
高田純次:
いやぁ、とうとう最終日ですか。早かったですねえ。
思えばね、北海道ってのは、広いくせに、心にはスッと入ってくる場所なんですよ。
札幌で開運おにぎり頬ばって、小樽でレトロに浸って、
富良野でラベンダーに癒やされて、知床で命と静けさを感じて…
まぁ、人生の濃縮パックみたいな一週間だったわけです。
でね、最後に訪れるのが**“港町・函館”**ってのがまたニクい。
歴史も文化も、そして夜景まで揃ってる。
でもね、ここで一番大切なのは――自分の中の旅の終わり方かもしれません。
ほら、旅って“終わったあと”にどう思い出すかで、本当の価値が決まるっていうじゃないですか。
さ、そんなわけで――今日の函館は、ちょっと静かに、でもちゃんと味わっていきましょうか
(本稿に記されている対話はすべて仮想のものであり、実在の人物・発言とは関係ありません。)
函館朝市で“運命の海鮮丼”占い

ガイド:松岡はつ乃(朝市三代目、丼占いの名手)
テーマ:「味覚が語る、いまのあなた」
旅の最終日。
朝の空気がほんのり塩気を帯びた風とともに吹き抜ける中、一行は函館朝市のアーケードに足を踏み入れた。
あちこちからイカの跳ねる音、炙り焼きの香り、威勢のいい呼び声。
まるで“北海道じゅうのエネルギー”が一斉に押し寄せてきたような熱気。
「よっしゃ〜!朝から“運”食べようやないか〜」
さんまさんの声に押されるように、一行が案内されたのは、
市場の奥にひっそり佇む食事処「福の海」。
ここで一行を迎えたのが、白い割烹着とパワフルな笑顔が印象的な松岡はつ乃さん(68)。
「海鮮丼はね、“今日のあなたの心”が、まるっと映るんだよ」と語る、“丼占い”の名人である。
店内には、くじ箱がひとつ。
そこから引いたくじで、今日の自分に“必要な味”が出てくるという。
まず引いたのは、出川哲朗さん。「ねばねば丼」――納豆・山芋・オクラの粘り強コンビ。
「ちょ、マジで俺、ねばねば系ダメなんすよぉ〜!」と叫ぶが、ひとくち食べた途端、
「…あ、なんか今までの疲れ、まとまって流れてく感じする…」と驚きの表情に。
はつ乃さんが微笑みながら言った。
「あなた、ずっと頑張りすぎて“ととのえる余白”がなかったの。今日は粘って、ためて、ほどく日なんだよ」
次は綾瀬はるかさん。「三色きらきら丼」――いくら・帆立・サーモン。
「色が並んでるだけで、なんか…今の自分みたい」とつぶやいた。
はつ乃さんは「この丼はね、“内側の調和”を取り戻したい人に出るの。
あなた、いま“ひとつにまとまろう”としてる最中なんだよ」と静かに語る。
タモリさんのくじは「五種ミニ盛り丼」――小さな盛り合わせ5種。
「うん、派手じゃない。でも、バランスがいい。こういうのがいちばん贅沢なんだよね」
「その通り。この丼が出る人は、“自分の静けさ”を大切にしてる人。
足すんじゃなくて、減らすことで整える人なのよ」
さんまさんは「超豪華・ぜいたく盛り」。
うに・中トロ・カニ・大エビ・いくら…フル装備!
