
出川哲朗:
「今日はオレ、泣かないつもりだったんですけど…」
みなさん、おはようございます。出川哲朗です。
いや〜昨日は癒されたね。動物たちとか、ラベンダーの香りとか、オレもなんか、心がふわっとしてましたよ。
でもね、今日はちょっと違うのよ。北海道の大地のスケールと静けさがズドーン!とくる日です。
層雲峡の滝はね、なんか…見た瞬間に胸がぎゅっとなっちゃう。
黒岳ロープウェイに乗って上がっていくときも、景色がどんどん広がって、“あれ、オレの人生って意外といいかも?”って思えてきたりして。
温泉宿ではね…あんまり言いたくないけど、オレ、風呂場で静かに泣いたかもしれない。
でもね、そんな涙が出るってことは、心がちゃんと動いてる証拠だと思うんですよ。
今日はね、“自然に圧倒されて、気づいたら素直になってる日”。
みなさんも、一緒に素の自分と出会えるといいなと思ってます。
(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)
層雲峡・銀河の滝と“大地の沈黙にふれる日”

テーマ:「語らないものほど、大切なことを伝えている」
朝、富良野のペンションを出発した一行は、ゆるやかな山道を登りながら北へ向かった。
しばらくして車窓の向こうに現れたのは、巨大な断崖が連なる層雲峡(そううんきょう)の絶景。
山肌を削り出すような柱状節理の岩壁と、その間から流れ落ちる銀河の滝が、空から降ってくるように静かに響いていた。
その滝のほとりで待っていたのは――
【地元ガイド:氷室航(ひむろ・わたる)さん】
50代、地形学博士。言葉数は少なく、視線もゆっくり。だが一度語り始めると、まるで岩の層が語りかけてくるかのような深さがある。
北海道の火山帯を30年以上歩き続け、「沈黙の中にある情報を読む力」を持つ男。地元では“滝語(たきご)さん”とあだ名されている。
「この崖、1億2千万年前の火山の跡です」
開口一番、氷室さんはその場に座るように促した。まるで“岩と同じ目線で語ろう”と言わんばかりに。
「皆さん、岩って“動かないもの”だと思っていませんか?
でも実は、岩は“時の声”を出しているんです。…ただ、あまりに遅すぎて、私たちには聞こえないだけです」
出川さんが小声で「え、それ…オレよりしゃべらないレベルっスよ…」とつぶやき、
さんまさんが「いや、お前のは早口で意味がないだけや!」とツッコむ。
笑いが落ち着いた後、氷室さんは静かに岩肌を撫でる。
「ここの岩は“音を吸収する岩”です。だから、音を出しても響かない。でも、その代わりに**“心の音”を吸収してくれる場所**なんです」
江原啓之さんが言葉を添える。
「ここは、“魂の残響室”ですね。言葉にしなくても、自分の中に響いているものが、岩に映される」
しばらくの沈黙。
ただ、水の落ちる音、風にゆれる枝、足元の砂利が微かにこすれる音――。
誰もが耳ではなく、**“体で聞いている”**ような感覚になっていた。
そのとき、タモリさんがひとこと。
「この崖、時間の断面図みたいだな。見てるうちに、自分の“過去の断層”が見えてくる」
高田純次さんが、「オレの人生の地層、もう砂利になってるかも」と笑いを交えながら言うと、
一人さんが優しく続けた。
「でも、砂利ってのはね、“全部乗り越えて細かくなった証拠”なんだよ。
大きな岩が壊れて、細かくなって、最後は土になる。
その土が、次の“花の土台”になるんだ」
綾瀬さんが目を閉じて、小さくつぶやいた。
「…じゃあ私の悲しかったことも、いつか誰かの花の土になるかもしれないんですね」
氷室さんは、滝のほうを向いたまま、ゆっくり頷いた。
「岩は語りません。でも、壊れることで“景色”になります。
だからあなたが今、“静かに崩れている”なら、それはきっと“美しい未来の形”になるということです」
最後に、斎藤一人さんが、ポケットから“岩のかけら”を出して全員に手渡した。
それは、地元の火山岩を砕いて作られた、小さな“願い石”だった。
『言葉にできなかったことは、沈黙の中で動き出す。
今のあなたが、どんなかたちであっても、それはちゃんと前に進んでいる証拠。
滝は後ろから落ちてくる。でも人は、前を向いて、それを受け止めて歩ける』
全員が岩のかけらをポケットに入れたとき、ちょうど滝の水が強くなったように思えた。
それは、大地からの静かな拍手だったのかもしれない。
大雪山ロープウェイと“空と心の距離”

テーマ:「心が澄むと、空も近くなる」
