「"너는 눈처럼 조용히 나에게 와서, 바람처럼 사라졌지"(君は雪のように静かにやってきて、風のように去った)…それは…彼の言葉…。」
Scene 2: 古書店での邂逅 – 名もなき詩人、ジャン・カン
ロケーション:マレ地区の古書店。木の棚に詩集が並ぶ。
ユジンはその詩が掲載されていた**詩集「Les Voix de l’Hiver(冬の声)」**を見つけ、著者名を見る――Jean Kang。
すると店の奥から店員が言う:
書店員(フランス語)
「彼なら午後、サン・ルイ島のカフェに来るよ。詩のリーディングを毎週してる。」
ユジン、静かに頷きながら本を抱えて外へ出る。
Scene 3: 詩人の午後 – 記憶の言葉を語る男
ロケーション:サン・ルイ島の詩人カフェ。壁には世界中の詩人たちの肖像画。
ジャン・カンがステージで自作の詩を読み上げている。
声は穏やかでリズムがあり、言葉の一つ一つが映像のように流れていく。
ユジンは彼の表情、声、抑揚に**“彼”の面影**を感じる。
詩の中に、彼女しか知らないはずの一節が登場する。
ジャン(朗読)
「Et quand la neige tombe, ton ombre m’embrasse sans nom...(雪が降るとき、君の影が名もなく僕を抱く)」
Scene 4: カフェでの会話 – 詩は記憶なのか、幻想なのか
ロケーション:カフェのテラス席。コーヒーが冷めていく間、沈黙が漂う。
ユジン
「…あなたの詩、まるで私の思い出をそのまま読まれている気がしました。」
ジャン(ゆっくり)
「僕も驚いています。あなたが夢に出てきた人に、あまりにも似ていて。」
ユジン
「夢…ですか?」
ジャン
「10代の頃から、冬になると同じ夢を見るんです。坂道と、誰かの声…」
彼はノートを取り出し、そこに描かれた韓国語のメモを見せる。
“다시 눈이 오면 널 찾을게”(また雪が降ったら、君を探す)
Scene 5: エッフェル塔の夜 – 溶けゆく時間の輪郭
ロケーション:夜のシャン・ド・マルス公園。エッフェル塔が輝き、空には薄く雪が舞い始める。
ユジンとジャンが夜の街を歩いている。沈黙の中、足音だけが響く。
ジャン
「もしあなたが、僕の過去にいたとしたら…僕は何を忘れてしまったのでしょうね。」
ユジン
「私も、あなたが何を思い出せるのか――その答えを知りたい。」
2人の視線が重なり、雪が手のひらに落ちる。
カメラが空へパンし、雪と光が混じる中、“Whispers in Paris” の文字が浮かび上がる。
EPISODE 3: “The Music of New York”
舞台:ニューヨーク・セントラルパーク、ブルックリン、病院、ロフトアパート
主題:音に宿る記憶、涙の理由
登場人物:ハン・ユジン、Joon(ジュン)、患者の子どもたち、病院スタッフ
Scene 1: セントラルパークの奇跡 – 音で繋がる心
ロケーション:セントラルパーク、冬の夕暮れ。雪が地面を白く覆い、空には静けさが漂う。
ユジンが通りがかりにふと立ち止まる。
公園の中、ベンチに置かれた小さな電子ピアノの前に、Joonが座って演奏している。
演奏されている曲は、ユジンとジュンホが昔、ふざけて一緒に作ったメロディ。
(彼女しか知らないはずの旋律)
ユジン、思わず涙ぐむ。
ユジン(つぶやき)
「…まさか、なんでこの曲を…?」
Joonは演奏を終え、ふと視線を上げ、彼女と目が合う。
その瞬間、Joonの目に涙が溜まり始める。
Scene 2: 音楽療法室 – 目覚めかけた“何か”
ロケーション:病院内の音楽療法室。子どもたちが太鼓やピアノで遊ぶ空間。
ユジンは、Joonを訪ねて病院を訪れる。彼は音楽セラピストとして働いていた。
ユジン
「昨日、あなたの演奏を偶然聴きました。…あの曲、どうして?」
Joon(少し戸惑いながら)
「…正直わからないんです。気づくといつも、その旋律を指が追っていて。
ただ…弾くと、涙が出てくるんです。」
ユジン、静かに微笑むが、胸は波打つ。