「やっぱり!俺、持ってるわ〜」と笑うが、はつ乃さんが鋭く言う。
「でもね、これが出たってことは、“もっとシンプルでいい”ってサインでもあるのよ。
受け取るだけじゃなくて、わける勇気、今日は持ってって」
最後に斎藤一人さんが引いたのは…なんと「白ごはん丼」。
え?と思った一行に、はつ乃さんがふっと笑う。
「この丼は、“今のままで十分満ちてる”って人にしか出ないの。
本当におなかいっぱいになるのは、心が軽くなったときなんだよ」
一人さんは、湯気の立つ白米をひとくち食べてこう言った。
「今日という日が、“生きててよかった”って味がするね」
それぞれの海鮮丼に、ちゃんと「今の自分」が映っていた。
味覚は、五感の中でもっとも“本音”に正直な感覚。
だからこそ、今日の朝ごはんは、まるで“魂の鏡”のようだった。
そして、はつ乃さんが最後にこう結んだ。
「食べるってことは、自分をまるごと受け入れることなんだよ」
旅の最終日の始まり。
それは、自分の心を、ちゃんと“味わい直す”朝だった。
五稜郭タワーから人生を俯瞰する時間

ガイド:島田丈二(五稜郭研究家・“俯瞰の案内人”)
テーマ:「高く上がれば、見えてくる“いま”の輪郭」
「次は、空から人生を見てみましょうか」
そう言って一行が訪れたのは、函館の名所・五稜郭タワー。
地上90メートルの展望台へと上がるエレベーターの中で、
窓の外に広がっていく風景を見ながら、
誰もが少しずつ“心の距離”を調整していくような感覚に包まれていた。
出迎えてくれたのは、五稜郭研究家であり、“人生の地図読み”をテーマに全国を講演している島田丈二(じょうじ)さん(64)。
「五稜郭は“星の形”をしてますよね。
でも、実は“星”じゃないんです。これは、“外から守るための構造”なんです」
展望フロアのガラス窓の前で、島田さんが語り始める。
「この星形の中心にあるのが“空白”なんです。
でもね、これがあるからこそ、全体が調和するんです。
それはまるで、人の人生にも“空白の中心”が必要だって教えてくれてる気がしませんか?」
綾瀬はるかさんが、「空白って、ちょっと怖いと思ってたんです。でも…ここに立ってると、“必要だったんだな”って思えてきました」とつぶやく。
島田さんはそっと頷き、
「人間の強さは、**“空白を空白のまま持っていられる勇気”**にもあるんです」と返す。
さんまさんが「あの星のカタチ、不思議やけど…なんか“自分の失敗”もカッコよく見える気がする」と笑いながら言うと、
出川さんが「俺も“凸凹のとこばっか見てた”気がするけど…
今日見てると、それが“景色”になってる感じがするっす」と静かに続けた。
展望台には、一人ひとりに配られた小さなメモパッドが用意されていた。
「今の自分に向けて、“地図に書き足したいひとこと”を書いてください」
という島田さんの提案で、一行はしばし沈黙の時間へ。
綾瀬さん:「“未定”でいい、って書き足したい」
タモリさん:「“今ここ”って書けたら、地図が止まって見えるかもね」
さんまさん:「迷う場所、そこに景色がある」
出川さん:「いまの道、もうちょっと歩いてみよう」
書き終えた言葉は、それぞれ封筒に入れられ、
「次に自分が迷ったとき、この封筒を開けて“空からの自分”を思い出してください」と渡された。
最後に島田さんが語った。
「地上では見えなかったことが、
上からだと、“なんてことない景色”に見えることがあります。
それは、あなたが前に進んでる証拠なんですよ」
星形の城郭を眼下に見下ろしながら、
それぞれの“いまの人生”が、
地図の上にゆっくりと浮かび上がっていくようだった。
そして、誰の中にもある“空白”が、
実は“可能性”という名前だったことに気づく場所――
それが、五稜郭タワーだった。
元町教会群で“愛と祈りの静寂”に包まれる

ガイド:中川涼子(元修道女・祈りの語り部)
テーマ:「語らずとも伝わる、心のまなざし」
五稜郭で人生の地図を俯瞰したあと、
一行が足を運んだのは、函館山のふもと、坂道の町・元町エリア。
カトリック元町教会、聖ヨハネ教会、ハリストス正教会――
3つの異なる宗教建築が、隣り合うように静かに建っている。
この一帯を案内してくれるのは、かつて修道院に身を置いていた中川涼子さん(72)。
現在は退任後、教会建築と“祈りのかたち”について語り継ぐ地元の語り部だ。
「祈りってね、しゃべらなくてもできるんですよ」