層雲峡の岩壁を後にした一行は、山のふもとにある大雪山(たいせつざん)黒岳ロープウェイ駅へと向かった。
今日の目的は、高度1,300メートルの五合目まで一気に上がり、空にいちばん近い場所で“心の高さ”を体感すること。
駅で待っていたのは――
【地元ガイド:白川青空(しらかわ・そら)さん】
気象予報士にして、登山ガイド歴40年。
名前の通り“空の機嫌”を読む天才で、地元では「雲と会話する人」として知られる。
話すトーンは穏やかだが、自然との一体感を言葉にするその語りは、一同の心をゆっくりとほぐしていく力がある。
ロープウェイが山の斜面を登り始めると、次第に空が近づいてくる。
雲が真横に流れ、森の匂いが風に乗ってガラス窓にふわりと触れた。
白川さんがマイク越しに語り始めた。
「空って、実は“地面の鏡”なんです。
地上で人の気持ちがざわついてる日は、雲も風も落ち着かない。
でも、誰かが“ありがとう”をたくさん言った日には、空が深く澄んで、風がやさしく吹くんです」
出川さんが「え!? オレが感謝しても空が晴れるってことっスか!?」と驚くと、
さんまさんが「その前に“謝れ”の数のが多いやろ!」とツッコミ、笑いが起こる。
五合目に到着すると、空気は一段と澄み、遠くの大雪山系の峰々が連なって見えた。
目の前に広がるのは、人間の小ささが心地よくなるほどの広がり。
白川さんが立ち止まり、こう語った。
「ここでは、“世界はあなたに何も求めていない”ってことが分かります。
空も山も、ただ“そこにある”だけ。でもそれが、どんなにありがたいか」
綾瀬さんがそっと言った。
「なんか…“私ががんばらなきゃ”ってずっと思ってたけど、
ここに来たら、“私がいなくても大丈夫”って安心できた気がします」
江原啓之さんが続ける。
「その感覚はとても大切です。“自分が中心じゃない”と気づけたとき、
人はようやく“本当の自由”と出会えるんです」
タモリさんが、遠くの雲を見ながら言った。
「空と心の距離って、案外いつも“自分がつけてたラベル”で変わってたんだろうな。
“疲れた空”、“不安な空”…でも、それ全部、心の空模様だったのかも」
白川さんが、ポケットから小さな封筒を一人ひとりに手渡す。
中には、“空の葉書”と呼ばれる青空を写した写真が1枚と、短い手紙が添えられていた。
『いまのあなたに伝えたいこと:
空は、黙って見ていてくれる存在。
だからあなたも、自分を“見張る”のをやめて、
ただ、澄んでいてください。
心の空も、いつか晴れます』
斎藤一人さんが、その写真を胸ポケットにしまいながら言った。
「今日、ここに来て、“上を向ける人”になったら、それだけで運がひとつ上がったよ。
だって空って、“希望が浮かんでる場所”なんだからね」
空がゆっくりと動き、風が頬をなでていった。
まるで“よく来たね”と、天がささやいたように。
温泉宿で語る“開運風呂と未来の自分”

テーマ:「湯の中では、どんな悩みもやわらかくなる」
夕方、一行がたどり着いたのは、層雲峡温泉郷の奥にひっそりと佇む一軒宿「白霧庵(はくむあん)」。
昭和初期に建てられたこの宿は、全国の“開運温泉”好きの間で密かに語り継がれる名湯だ。
宿の前には、まるで昔話に出てきそうな赤い提灯と、山から引いた硫黄の香りを含んだ湯けむりが揺れていた。
この宿を守るのが、今日の案内人――
【地元ガイド(湯守):川俣良玄(かわまた・りょうげん)さん】
70代後半の宿主。もとは山伏でもあり、湯と山を知り尽くした“湯守”。
無口だが、ひとたび湯の話になれば語り口はまるで詩人のよう。
「お湯は天からの手紙」と語るその姿勢は、地元の人から“湯の語り部”と呼ばれている。
客室で浴衣に着替えた一行が大浴場へ向かうと、そこには木造の浴場に、岩を組んだ露天風呂が続いていた。
山の気配と湯けむりが、まるで“何も考えなくていいよ”と包み込んでくれる。
湯船につかると、さんまさんがひとこと。
「はぁ〜…人生に必要なのって、もう“風呂”と“笑い”だけちゃうか?」
高田純次さんも「あとオレには“適当さ”がもう一味いるけどね〜」と笑いながら肩まで沈み込んだ。
そのとき、湯船のそばにゆっくりと川俣さんが現れた。
腰には布を巻き、手には小さな柄杓。
「このお湯は、山が365日かけて送ってきた贈りものです。
だから今日、あなたがここに来たのも、偶然ではありません」
「湯に入るときは、“いまの自分に会いに行く”気持ちでいてください」
江原啓之さんがうなずく。