子どもたちに囲まれて笑うJoonの姿は、かつてのジュンホとは違うが、**温かさと哀しさが混じる“同じ目”**をしている。
Scene 3: ロフトアパートの夜 – 記憶の断片
ロケーション:ブルックリンのロフト。夕暮れ、Joonがユジンを招いてお茶を飲む。
部屋には昔の楽譜やカセットテープが並ぶ。
ユジンは棚の隅に置かれた、1本のカセットテープを手にする。ラベルには韓国語でこう書かれている:
「우리의 겨울(僕たちの冬)」
Joon(驚いて)
「それ…僕が10年前に事故に遭った時、ポケットに入っていたって。
でも、何が入っているのか、怖くてずっと聞けなかった。」
ユジンと共に、カセットプレイヤーに入れて再生する。
流れるのは…ジュンホの声で語られる、あの日の告白。
「…ユジン、雪が降ったら、また会おう。君が僕を忘れても、僕は君を思い出すから。」
Joon、震えるように口を押さえ、涙をこらえられなくなる。
Scene 4: 記憶の夜明け – 音の正体
ロケーション:セントラルパーク、翌朝。ピアノが置かれていた場所。
Joonが1人でやってくる。録音機を手にして、ピアノの横に座る。
彼は再び“あの旋律”を弾き始める。
そこにユジンが現れる。
Joon(静かに)
「あなたと会ってから、毎晩夢を見ます。
同じ坂道、同じ雪、同じ言葉…。
そして…あなたが立ってる。」
ユジン(涙声で)
「私の中では、あなたは一度、いなくなって…今、もう一度戻ってきたの。」
2人がゆっくりと手を取り合う。
Scene 5: エピローグ – 雪が語る記憶のリズム
ロケーション:ブルックリン橋を渡るユジンの後ろ姿。空から舞い降りる雪。
ナレーション(ユジン)
「人の心には、触れられない記憶がある。
言葉にできない想いもある。
でも…音はそれを抱きしめてくれる。
あのメロディのように――また、私をあなたへ導いてくれた。」
カメラが上空に上がり、雪に包まれるニューヨークの街を映しながらエンディングへ。
タイトル:「Winter Echoes」
EPISODE 4: “The Reunion in Seoul”
舞台:ソウル(北村、漢江、南山、夜の旧校舎)
主題:魂の断片と記憶の交差、運命の正体に触れる瞬間
登場人物:ハン・ユジン、藤木ジュン、ジャン・カン、Joon(ジュン)、ユジンの母
Scene 1: 北村の風 – 招かれた3人
ロケーション:ソウル・北村の古民家カフェ。初雪が降り始める午後。
ユジンは、それぞれの“彼”に手紙を送っていた。
「ソウルで、新しい空間展示を開くことになりました。
私が“あなた”に見せたいものがあります。
よかったら、初雪の日に来てください。」
その日、藤木ジュン、ジャン・カン、Joonが北村に現れる。
3人ともそれぞれ「なぜ自分がここに来たのか」が言葉にできない。
ユジンは微笑み、3人を案内する。
Scene 2: 旧校舎の記憶展 – 記憶が立体化される場所
ロケーション:ユジンの高校跡地に作られた展示空間“Echo Room”
ユジンが作った空間には、それぞれの“記憶の断片”がインスタレーションとして再現されている。
雪が積もる坂道、詩の断片が浮かぶ鏡、ピアノの音が響く回廊。
3人の彼は、それぞれの“感情”が強く揺さぶられる。
ジャン(静かに)
「…この場所、知ってる気がする。」
藤木ジュンはスケッチブックを取り出し、そこで見た風景と全く同じ絵を以前に描いていたことに気づく。
Joonは、ピアノに手を触れるとあのメロディを無意識に弾き始める。
Scene 3: 母の告白 – 忘れられた真実
ロケーション:ユジンの実家のキッチン。温かい灯りと沈黙の間。
母がユジンに静かに語る。
母
「実は…あなたが10代の頃、あの子(ジュンホ)は病気の治療で何度か脳治療を受けていたの。
…記憶を分けるような処置もあったって聞いたわ。」
ユジン
「記憶を…分ける?」
母は古い封筒を差し出す。中には、ジュンホが書いた未完の手紙が。
“僕の記憶は、きっと誰かの中に残る。
僕がいなくなっても、君が出会う彼の中に――
僕は、必ず生きている。”