そう言って中川さんは、一行をハリストス正教会の前に立たせた。
「ここは“音のない教え”がある場所。
本当の祈りは、“ことばの外側”にあるんです」
出川さんがぽつりと聞く。
「じゃあ、俺みたいなバカでも…なんか、届くもんあるんすかね?」
中川さんは笑って、こう答えた。
「バカってのは、自分で思ってるだけ。
神様はね、“そのままのあなた”に耳を澄ましてくれてるんですよ」
聖堂の中へと足を踏み入れる。
灯りはほとんどない。
木の床が、きしむ音すら“心の呼吸”のように感じられる空間。
「しゃべらなくていい。
誰にも見せなくていい。
ただ“感じてること”を、静かに抱えてみてください」
綾瀬はるかさんは、長い沈黙のあと、
「“静かさって、こんなに優しかったんだ”って思いました」と目を潤ませる。
タモリさんは、教会を出たあとも、なかなか口を開かなかった。
ようやく一言。
「今、俺の中で、なんも動いてないようで、
たぶん一番大きい変化が起きてる気がする」
中川さんは、ひとりひとりに白い小さな紙を渡す。
「ここに“今日、誰にも言わなかったこと”を書いてください。
神様に、じゃない。あなた自身に対してです」
さんまさんは照れながら「これ、だいぶハズいな〜」と言いながらも、
まっすぐにペンを動かしていた。
斎藤一人さんは、紙を胸に当てて一言。
「こういう場所に来ると、
“話さないほうがよく伝わる”ことがあるね」
最後に中川さんが語った。
「信仰って、宗教の話じゃないんです。
“いまの自分を、大切にしたい”って思える気持ちがあれば、
それがもう“祈り”なんですよ」
誰も声を出さなかったのに、
みんなの心の中に、何かが静かに鳴り響いていた。
この章は、言葉でなくまなざしと沈黙が語った場所だった。
函館山の夜景と「ありがとう」のラストナイト

テーマ:「別れは、次の“はじまり”の合図」
一行が函館山ロープウェイで頂上に着いた頃、
空は群青に沈み、港の灯りが星のようにまたたいていた。
眼下に広がるのは、**“100万ドルの夜景”**と呼ばれる函館の輝き。
けれどこの夜、一行の心に灯った光は、それをも超えるほどあたたかかった。
「ここで…ちょっとずつ、振り返ってもええんちゃうか?」
さんまさんの言葉をきっかけに、
一人ひとりが小さなメモとキャンドルを持って、
**「旅でいちばん心に残ったこと」**をそっと書き記していった。
最初に話し出したのは、出川哲朗さん。
「六花亭のバターサンドから始まって、
名前の話も、雲も、今日の丼も…
全部が、俺に“頑張りすぎなくていい”って言ってくれてた気がする」
手にした小さな紙には、
**「ありがとう。頑張らない自分へ」**と書かれていた。
綾瀬はるかさんは、目を潤ませながら語った。
「名前の話も、教会での静けさも…
全部、“自分をそのまま信じていい”って言われてるみたいで…
今日まで、自分に優しくなれなかった時間が、やっとほどけた気がします」
彼女のメモには、
**「ありがとう。“今のままでいいよ”って言ってくれた時間たちへ」**とあった。
高田純次さんは、いつになく静かに語った。
「いや〜、旅って面白いね。
ふざけてるうちに、ふっと“本当の自分”に出会っちゃうことがあるからさ」
彼の紙には、
「ありがとう。ふざけて真面目になれる、この距離感へ」
タモリさんは、函館の夜景を見つめたまま口を開いた。
「旅ってね、“遠くに来るために出発する”と思ってたけど…
この旅は、“近くに戻るために来た”ような気がするよ」
メモには、
「ありがとう。ちゃんと“戻ってこれた”この場所へ」
最後に斎藤一人さんが、笑顔でこう言った。
「この旅は、“自分を喜ばせてあげる”ってことに、
みんなが本気で向き合ってくれた旅だったよ。
運ってのはね、そうやって**“喜んだ人のところ”にしか来ないんだよ」
彼の紙には、ただ一言、
「ありがとう。笑ってくれたみんなへ」
全員のキャンドルが、夜風に揺れながらひとつの円を描いた。
その灯りはまるで、“感謝”という名のやさしい炎。
誰かに伝えるためではなく、
自分に素直になった時間を見送るために。
静かに、それぞれの胸の中で「ありがとう」が響いていた。
旅はもうすぐ終わる。
でも、“心があたたかくなる場所”は、
これからもいつでも、思い出せる。
最後の乾杯と「また会おう」の約束

テーマ:「旅の終わりに、いちばん大切な“ありがとう”を」