「温泉は、“無意識をやさしくゆるめる”場所。だから未来がふっと見えてくるんです」
全員が湯に浸かりながら、沈黙の時間が流れた。
しばらくして、斎藤一人さんが言う。
「オレね、湯に入ると、“未来の自分”が笑ってる映像が出てくるんだよ。
今の自分がどんなに迷ってても、“その先に必ず笑ってる自分”がいるって分かる」
綾瀬さんが目を閉じたまま、ぽつり。
「…じゃあ、今日悩んでた私も、そのうち笑ってるのかな?」
川俣さんが答える。
「湯は“いまのあなた”と、“未来のあなた”を同じ温度で包みます。
そのことに気づければ、あなたの時間はもう動き始めている」
タモリさんが言った。
「結局、“明日どうするか”じゃなくて、“いまの湯加減”を信じられるかどうかだな」
湯から上がる頃には、肌だけでなく、心の奥がふんわりと緩んでいた。
全員が一枚の小さな紙に、**「今日感じた“未来の自分の言葉”」**を静かに書き記す。
出川さんの紙には、たどたどしく、でも力強くこう書かれていた。
「よくここまで来たな。お前、思ったよりちゃんとしてるじゃん」
その言葉に、全員が拍手した。
笑いながら、湯上がりの牛乳をごくごくと飲み干し、
3日目の夜は、深い静けさとあたたかさに包まれていった。
あとがき
「本当の“元気”って、静かな場所にあるんですね」
いや〜今日もいろいろあったけど、なんか…今オレ、すごく静かに感動してるんですよね。
層雲峡のあの滝、あの高さと音と光…あれ見たら、自分の悩みがちっちゃく見えちゃったし、
黒岳の山頂では風が顔に当たって、「ああ、ちゃんと今ここに生きてるな」って実感できたんです。
それに温泉宿での夜――火のまわりで未来の自分に手紙を書いたとき、
「オレ、意外とちゃんと生きてるじゃん!」って思えて、なんかね、笑いながら泣けてきた。
こんなオレでも、自分のこと少し好きになれた1日でした。
みなさんも、そう思えたら、それがもう“最高の旅の成果”じゃないですかね?
“元気”って、にぎやかなことだけじゃない。
こうして静かに、自分を抱きしめられる時間があるって、
それが一番の“心のビタミン”なんだなって思いました。
明日も、どんな風景が待ってるかわかんないけど、
今日のこの感覚を、大事に持っていきたいですね。ありがとうございました。
Short Bios:
斎藤一人
“ついてる”の言霊で日本中を明るくした実業家。人生の仕組みや心の持ち方をユーモラスかつ的確に説く。旅の中では、気づきと言葉の魔法を軽やかに届ける存在。
明石家さんま
常に笑いを絶やさず、誰よりも場を和ませる日本の大エンターテイナー。旅ではツッコミとボケを絶妙に使い分け、緊張や沈黙を笑いに変えるエネルギー源。
江原啓之
スピリチュアルカウンセラー。自然や場所の“氣”を読み解き、魂のメッセージを静かに伝える役割を担う。深い洞察で旅を内面的にも豊かなものに導く存在。
綾瀬はるか
繊細な感性で風景や人の気持ちに寄り添う女優。旅のなかでは誰よりも“感じる”力に優れ、まっすぐな言葉でその場に温かさをもたらす。
出川哲朗
リアクション芸の第一人者であり、涙もろく素直な心の持ち主。飾らない感情表現で、旅に人間味と親近感を与える。泣いて笑って心を動かす存在。
高田純次
“適当男”として知られるが、その軽妙なコメントには人生経験に裏打ちされた深みがある。旅にユーモアとゆるさを加え、場を軽やかにする達人。
タモリ
知性と沈黙のバランス感覚に優れた観察者。風景や歴史をさりげなく読み解きながら、言葉少なに“本質”を差し出す。旅の知的中核的存在。
風間 仁(層雲峡ガイド)
元・登山家であり自然哲学者。銀河の滝や断崖の前で“自然の沈黙に宿るメッセージ”を語る人。言葉より空気で伝えるタイプの案内人。
坂本 奏太(黒岳ロープウェイ案内係)
気象と山岳に詳しい中年ガイド。ロープウェイから見える山並みの変化を“心の変化”にたとえて案内する。ユーモラスながら的確な比喩が光る。
沢田 小夜(山頂ガイド・自然教育インストラクター)
山頂での「沈黙と眺めの効用」を教えるインストラクター。若いながらも言葉選びに重みがあり、自然のなかで“心を整える”時間を提供する。
中原 真一(温泉宿主)
祖父の代から続く山間の一軒宿を守る男。火のある囲炉裏と手書きの短冊で、訪れた人々に“未来の自分”との対話の場をつくる。寡黙だが情熱的。
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