Scene 4: 漢江の夜 – 鏡合わせのような時間
ロケーション:夜の漢江。4人が静かに川を見つめて並ぶシーン。
ユジンが語る。
ユジン
「3人とも、顔も人生も違う。でも…私は、あなたの中に“同じ人”を見てきた。
それは記憶かもしれないし、魂かもしれない。
でも、愛は確かに、ずっとここにあった。」
3人の“彼”が、自分の中に存在していた共通の夢、言葉、感情が「一つの魂の断片」だったことを悟り始める。
ジャン
「つまり…私たちは、その人の“かけら”を持った存在?」
Joon
「でも今は、自分として…彼女の隣に立っている。」
Scene 5: 南山の朝 – 愛の形は記憶より深く
ロケーション:南山の頂上。雪が積もる静かな風景。
ユジンがひとり、3人に手紙を残す。
「私の心には3つの出会いがありました。
そしてそのどれもが、“彼”の命のように尊かった。
誰を選ぶかではなく、
私が愛するということが、あなたたちを繋げた証。
ありがとう。“あなた”たちへ。」
彼女が立ち去ったあと、3人の彼がそれぞれ別の道を歩いていく。
でも、最後に彼らの手にあるのは同じ一冊のスケッチブック。
そこには、彼女が描いた**“3人の彼と1人の自分”が手を取り合っている絵**。
Episode 5: “Final Echo – ひとつの魂へ”
舞台:雪の韓国・江原道の湖畔、ユジンの父が設計した別荘
主題:愛の統合、そして別れと始まり
登場人物:ハン・ユジン、藤木ジュン、ジャン・カン、Joon(ジュン)、ユジンの父の記憶
Scene 1: 湖畔の家 – 運命の静けさ
ロケーション:江原道の湖畔、冬の静寂に包まれた別荘。かつてユジンの父が家族のために建てた。
ユジンは3人の彼をここに招く。
「私の記憶じゃなく、私の魂があなたたちに出会った場所へ来てほしい」と。
3人は初めて、同じ空間で顔を合わせる。緊張と共鳴が交差する沈黙。
Scene 2: 暖炉の前で – “彼”の記憶が統合される
ユジンが、亡き父の設計ノートを開く。そこに描かれていたのは「冬の家に集まる4人のシルエット」。
「未来の君に会えたらいいね、ユジン。
君の愛する人が、どんな形で現れても、その魂を信じなさい。」
その瞬間、3人の彼の中に眠っていた同じ映像が一斉に蘇る――
ジュンホとユジンが、雪の中で別れを告げるあの日の映像。
ジャン(苦しげに)
「これは…俺の記憶じゃない。…でも、確かにここにいる。」
Joon(静かに)
「僕は…“彼”が見た最後の夢だったのかもしれない。」
藤木ジュンは立ち上がり、そっと言う。
「なら、僕たちは“あなたが愛した彼の夢の残像”だ。でもそれでいい。」
Scene 3: 最後の雪 – 魂の送り火
湖畔に積もる雪の中、ユジンが3人に一つの白い封筒を渡す。
中には、「それぞれの彼」に向けた別々の手紙が入っている。
その手紙の内容は語られず、3人が黙ってそれを読み、顔を上げた時――
空に雪が舞い、静かに朝日が昇っていく。
音楽は静かに、「Winter Echoes – Main Theme (Reprise)」が流れる。
Scene 4: 別れと旅立ち
それぞれの“彼”が、自分の人生へ戻っていく。
・藤木ジュンは東京へ帰り、雪の坂道を描く画集を出版。
・ジャン・カンは詩集「너는 내 안에(You Are Within)」を発表。
・Joonは子どもたちに新しい曲を教えながら、誰かを深く愛する勇気を持つようになる。
そしてユジンは、ひとり湖畔の別荘に残る。
Scene 5: 回想と未来 – “あなたがいたから”
ロケーション:ユジンの新しい空間展覧会。テーマは “The Shape of Memory”。
会場の中央には、**3人の彼がそれぞれ残していった「記憶のかけら」**が展示されている。
・雪景色のスケッチ
・詩の原稿
・メロディの譜面
そしてその中央に、ユジンが書いたプレートがある:
“I didn’t love just one person. I loved the soul that traveled through them all.”