静かな海辺のレストラン。
窓の外には、満天の星とゆったりとした港の夜風。
七日間をともに歩いてきた仲間たちは、
最後の晩餐を前に、どこか名残惜しそうに料理を見つめていた。
「旅の終わりって、“帰る”ってことかと思ってたけど…
今日に限っては、“この場所を心に残していく”って感じがする」
綾瀬はるかさんが、ぽつりとそう言った。
一人ずつ、テーブルの中央に置かれた小瓶に“ありがとうメモ”を書いて入れていく。
それは今日、この旅の誰かに伝えたかった感謝。
言葉にはしなかったけど、ちゃんと心で受け取っていたもの。
出川さんは、涙ぐみながらこう書いた。
「一緒に笑ってくれて、ありがとう」
タモリさんは、短くこう記した。
「静かにいてくれて、ありがとう」
さんまさんは、笑顔のままペンを走らせた。
「全力で、心を出してくれてありがとう」
高田純次さんは、まっすぐこう書いた。
「真剣にふざけてくれて、ありがとう」
そして、斎藤一人さんは最後にこう言った。
「この旅はね、“自分の人生を好きになる練習”だったんだよ。
誰かと一緒に笑って、泣いて、黙って歩いて――
それだけで、人はちゃんと“運”をつかんでるの」
彼はペンを握りしめて一言だけ、紙にこう書いた。
「ありがとう、自分へ」
乾杯の瞬間、誰もが同じ方向に、星の見える窓を見上げていた。
かんぱい。
その一言が、まるで夜空に溶け込むように響いた。
その夜、ひとりのスタッフが小声でつぶやいた。
「こんなに静かで、温かい打ち上げ…見たことないな。
たぶんこの人たち、“旅を終わらせる勇気”をちゃんと持ってるんだな」
レストランを出た後、
みんなで最後に振り返った夜の函館港。
星と光と風が、静かに「またね」と言っているようだった。
別れは、さみしさじゃない。
“会えてよかった”という、深い感謝の証。
そしてこの旅の結びは、
またどこかで、**笑って再会する未来への“あたたかな約束”**になった。
締めの言葉
斎藤一人:
「旅ってのはね、“どこに行ったか”より、“誰と、どんな気持ちで歩いたか”がいちばん大事なんだよ。
今回の北海道一周も、
それぞれがそれぞれのままでいて、
笑って、泣いて、黙って、また笑った。
それだけで、もうね、**十分“運が上がった証拠”なんだよ。
いいかい? 運ってのは、感謝と笑顔のあとにしか動かない。
だからね、最後の夜に“ありがとう”って言えた人には、
これからもっともっと、面白い人生が待ってるんだよ。
そして、旅の終わりにこう言えるなら最高だ。
**『今回の旅、やってよかった。次もまた、やりたいな』**ってね。
さ、そろそろ現実に戻るけど、
心の中ではずっと旅の続きをしてていいんだよ。
また会おうね――“運のいい人”たちと、ね」
Short Bios:
斎藤一人(さいとう・ひとり)
銀座まるかん創業者であり、独自の人生哲学と運気論を語る実業家。人の心を温め、自然と笑顔と希望を引き出す言葉の達人。
明石家さんま(あかしや・さんま)
抜群のトークセンスと笑いのリズムで場を明るくするエンターテイナー。人と人との間に“軽やかな橋”をかける存在。
出川哲朗(でがわ・てつろう)
純粋なリアクション芸で愛されるタレント。素直な心と体当たりの姿勢が、旅の中で“本音を引き出す”役割を担う。
綾瀬はるか(あやせ・はるか)
自然体の魅力と繊細な感性を持つ女優。旅を通じて、静かに深い気づきと優しさをチームにもたらしていく。
高田純次(たかだ・じゅんじ)
“適当男”の異名を持ちながら、飄々とした態度の中に人生の核心を突く達人。力の抜けた哲学とユーモアで場を和ませる。
タモリ
観察眼と深い洞察力を持つマルチタレント。多くを語らず、しかし空気の流れを変えるような“沈黙の力”を発揮する存在。
松岡はつ乃(まつおか・はつの)
函館朝市の老舗店「福の海」三代目女将。海鮮丼を通して訪れる人々の“心模様”を占い、優しい言葉で背中を押す達人。
島田丈二(しまだ・じょうじ)
五稜郭の研究家であり、「人生地図」の語り部。五稜郭タワーで人生の視点を高める案内をしてきた、静かな知の伝道師。
中川涼子(なかがわ・りょうこ)
元修道女であり、元町教会群の祈りと静寂を今に伝える語り部。言葉を越えた優しさと静かな力で旅人の心に寄り添う。
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