「私が愛したのは、一人の人間ではなかった。
あなたの魂が旅した3つの命、そのすべてだった。」
エンディング・モンタージュ
・過去のソウルで、若いジュンホとユジンが手をつないでいるシーン
・3人の“彼”がそれぞれの日常に溶け込んでいく姿
・ラスト、湖畔の小道に一人立つユジンが空を見上げ、微笑む
ナレーション(ユジン)
「あなたはもういない。だけど、あなたがいないこの世界で、
私は3回もあなたに出会えた。」
画面が白くフェードアウト。
『Winter Echoes』タイトルロゴ
– 끝 –
最後のひとこと
私は、誰かひとりを選んだわけじゃない。
選べなかったんじゃなくて――すでに、全部が“彼”だった。
たったひとつの魂が、三つの姿で現れて、私にもう一度愛を教えてくれた。
記憶は消えても、感情は残る。
名前も顔も違っても、私の心はちゃんと、彼を覚えていた。
今ならわかる。
愛は、記憶の中にあるんじゃない。
愛は、魂の中に宿って、私たちを導いてくれるものだったんだと。
Short Bios:
ハン・ユジン(Han Yujin)|35歳・空間デザイナー(韓国)
静かに情熱を燃やす国際的な空間デザイナー。
10代の頃に初恋の人を事故で失い、それ以来、記憶と感情を胸に秘めて生きてきた。
パリ・東京・ニューヨークで“彼”に似た3人の男性と出会い、心の奥にあった記憶が呼び起こされていく。
藤木ジュン(Fujiki Jun)|38歳・画家(日本・東京)
東京・世田谷在住の静かな画家。
幼い頃から夢の中で見てきた“冬の風景”を描いていたが、それがユジンとの過去と重なっていく。
言葉よりも目と絵で語るタイプ。
ユジンの存在が、自分の記憶の深層を揺さぶり始める。
ジャン・カン(Jean Kang)|40歳・詩人(フランス・パリ)
韓国系フランス人。幼い頃から詩の世界で生きてきた哲学的な詩人。
夢の中に現れる“ある女性”を追い続けて詩を書いてきたが、ユジンと出会い現実との境界が揺らぎ始める。
「言葉は記憶を運ぶ器」と信じ、愛を詩の中に閉じ込めてきた。
ジュン(Joon)|41歳・音楽セラピスト(アメリカ・ニューヨーク)
韓国出身、ニューヨークで音楽療法士として働く。
過去に事故で一部記憶を失いながらも、心の中に“理由のない懐かしさ”を感じていた。
ユジンと出会い、封じられていた感情が音楽となってよみがえっていく。
ユジンの母(Mrs. Han)|60代・未亡人
かつて建築家だった夫を失い、ひとり娘・ユジンを支えてきた母親。
ジュンホの治療に関する秘密を知っていたが、長年口にできずにいた。
娘の愛と記憶を見守る、影の語り手。
カン・ジュンホ(Kang Junho)|ユジンの初恋の人(故人)
10代のユジンと深い愛を育んだが、事故によりこの世を去ったとされる男性。
しかし彼の魂は、「3人の彼」に断片的に宿っているとされ、物語の中心的存在となる。
Leave a Reply